日曜日に行われた大阪女子マラソンで前田穂南が日本最高記録を更新した。大阪女子マラソンはレジェンド解説陣が勢ぞろいすることで知られているが、今回は彼女達の盛り上がりぶりはすごかった。(私は月曜日早朝にYoutubeで確認した) 母親と親戚のおばちゃんが娘の成長を見守る風情があり、喜び方も強烈だった。高橋尚子が指摘するように「国内で」「タイム以外にも懸かっているものがある中で」の記録ということで、意義深い。

 

 こちらで全中継を視聴できる。38キロ以降の解説陣のエキサイト振り、ゴール後の有森→前田のインタビュー、野口の喜びよう、心に残る。

 

 

 前田は東京五輪のMGCで暑さの中、快走したが、21年大阪女子で一山に敗れ、同年東京五輪でも敗北、22年大阪女子でも敗れ、昨年秋のパリ五輪MGCでも一山に劣後。これだけ連敗すると格下感は出てくるのだが、私自身は前田のフォームを高く評価していて(自然な前傾、伸びる手足、エフォートレスな雰囲気等)、いつかは弾けるのではないかという期待を失わなかった。漸く形になったかの思いである。

 

(2021年の大阪女子マラソン)

 

(2022年の大阪女子マラソン)


 ただ、これで彼女が高速ランナーとして安定軌道に乗ったとは言い切れない。女子の場合、PBとセカンドベスト大差は時々見かける。(例えば千葉真子はPB−セカンドベストの差が4分近い) コンディションが偶々がっちり合った結果ということだろうか。そこは今後のご本人の走りで確認できるが、この日のレース運びは21キロでペーサーを振り切り、最後まで脚が売り切れることもなく粘走で高速ランを継続しており、賞賛しかない。夏の五輪本番までいい間隔も確保されており、これで入賞候補とはいわないが、名乗りは上げたということにはなるだろう。
 

 MGCで健闘した細田他有力選手は名古屋で突っ込むしかなくなった。大阪よりはアップダウンがあるはず(名古屋城周辺は間違いなくそれなりの登り)で、なかなか難しいだろうが、前回の一山の事例(雨中の激走で3番目の選手として滑り込み)もあるので、激走を期待する。