馬場に出ると、いつものように騎乗前の準備をおこなう。
まず左側に回り腹帯を１個分締め直して、鐙を正常に伸ばす。
そして右側に回ろうとした途端、アースは何を思ったのか後ろ
向きにバックして私から逃げだそうとした。
・
馬の力は人間の１０倍程の力があり、握ってる手綱をぐいぐい
引っ張る。アースが本気で引っ張れば、ひとたまりもないがま
だそこまではいっていない。「アースどうした。落ち着け！」。
アースの目は三角になり、何かに驚いて手綱を引っ張る。
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離したら走って逃げるので、離すまいと必死にこらえる。
「アース大丈夫だよ。落ち着くんだ」と言葉をかけ続けると、
ようやく私の言葉で、何とか落ち着きを取り戻した。
「よしよし、いいこだ」と手綱を引っ張り戻して首をなでた。
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数日前に若いお客さんがアースに騎乗したとき、ムチで驚かせ
たので気をつけるようにと、インストラクターが言っていた。
私のムチが顔近くにいったのでそれに驚いたのかもしれない。
それにしても、何とか落ち着きを取り戻したのでホッとした。
・
いつもように駈足をすると、ベルに騎乗したＵさんがアースの
後を追いかけながら走り出す。ベルの走りっぷりは、さすがに
直前までサラブレッドだけあって素晴らしい。
騎乗終わってＵさんが言った。「こんなに走ったベルは初めて
です。アースのおかげです。ありがとうございました」。
アースは今回も褒められました。「アースよかったね。よく頑
張ったからだよ。よしよし」と首をなでてやった。
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