映画「ダンガル」を観る | 世日クラブじょーほー局

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 インド版「巨人の星」といえる本作で、父娘が挑むのは、レスリングの金メダル。インド国内ではチャンピオンとなった父マハヴィルだったが、何としてもインドに金メダルをもたらしたいという思いを生まれてくるであろう息子に託す。だが、一人目も女の子、二人目も…四人の子全て女の子という現実に、日ごろから鼻息が荒いマハヴィルも運命とあきらめざるを得なかった。

 

 それから十数年が経ったある日、長女ギータと次女バビータが男の子と喧嘩をして、打ち負かす事件が発生。相手の親が押しかけてきて、平謝りのマハヴィルだったのも束の間、これはひょっとして…ピンときちゃった!息子がダメなら娘があるさと。嫌がる娘らを引っ張りだして、傍目からはほぼ虐待としか映らない猛特訓が始まった。

 

 星一徹の代名詞がちゃぶ台返しなら、マハヴィルは髪バッサリ切りか。ともかく今現在、日本でさえ問題ありと思われる仕打ちを女性の地位が未だ低いままのインドにおいてやってしまうという脚本はどーよと思いきや、はい、実話です。ま、インドにおける身分制度や女性の地位向上のためのブレークスルーという政治的メッセージが込められているのも事実。ただ核家族に慣れて、個人主義が堂々と幅を利かす現在の日本に、家族とは、親子とは、もっと胸襟を開き、肝胆相照らしてストレートに接しあうことも大事だよ、はみだし気味の親父もありだよと語りかけてくるようだった。

 

 父娘の壁を乗り越えて、ギータが世界大会で勝ち上がって、決勝まで突き進み、金メダルを掴んでいく姿にはさすがに涙を禁じ得なかった。実話であることもあるが、そこにはエッジを効かせるためのテクニカルな演出でなく、父が果たせなかった金メダルだけを目指して愚直に戦う健気な娘の姿に素直に感情移入できるからだろう。これはマーベルのヒーローがいくら束になっても呼び起こせるものではない。

 

 本作を観てつくづく思う。日本人よ、巨人の星に帰れ。