次の日も朝のルーティンを終え、庭の様子を軽く確認する。
まだ芽吹かない土にそっと目を向けた後、セイは部屋に戻り、暖炉を見た。
その横にはリースと昨日作ったスワッグが掛けてある。
(悪くない…)
そう思いつつも、一晩経ってみると、何かが少し足りない気がした。
残っている材料に目をやる。
(……もう少し作れそうか?)
そう考え、新たに装飾品を作り始める。
残っていた麻紐に、艶やかな赤い実を一定の間隔で通していく。
単純な作業だが、等間隔に並んだ実が鎖のように繋がっていく「ガーランド」が出来上がると、それは思いのほか部屋の空気を華やかにした。
それを棚の縁に沿わせるように飾り、最後に小さなベルを結びつける。
全てを飾り終えた後、セイは少し離れた位置から全体を確認した。
色味のバランス、配置、影の落ち方。
それらすべてが計算通りに調和し、一つの「景色」として整っている。
(……これならきっと……)
そう考えていると、彼女の喜ぶ顔が一瞬思い浮かんだが、セイは何事もなかったかのように静かに打ち消す。
そして、作業台の片づけをしてから、簡単な用事をいくつか済ませる。
その合間にも、暖炉や装飾品が目に入るたびに、セツナと過ごした時間が頭をかすめる。
そして、いつの間にかこの空間にセツナがいることを前提として、確認するものや考えることが少しずつ増えていることに気が付く。
何もなかったはずの自分に、何かが静かに増えていく感覚。
だがその感覚は決して悪い物ではなく、むしろセイの心を静かに満たしていた。
その夜。
その感覚を胸にセイは静かにベッドに入り、窓の外を少し眺めてからそっと目を閉じた。
(第74話に続く)