■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第44話) | 世羅の気功と日常ブログ

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朝の光は、思っていたよりも穏やかだった。

 

目を覚ましたセイは、しばらく天井を見つめたまま動かなかった。


身体が軽い、とまではいかない。


けれど、いつもより重くもない。

 

よく眠れた、というほどではないが、途中で何度も意識が浮上するようなことはなかった。

 

……眠れた、のか)

 

理由ははっきりしない。


新しく生成された拠点だからなのか。


それとも――

 

そこまで考えてから、セイは小さく息を吐いた。

 

……セツナさん、か)

 

そう思ったこと自体に、特別な驚きはなかった。


理由を探すよりも、ただ自然に浮かんできた感覚だった。

 

起き上がり、ゆっくりと立ち上がる。


室内はまだ簡素で、必要最低限しか揃っていない。


それでも、不思議と落ち着く。

 

ここは、自分の場所だ。


そして――


これから、彼女も訪れる場所になる。

 

……だから、だな)

 

彼女が次に来るまで、まだ時間がある。


今日すぐ、というわけではない。


それでも、何もせずに待つ、という選択はどうにも落ち着かなかった。

 

(急ぎすぎる必要はない)

 

自分に言い聞かせる。


先回りはしない。


相手のため、という名目で自分だけが焦るのは違う。

 

……まずは、把握だ)

 

セイはキッチンへ向かった。


何かを「揃える」前に、今ここに何があり、何が足りていないのかを知る。

 

シンク。

 

作業台。

 

棚。


視線で1つずつ確認していく。

 

冷蔵庫を開ける。


中に入っていたのは――卵と、食パン。

 

(最低限、だな)

 

朝食程度なら問題ない。


目玉焼きか、フレンチトースト。


簡単で、失敗しにくく、今すぐ作れる。

 

目的は、それで十分だった。

 

棚に視線を移す。


カップが並び、その横にあるのはコーヒー。

 

……コーヒーだけか)

 

悪くはない。


これまでは、それで足りていた。

 

けれど、一瞬、別の選択肢が浮かぶ。

 

(ハーブティー……)

 

眠れない夜に、たまに飲んでいた。


ノンカフェインで、身体を落ち着かせるために。

 

(後で、買っておくか)

 

自分が飲むためだ。


それ以上の意味は、ない。

 

……セツナさんも、嫌いではないかもしれないが)

 

そう付け加えても、胸の奥はざわつかなかった。

 

決めつけではない。


期待でもない。


ただ、可能性として浮かんだだけだった。

 

(第45話に続く)