「007スカイフォール」は、どうだ | 世日クラブじょーほー局

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007/スカイフォール [DVD]/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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 タイトルから、「世日クラブの会場で、ジェームズ・ボンドが暴れまくんのかよ」と思った人も…、いねーか。あらためまして、こっちは「スカイホール」です。

 さて、当方は007シリーズは、今まで劇場で観たことはなかった。なぜなら、ジェームズ・ボンドの女たらしキャラがイヤだから。それでも今回観に行ったのは、主演がダニエル・グレイグということと、昨年で007シリーズが50周年を迎えたということで、半世紀超えの第一作目という触れ込みに、ちょっと食指が動いたかな?

 ダニエル・グレイグは本作で、シリーズ3作目のボンド役となった。ちなみに当方は、前々作「カジノ・ロワイヤル」も前作「慰めの報酬」も観ていないが…。当方にとっては、昨年の「ドラゴンタトゥーの女」以来のクレイグの勇姿となったが、彼の肉体はすっかり元通りにシェイプされていた。彼は歴代ボンド役の中で、群を抜くフィジカルの強さをもっている。ハリウッドのトップスターの中でも、トム・クルーズや、クリスチャン・ベールなどビルドアップされた肉体を役柄に活かしている俳優もいるが、あまりにごつごつだとボンド役には似つかわしくない。その点クレイグはブルース・リーを彷彿とさせるシャープさだ。しかしあのおっさん顔はどうもボンドのイメージに合わない。今回はラブシーンは少なかったが、彼のセックスアピールなどわざとら過ぎる。ダニエル・グレイグ主演作に色香などいらんいらん。

 フィジカルの強さこそ彼の本領だし(あとポーカーフェイスか)、確かに劇中それが発揮されてもいた。毎回シリーズの見せ場だというプレタイトル・シークエンスでの車やバイクのスタントシーンには圧倒され、スクリーンに釘付けになった。しかし中盤からラストにかけて、間伸びした展開と、ちょっと強引な設定には首をかしげた。しかもそこに映し出されるのは、ロートルボンドだ。真っ白な不精ヒゲはクレイグの自前なのか?彼の実年齢も44と決して若くはないが、年齢を感じさせない肉体美を持つのだし、ことさら追いやる展開にしなくても…と思うのだが…。しかし普通のビジネスマンならいざ知らず、MI-6“00課”での任務にはハイエンドが要求され、前任務中に負った傷も癒えてないとあってはリミットか。しからばボンドはどう決断するのか?って、「ダークナイトライジング」みたい。

 MI-6本部がテロ襲撃にあったことを受けて、ボンドのボスである女部長M(ジュディ・デンチ)が議会での審問に呼ばれることになるのだが、これはシンボリックな場面だ。そこで所管の大臣に、「ヒューミントによるMI-6のインテリジェンス活動などもう時代遅れだ」などと突っ込まれる。この素人丸出しの女性大臣、どっかの国の威勢のいい目の釣りあがった女代議士に見えなくもなかった。もっともこの女優のほうが品があったが。また今回ボンドカーとして、機関銃を仕込んだ60年代産のアストンマーチンDB5が登場するのも、この作品のコンセプトを伝えている。

 これまでの007シリーズにおけるスマートで、セクシーさがウリのボンド像をかなぐり捨てて、引退勧告を受けた崖っぷちのロートルボンドが、コンピュータのデータのみではフォローしきれない現場経験の豊富さや直観力、そしてアナクロな武器やグッズを総動員して、泥臭く死闘を繰り広げる。言わんとすることは解るし、共感する。しかし007映画で訴えなならんことかな?もっと尺も圧縮できただろうと思う。

 そして今回の敵役は、「ノーカントリー」で無表情かつ冷酷な殺し屋を演じ、アカデミー助演男優賞を獲得したハビエル・パルデムだが、はっきり言って「ノーカントリー」ばりの凄みも迫力もなく、ただキモいだけだった。彼が警官に変装するシーンでは、思わず噴いてしまった。かてて加えて、クライマックスシーンでのお馴染みのテーマ曲が、取ってつけたように感じ、むなしく響いた。ただ、次回作は一体どうなっちゃうんだろうかという興味が強くそそられたというのは事実だ。次、期待しよう。

(出演)
ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ、アルバート・フィニー、ジュディ・デンチ、ベン・ウィショー、オラ・ラパス
(監督)サム・メンデス