Ｍ氏のあとをわからないようについていった。
すると自分の部屋につくと、レジ袋を下に置きカギを開けよう
とする。レジ袋のなかには、パンとかカップラーメンなどがび
っしり入り、独り者の典型的な不健康な食べ物ばかり。
・
「不動産屋ですが、ちょっとよろしいですか」と声をかけると
こちらを振り向いた。だが何も言わずに落ち着き払って、ドア
を開けて部屋の中へと入っていったので私もあとに続いた。
「Ｍさん、アパートはいつ出て行くのか」
「人の部屋に入ってきて、いきなりそれはないだろう」
「２ヶ月前に退去勧告ハガキを見ただろうが」
「そんなもん知らん」
「ウソをつけ、ハガキを見たという証拠はあるぞ」・・・
・
４～５分押し問答とすると、Ｍ氏は下を向き静かになった。
前回経験済みのつかみかかってくる前ぶれと警戒すると、案の
定飛びかかってきた。前回は私の方が優勢だったが、今回はＭ
氏に圧倒されて後退した。そうか前回は酔っ払っていたが、今
回はしらふで勢いが違うのがわかったので必死に押し返した。
・
４～５発殴りかかってきたので、手でよけてかわした。すると
Ｍ氏はニヤリと笑い、「おまえ、やくざだな」。
「俺は一般の人間だ。おまえこそやくざだろう」・・・・
２０分以上の言い合いと、つかみあいでクタクタになった。
２日後に再度訪問することにして、アパートを出て行った。
Ｍ氏は酒癖の悪い酔っ払いかと思っていたが、しらふで会うと
妙に落ち着き払って不気味ささえ感じた。
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