■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第63話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
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書き綴るブログです。

※前回の62話を2月19日23:00に加筆修正しました。

 

次の日の朝。


昨日と同じように庭へ行き、『幸せの種』とハウス内を確認する。

 

土はまだ沈黙したまま。

 

しかし、目に見える変化は感じられなくても、流れた時間は土の中に残っている。

 

……温度は保たれているようだな

 

セイはそう考えながらも、朝食の準備のために、キッチンに向かう。

 

午後。

 

昼食を済ませたあと、外出用の上着を取ろうとクローゼットを開く。


視線はまた、空いた隙間に向かった。


……共同のスペースなんだな……)


誰にも確認されていないのに、自然と気をつけて使おうとする自分がいる。

 

そんな小さな変化に戸惑いを感じつつも、セイは身支度を整えて家を出た。

 

街に出ると、以前は目に入らなかった2人向けのもの”が、自然と目に留まる。


並んだマグカップ。

 

2人用のスローケット。

 

クリスマス用の小さなリース。

 

セイにとっては、今まで、「自分の生活とは関係ない」と、割り切ってきたものたちだ。


でも今日は、違った。


……これは、彼女なら喜ぶだろうか)

 

そんなふうに考える自分に、思わず小さく驚く。

 

そして胸の奥がわずかに軋むような、けれど不思議と悪くない感覚を覚える

 

だがセイはそれをどう定義すべきか答えを出さないまま、家路を急いだ。

 

夜。

 

静まり返った部屋でベッドに横たわると、窓の外に広がる夜空を見上げる。

 

今日という1日の端々に、彼女の気配が混ざっていた。

 

そう考えつつも、セイはそれを深く追求するのをやめ、ただ静かに目を閉じた。

 

(第64話に続く)