■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第29話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
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風呂場へ向かう時間になる。

 

「じゃ、あとでね」


「うん」

 

セツナとミズキが先に向かい、セイは一瞬だけためらってから、続いた。

 

湯の音がする。


誰かが笑っている声が、壁越しに聞こえた。

 

……落ち着こう)

 

深呼吸して、湯に浸かる。

 

 

部屋に戻り、それぞれ布団に腰を下ろす。


セツナは足をぱたぱたさせながら言った。

 

「ねえ、パジャマってさ。人の見ると、地味に性格出ない?」

 

「出る出る楽さ重視か、可愛さ重視かちなみに私は、今日は“楽さ重視”」

 

ミズキが即答する。


「私は“ちょい可愛い寄り”かな」

 

セツナがそう言い、2人は自然に笑い合う。

 

そして、ふっと視線がセイに向いた。

 

……セイは?」


「え?」

 

「セイのパジャマどういう基準で選んだの?」

 

セツナがにっこりする。

 

「き、基準……ですか」

 

少し考えてから、正直に答える。


「動きやすくて、肌触りがいいものを」

 

「ほらーやっぱりそう言うと思った」

 

ミズキが笑う。

 

「なんか想像どおり落ち着く感じ」

 

……褒められているのでしょうか」


「褒めてる褒めてる」

 

セツナは安心したように言った。


「こういうの、悪くないね」

 

「はい?」


「冒険も楽しいけどさ。終わったあとに、こうやって話せる時間」

 

ほんの少しだけ、声を落とす。

 

……大事だなって思った」

 

部屋の空気が、また少し柔らいだ。

 

「最初はちょっと不安だったけど、楽しかった」

 

「うん次も、いけそうだね」

 

そう言いながら、ミズキが伸びをする。

 

「さて、明日に備えて寝ますか」

 

「はい」


「おやすみー」

 

……おやすみなさい」

 

セイは布団に横になった。

 

すぐに眠れるかは分からない。


けれど、目を閉じることに、抵抗はなかった。

 

胸の奥に、静かな温かさが残っている。

 

今日という1日を、ちゃんと終えられた。

 

(第30話に続く)