■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第36話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
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彼女からメッセージが来てから6日後。

 

広場は、相変わらずだった。


人の流れも、音も、光の具合も。


変わったものは、特にない。

 

それでもセイは、今日ここへ来る足取りが、少しだけ違っていることに気づいていた。

 

……9日、か)

 

長かったか、と問われれば、そうでもない。

 

けれど、「3日で会える」という感覚が身体に馴染んでしまったあとでは、確かに、長く感じられた。

 

ベンチの近くで立ち止まり、何気なく視線を広場に巡らせた、そのとき。

 

……セイ」

 

聞き慣れた声が、少し控えめなトーンで届く。

 

振り向いた先に、セツナが立っていた。

 

久しぶりだね

 

軽く笑って、申し訳なさそうに肩をすくめる。

 

……9日ぶり、ですね」

 

言ってから、その言葉が責めになっていないかほんの一瞬、考える。

 

セツナは、それに気づいたように頷いた。

 

「ごめんね。間あいちゃって」

 

「いえ……」

 

言葉を選んだあと、セイは静かに続けた。

 

「お加減は、もう大丈夫なのですか」

 

「うん。もう平気」

 

即答でも、深刻さをごまかす感じでもない。

 

ただ、“落ち着いた人の声”だった。

 

「ちょっとね、体調が落ちてて」

 

「リアルのほうで?」

 

「そう。たまにあるやつ」

 

そう言って、曖昧に笑う。

 

「無理すると、あとで長引くって分かってたからさ」

 

セイは、それ以上聞かなかった。

 

理由を詰めない。


詳細を求めない。

 

それが、この9日でセイが選んだ態度だった。

 

……また来てくださって、安心しました」

 

そう言うと、セツナは一瞬だけ目を瞬かせてから、ふっと表情を緩めた。

 

「よかった」

 

短く、そう言った。

 

「戻ってきても大丈夫かな、ってちょっとだけ考えたんだよね」

 

「大丈夫、ですか?」

 

「うん。間が空いたぶん、変に気まずくなってないかな、とかさ」

 

セイは首を横に振った。

 

そんなそのようなことは、ありません」

 

「そっか

 

その一言で、彼女の肩から、見えない力が抜けたように見えた。

 

「ありがとう。何も聞かずに、待っててくれて」

 

……待つ、というほどのことでは」

 

そう言いかけて、セイは少し考え直し、正直に言い直す。

 

「ですが、変わらないように、していました」

 

セツナは、その言葉をゆっくりと受け取った。

 

……それ、すごくセイらしいね」

 

「そうでしょうか」

 

「うん」

 

小さく頷いて、いつもの位置に腰を下ろす。

 

「じゃあさ。今日はリハビリ兼ねて、静かに過ごそっか」

 

「はい」

 

「カフェでもいいし、何もしなくてもいいしね

 

その言葉を聞いて、セイは胸の奥で、静かに何かが整うのを感じた。

 

彼女は、戻ってきた。

 

戻ってくることを、彼女自身が選んで。

 

そして今、ここにいる。

 

それで、十分だった。

 

(第37話に続く)