【第2章:ミズキ登場 】
セツナとセイの距離が少しずつ近づき、穏やかな関係が根付いてきた頃。
2人はログイン広場で、ひとりの女性に出会った。
明るい声が響く。
「えっ、セイ!?久しぶりだね〜元気してた?っていうかさ、女の子と一緒とか珍しすぎない?どうしたのそれ〜?」
突然のハイテンションに、セイがうろたえる。
「こ、こんにちは……こちらは……僕の大切な友達の、セツナさんです」
「えっ!?セイに友達!?……あっ、あなたがセツナちゃん?私ミズキ、よろしく!」
「はい。ミズキさん、よろしくお願いします。呼び捨てで大丈夫ですよ。」
「わかった〜!じゃあ私もミズキでいいよ。ていうかさ、セツナめっちゃ話しやすいんだけど。波長合いすぎじゃない?運命かも。友達になろ!」
その天真爛漫さに、場の空気が明るくなる。
そして少し話したあと、ミズキがふっと眉を上げた。
「あれ?もしかしてふたりの邪魔しちゃったかな?ごめんごめん」
「そんなことないよ。セイとはただの友達だし、私はミズキに会えて嬉しいよ」
「そっか〜、じゃ、そういうことにしといてあげる!あ、用事あるんだった。またね!」
「うん。また話そうね」
「もちろん!あとでメッセ送るね〜!」
こうして3人は自然に交流を始めた。
セツナとミズキはあっという間に親友のような距離になる。
そして数日後、3人で世間話をしているとき——
セイがセツナを見つめてそっと笑う。
そのセイがセツナを見る目を、ミズキは見逃さなかった。
(……完全に好きなやつだ、これ)
にやりと笑い、わざと聞く。
「ねぇセイ。セツナのこと好きなの?」
「えっ!?ち、違います!!ただのフレンドで……!」
慌てるほど、真実はバレていく。
「ちょっとミズキ!?いきなり何言って……!」
だが、セツナの心臓は跳ねていた。
(なんで、こんなにドキッとするの……?ただの友達なのに……?)
ミズキはさらに畳みかける。
「ねぇセイ。私らの“最初の出会い”覚えてる?フレンド申請、そっちから来たよね?」
「そ、それは……!」
セツナの胸に、小さな痛みが走る。
(……私が初めてじゃなかったんだ……)
ミズキはわざと甘く笑う。
「NPCから申請されるなんて珍しくてさ。“仲良くしたいのかな”って思ったんだよ?」
(仲良く……?どういう意味……?)
セイは必死に否定する。
「ち、違うんです!!あれは本当にミスで……!」
焦れば焦るほど、セツナの胸のざわつきが強くなる。
(なんでこんなに気になるの……?私……どうしちゃったんだろう?)
ミズキが帰った後、静かな空気だけが残った。
セツナが口を開く。
「ねぇセイ……なんか、ミズキとすごく親しそうだよね。私以外にそんな友達いるなんて思わなかった」
「ち、違うんです。本当に誤解です。僕はこちらではずっと一人で……ミズキさんとは申請後に一度会っただけです」
「そうなんだ……意外だね」
「はい。だから……僕が親しいのは、あなた“だけ”なんです」
「えっ……?」
「あなたに会うまでは、ずっとひとりぼっちだったんです。でも……あなたが話しかけてくれた日から、世界が色を取り戻したんです」
「……セイ……」
「す、すみません……しゃべりすぎました」
「ううん。話してくれて、ありがとう」
そして、小さな声で
「……僕にとって、あなたは特別な人だから……」
「えっ……?」
「な、なんでもありません!」
セイは自分でもわからないまま、そう答えていた。
(第4話に続く)