■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第38話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
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次の瞬間、静かなエリアに立っていた。

 

……わ」

 

柔らかな自然光に包まれた一角。

 

その中央に、こぢんまりとした一軒家が佇んでいる。

 

「あれかな?」

 

「構造的に、そうだと思います」

 

玄関前で立ち止まり、セツナがぽん、と言う。

 

「じゃあ私、鍵使ってみてもいい?」

 

「もちろんです」

 

セツナの手の中に、小さな鍵が現れる。

 

セイの端末にも、同じ鍵の表示。

 

2人分……)

 

鍵を差し込むと、扉が静かに開いた。

 

……」

 

中を見た瞬間、セツナが素直な声を漏らす。

 

「普通にいい雰囲気じゃない?」

 

生活感のある家具配置。

 

無機質すぎず、作り込みすぎてもいない。

 

「そのまま使える設計ですね」

 

セイは1歩、中へ入る。

 

……家だ。そしてここは、鍵を持つ者が“開けた時”だけ成立する空間だ。許可しない限り、誰も踏み込めない)

 

胸の奥に、落ち着く感覚が広がる。

 

……帰れる場所、だ)

 

セイの胸に、ゆっくりと安堵が広がっていく。

 

それが、セツナと一緒の拠点”だという事実に、少しだけ心が震えた。

 

「セイ、こっち!」

 

セツナはもう、楽しそうに部屋を見て回っている。

 

「ここでお茶できるし、映画とかも観れそうだね」

 

……そうですね」

 

うん。それにさ。ここがあれば外出なくても遊べるし、お金もかかんない」

 

「セツナさんらしい考え方ですね」

 

「ふふっ、そうでしょ」

 

そこでセイは、ふと考える。

 

ここでなら、料理もできそうだ)

 

……」

 

「どうしたの?」

 

「いえ。ここで、何か作るのも、いいかと思って」

 

「え、料理?」

 

「趣味なので」

 

セツナが、ぱっと笑った。

 

「いいじゃん。じゃあ今度来る時、お菓子とか色々期待してるね」

 

……善処します」

 

その時だった。

 

……そういえば」

 

セツナが振り返る。

 

「リング、もう発動してるよね」

 

「はい。常時、有効です」

 

そっか。そのせいかな?さっきから今までより、妙に感覚が鋭くなっているというか、近い気がするんだよね

 

……」

 

セイは、否定できなかった。

 

距離が、物理的ではなく“感覚的に”近い。

 

セツナが、無意識に手を動かす。

 

その指先が、セイの手に、ほんの一瞬触れた。

 

……!」

 

2人とも、反射的に手を引っ込める。

 

……え、なにこれ」

 

……増幅、しているようです」

 

少し、息を整える。

 

……これ、ずっとなの!?

 

「はい…そのようです…

 

間。

 

……まあ」

 

セツナは、少し照れたように言った。

 

特別な人、だしね」

 

セイは、静かに頷いた。

 

「そう…ですね」

 

そして少し物思いにふけってしまう。

 

……誰にも邪魔されない場所。僕の居場所

 

そう考えると少しだけ、ドキドキする。

 

そのドキドキが、居場所を得たことへのものなのか、それとも——別の感情なのか。

 

今は、深く考えない。

 

けれど、それだけで、十分だと思えた。

 

(第39話に続く)