■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第57話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
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「セツナさん、お茶を入れましょうか?」

 

「うん、ありがと。前飲んだハーブティーが美味しかったから、あれを入れてもらえると嬉しいな」

 

「了解しました。少しお待ちくださいね」

 

そう言ってセイは席を立ち、キッチンでお茶を用意する。

 

2人でテーブルにつく。

 

湯気が立ち、カップに手を添えると、空間が少しゆるむ。

 

「静かだね、ここ」

 

「時間帯にもよりますが……基本的に人の出入りは少ないようです」

 

「いいね。落ち着く」

 

セツナは、部屋を見回しながら言う。

 

「なんかさ、ここに来るとゲームしてる感じと、ちょっと違うよね」

 

……そうですね。生活に近い、というか」

 

「それそれ」

 

しばらく、何でもない話をする。

 

話が途切れた頃、セツナがふと思いついたように立ち上がった。

 

「ねえ、この辺ちょっと歩いてみない?」

 

「周辺の確認、ということですか」

 

「うん。どんな店あるのか知っておきたいし」

 

「それでしたら……」

 

セイは少しだけ考えてから続ける。

 

「僕がここで1人で暮らし始めた初日に、買い物ついでで少し歩きました」

 

「じゃあ案内してもらおうかな」

 

「ご案内できるほどではありませんが……」

 

「いいのいいの」

 

そう言って、セツナはもう靴を履いている。

 

外に出ると、街は静かで、歩きやすかった。

 

「へえ、この通りにこんなお店あるんだ」

 

「小さな雑貨店ですが、頻繁に入れ替えがあるようです」

 

「なんか良さそうだね。今度入ってみよ」

 

(今度、か)

 

それは自然に「2人で」を含んだ言葉だった。

 

さらに歩く。

 

「あ、公園も近いんだ」

 

「こちらはあまり人が多くないですね」

 

「じゃあさ、今度お弁当持ってきてゆっくりするのもいいかも」

 

……それは、良いですね」

 

セイはそう答えながら、胸の奥に小さな温かさ感じる

 

(僕は……「一緒に来る前提」で考えてもらっている)

 

それが、思った以上に嬉しかった。

 

何かを特別にしたわけではない。


けれど、この街が少しだけ「自分たちの場所」になった気がした。

 

その日はそれだけで満足して、2人は拠点へ戻った。

 

「今日はここまでにしよっか」

 

「はい」

 

「また3日後ね」

 

はい。3日後、お待ちしてますね

 

そう2人は言葉を交わして、この日は静かに終わった。

 

(第58話に続く)