■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第37話) | 世羅の気功と日常ブログ

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第5章 特別な居場所】
 

3日後。


同じ時間に、同じ広場。

 

(そろそろだろうか……)

 

そうセイが考えていた矢先。

 

「セイ、来たよ!」

 

彼女の明るい声が広場に響いた。

 

「セツナさん、お待ちしていました。今日もお会いできて嬉しいです」

 

そう声をかけた直後聞き慣れない通知音が鳴る。


警告というほど強くはないが、いつものシステムメッセージとは明らかに違う。

 

SYSTEM ALERT》

 

……ん?」

 

セツナが、きょとんとした声を出す。

 

「特別な人」EX-Partner Link設定から14日が経過しました》

 

《特別イベントが解放されました》

 

「え、なにそれ。特別イベントって、何のこと?」

 

セイも同時に、自分の操作端末を開いていた。


視線が、ある場所で止まる。

 

【特別な人】

 

以前、セツナが設定した時にぽつんと追加されただけで、中身のなかったカテゴリー。

 

それが今、淡く光を帯びている。

 

……ここ、ですね」

 

「え? あ、ほんとだ。前からあったけど、何もなかったやつ」

 

その瞬間。

 

2人の目の前にメッセージウインドウが表示され、項目がピコン、と跳ねるように強調表示された。

 

「え、勝手に開いた……」

 

「共有画面のようです」

 

そこに並んでいたのは、3つの項目だった。

 

《共有拠点キー×1》


《共有拠点キー×1》


《共鳴リング×1


《共鳴リング×1

 

……鍵が2つ?」

 

セツナが首をかしげる。

 

「共鳴リングもそれぞれに用意されているようです」

 

セイは最初のアイコンをタップした。

 

《共有拠点キー》


「特別な人」EX-Partner Link対象ペア専用》

 

《新たに生成された共有拠点を解錠するための鍵です》


《登録された2名にのみ、それぞれ1個ずつ付与されます》


《第3者は使用できません》

 

「あ、なるほど……」

 

セツナが納得したように頷く。

 

「じゃあ11個ずつ持ってるんだ。なくす心配もないし、他の人も入れない、と」

 

「はい。解錠権限は2人に限定されています」

 

……つまり」

 

セツナが少しだけ笑う。

 

「完全に、私たち専用のお家ってことだね」

 

セイは、その言葉にハッとして、言葉の意味を噛みしめるように、1度だけ瞬きをした。

 

……専用)

 

もう1つのアイコンに視線を移す。

 

《共鳴リング》

 

次のこれなに?」

 

セツナがタップする。

 

《共鳴リング》


EX-Partner Linkを増幅させる特殊アイテムです》

 

《所持した瞬間から効果が発動します》


《装備の有無に関わらず、同調率は常時上昇します》

 

……え?」

 

セツナが、画面を2度見する。

 

「え、これ、所持した時点でずっと有効ってこと?」

 

「そういう記述ですね」

 

「装備しなくても?」

 

「はい。増幅器のようなものかと所持している限り、リンクは常時強化されるようです

 

セツナが、少し考える。

 

「じゃあもう通常には戻らない、って感じ?」

 

「アカウント解除しない限りは」

 

「ふーん……」

 

セツナは一瞬だけ沈黙してから、割とあっさり言った。

 

「まあ、“特別な人”だしね。別にいいか」

 

セイは、その言い方に少しだけ胸が温かくなるのを感じた。

 

画面の下部に、さらに小さな表示がある。

 

《特別ポイント:0 / 1000》

 

「あ、ポイントもある」

 

……ゼロですね」

 

「ってことは、これから増えるんだ」

 

ポイント表示をタップすると、簡潔な説明が開く。

 

《特別ポイントについて》


《共有拠点の拡張・設備追加・ペット契約などに使用できます》

 

「へー……」

 

セツナの瞳が、少しだけ輝く。

 

「家、拡張できるんだ」

 

《ポイント獲得条件》


2人の共同作業》


《特別イベントの達成》


《定期イベントのクリア》

 

「共同作業って一緒に何かやればいい、ってことだね」

 

「そのようですね」

 

「面白そうじゃん」

 

セツナは、ウィンドウを閉じながら笑った。

 

「なんか、自分の家以外にも遊びに来れる場所が増えた感じ」

 

別荘、みたいな感じでしょうか?」

 

「そうそう。ここに来れば気分転換できるみたいなさ

 

セイは、静かに頷いた。

 

セツナにとっては、“新しい遊び場”。

 

一方で。

 

……拠点)

 

セイの中では、言葉の重みがまったく違っていた。

 

定住する場所。


戻っていい場所。


誰にも追い出されない場所。

 

しかも、それが――セツナと共有する空間。

 

……嬉しい

 

そう思ってしまうことに、自分でも少し驚く。

 

「じゃとりあえず行ってみよっか。お家」

 

セツナがそう言うのを聞きながら、セイが共有拠点キーのアイコンをタップすると、移動先選択画面が現れる。

 

……ここだね」

 

「はい」

 

転送が始まる。

 

(第38話に続く)