映画「マリウポリの20日間」を観る | 世日クラブじょーほー局

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 ロシアによるウクライナ侵攻直前に、それを察知し現地入りして以後、20日間にわたり当地で取材をつづけたAP通信記者(ミスティラフ・チュルノフ氏)による映像ドキュメンタリー。今年の第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞。

 

 マリウポリは、ロシアが占領したクリミア半島が浮かぶ黒海とつながるアゾフ海に面し、43万人を擁する港湾都市。

 

 迫り来るロシア軍によって刻一刻包囲されていく市街地。ミサイルや戦車の砲撃により、街は破壊され廃墟となっていく。次々と運び込まれる負傷者および犠牲者たち。
 

 当初、チュルノフ氏は、ロシア軍は民間人を攻撃しないと現地の人に伝えていたが、ほどなく住宅も学校も病院も標的に。電気、水道、ガスというライフラインの途絶もさることながら、ネットが繋がらないことで情報が入らないことの不安。憶測や妄想が判断を狂わせる。情報がまさに命綱ということを痛感。
 

 また戦争は人間の内面をさらすとして、普通の市民による略奪の現場も。文字通り命掛けで市民を守る軍人、一心不乱に人命救助の使命を果たそうとする医療者、この悲劇を伝えんとするジャーナリスト。そんな彼らを尻目に略奪者となる者がいるのも事実なのだ。そしてチュルノフ氏が拠点としていた総合病院もいよいよ「Z」が大書されたロシアの戦車に包囲される…。彼らの運命はいかに。

 

 チュルノフ氏らクルーが、家を追われた住民にカメラを向けると素直に応じたり、怒りを向けたり様々なリアクション。ある医療者は、運びこまれた犠牲者をどんどん撮れと。そしてプーチンに見せろと。これがあんたがやってみせた「特別軍事作戦」とやらの正体だと訴えろと。

 

 チュルノフ氏らの活動はいわゆる「匹夫の勇」と見られなくもない。しかし今、ロシアの手に落ちたマリウポリの状況は一切伝わってこない。もし、チュルノフ氏らの命掛けの撮影がなければ、この時点で「マリウポリの情報は皆無だった」。彼を突き動かしたのはロシアの刑事免責を避けるためだという。本編の映像は劣悪な通信環境の中、断片的にだが、リアルタイムでAP通信社から世界に配信された。だがこれを否定するロシアによるフェイクニュースキャンペーンとのせめぎ合いが既に起きていたのだ。だから軍も彼らを守ることを優先させていた。

 

 また、「ロシア人になりたくない」と涙ながらにつぶやくウクライナ人の恐怖に怯える姿が印象的だ。日本にいては到底味わうことのできない臨場感がずっしりと伝わってきた。なお、犠牲となった遺体の取扱いに関しては、みんな極限状況にあるということは理解しても、首をかしげざるを得なかった。細く長く掘られた側溝のような穴が即席の埋葬地というのはしょうがないにせよ、死体袋の御遺体が折り重なるように投げ入れるというのはやめてほしかった。

 

 ロシアの侵攻開始から80日で陥落したマリウポリ。民間人死者は8000人。8割の住民が脱出したという。故郷を追い出された無念はいかばかりであり、残る2割の安否とともに今現在の状況が憂慮される。我々はこれをどう受け止め、教訓とするか。

 

 もし東京が同様の事態を迎えるとしたらどうか。日本人に限って略奪はない?あるに決まっとろうが。今、自民党の裏金問題を巡って、順法精神が問われているが、はっきり言って順法精神を持ち合わせている都民などいるのか?地方は知らないが似たり寄ったりだろう。道交法って廃止されたの?信号守るなど保育園で教わる交通ルールをきっちり守る人は皆無。路上喫煙は条例で禁止されていたような気がしたが平然と吸ってるし、ポイ捨ても犬の散歩中のフンもそのまま。咎めたら、睨まれてこっちがキ〇ガイ扱いだもの。周囲の迷惑を顧みない「ながらスマホ」はマインドコントロールされたカルト信者でなくてなんなのか。自覚なき制御不能の中毒患者。住民の8割がそうだろう。白昼は守っているようでもそれは自分に災禍が及ばないためであって、順法精神とは何の関係もない。

 

 深夜から早朝はもう長く無法地帯と化している。警察は見事にスルーしお墨付きを与える始末。「つばさの党」のことを言えた義理か。自分たちもさんざん迷惑かけておいて、いざ自分が同じ目に遭えば、とんでもないだ、けしからんだ。卑怯千万ここに極まれり。彼らは堂々とやり、こちらは隠れてシコシコやるだけの違い。「けじめ」や「節度」をなくし、自分のことを棚に上げて他人をあげつらうなど日本人のやることじゃない。もっとも日本人の皮を被ったシ〇人、コ〇アンだろうが。

 

 なお、ロシアのウクライナ侵攻からこの方、日本のイエロージャーナリズムは、旧統一教会問題、お笑いタレントのスキャンダル追及に明け暮れた。就中、統一教会に絡めての安倍氏への冒涜は常軌を逸したが、これも日本人でない証左。すべてがタレコミや聞きっ齧りや憶測の使いまわしで、その安直かつ低俗さは良識派の心胆を寒からしめたが、どこ吹く風と売らんかなで驀進した。もし東京に一旦緩急あらば、彼らはチュルノフ氏に倣い、先の没順法精神の日本人モドキらとともに、ここぞとばかりに大和魂を発揮して、命掛けの取材活動に取り組むだろうか? 想像しただけで虫唾モノだが、敵に媚び諂い、どこまでも売らんかなで突き進むに決まっている。ま言っても詮無いだけ。せいぜい物欲をたくましゅうして、カネとセックスの酒池肉林を楽しむがいい。

 

(監督・脚本・撮影)ミスティスラフ・チェルノフ

(スチール)エフゲニー・マロレトカ

(フィールドプロデューサー)ワシリーサ・ステパネンコ

(編集)ミッチェル・マイズナー

(製作)ミスティスラフ・チェルノフ、ミッチェル・マイズナー、ラニー・アロンソン=ラス、ダール・マクラッデン

(作曲)ジョーダン・ディクストラ