――材料を買いに、街へ出る。
歩き慣れたはずの街は、どこか違って見えた。
街灯や建物の縁が、淡く光っている。
「なんか、明るいね」
「季節演出、でしょうか」
その光景を目にした瞬間だった。
セイの胸の奥に、ざわり、とした感覚が走る。
理由は分からない。
ただ、似ている。
何かに。
「……セイ?」
セツナが振り返る。
「どうかした?」
「いえ……少し、ぼんやりしていただけです」
「そっか」
深く踏み込まれることはなかった。
(……大丈夫だ)
そう思いながら、光から視線を外す。
「じゃあ、まず材料だね」
2人で並んで市場エリアを歩く。
きのこ売り場で、しめじとエリンギを選び、次に明太子。
「きのこはこのくらいでいいかな」
「はい。十分かと」
必要な食材を一通りそろえたところで、セツナがふと思い出したように言った。
「……ねえ。料理するなら、エプロン必要じゃない?」
「確かに、その方が実用的ですね」
近くの雑貨店に立ち寄る。
壁にかかったエプロンを眺めながら、セツナは少し楽しそうだ。
「私はこれかな。あんまり派手じゃないやつ」
「……では、僕はこちらを」
セイが選んだのは、装飾の少ない落ち着いた色合いのものだった。
「意外とちゃんとしてるね」
「実用性重視です」
エプロンを購入し、再び共有拠点へと戻る。
(第41話に続く)