作品データ : 原題 THE GUERNSEY LITERARY AND POTATO PEEL PIE SOCIETY 製作年 2018年 製作国 フランス/イギリス 配給 キノフィルムズ 上映時間 124分
メアリー・アン・シェイファー(Mary Ann Shaffer、1934~2008)&アニー・バロウズ(Annie Barrows、1962~)のベストセラー小説“The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society”(2008)(木村博江訳『ガーンジー島の読書会』イースト・プレス、2013年)を、『シンデレラ』『ベイビー・ドライバー』のリリー・ジェームズ主演で映画化したヒューマン・ミステリー。第二次世界大戦直後の英国ガーンジー島を舞台に、現地の読書会を取材するため島を訪れた作家が、読書会に秘められた島の数奇な歴史に触れていく中で、自らの人生を見つめ直し、本の素晴らしさを再確認していく姿を描く。共演はミキール・ハースマン、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、マシュー・グード、トム・コートネイ、ペネロープ・ウィルトン。監督は『フォー・ウェディング』のマイク・ニューウェル。
ストーリー : 夏の日差し溢れるパリ。便利屋業として働く24歳の青年ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)は、パリにやってきた美しい女性レナ(ステイシー・マーティン)と出会い、恋に落ちる。穏やかで幸せな生活を送っていたが、ある日、ダヴィッドの大切な姉、シングルマザーのサンドリーヌ(オフェリア・コルブ)が無差別テロに巻き込まれ、亡くなってしまう。悲しみに暮れるダヴィッドは、身寄りがなく独りぼっちになってしまった7歳の姪アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)の世話を引き受けることに…。親代わりとして接しようとするが、まだ若いダヴィッドには荷が重く、戸惑いを隠せない。アマンダも、母親を失ったことをなかなか受け入れられずにいた。互いに不器用で、その姿は見ていてもどかしく、しかし愛おしい。幼いながらも懸命に逞しく生きようとするアマンダ。彼女と共に過ごすことで、次第に自分を取り戻していくダヴィッド。それぞれに深い悲しみを抱えながらも、二人は互いに少しずつ距離を縮めながら成長していく。「I need you」 ⇔ 「I love you」…!
cf. 本作ラストシーンに登場する~上掲インタビューに指摘された~「戦争の恐怖(Fear of War)」と題する“ベトナム戦争でナパーム弾を浴びて逃げ惑う子供たちの写真” : これは、1972年6月8日に当時21歳のAP通信ベトナム人カメラマン、ニック・ウット(Nick Ut、1951~)が撮影した、ベトナム戦争の惨状・悲劇を如実に伝える、あまりにも有名な1枚の写真である。南ベトナム軍機によるナパーム弾投下で、タイニン省(西寧省)チャンバンの燃え盛る村から、火傷を負って泣き叫びながら逃げ惑う無防備な子供たちを捉えた報道写真「戦争の恐怖」は、全世界に配信され、世界中の人々の心に深く印象づけられた。そして、日本、ロンドン、パリ…ワシントンD.C.のホワイトハウス前でも、激しい反戦運動を巻き起こす一大契機となった。 この世界に衝撃を与えた写真は、別名「ナパーム弾の少女」として知られている。写真中、格別に世界の注目を浴びたのが、中央に位置する9歳の丸裸の少女ファン・ティー・キムフック(Phan Thị Kim Phúc、1963~)。ニック・ウットは後に、「少女は左腕に火傷を負い、背中の皮膚がめくれているのが見え、この子は助からないとすぐに思いました。…彼女はずっと泣き叫び続けていて、私は『ああ、神様』と思うばかりでした」と回想している。世界中が「我が子」のように共感するにいたった「ナパーム弾の少女」⇒「戦争の恐怖」は、翌1973年、ピューリッツァー賞(「ニュース速報写真部門」)を受賞している。ちなみに、負傷したキムフックは、一命は取り留めたものの、その後17回にも及ぶ手術を受けていた―。
“東京裁判”と呼ばれ、戦後日本の進路を運命づけた極東国際軍事裁判(The International Military Tribunal for the Far East)。太平洋戦争敗戦後の1946~48年、市ヶ谷の旧陸軍省参謀本部にて開廷された裁判の模様を、裁判から25年後(1973年)に公開されたアメリカ国防総省(ペンタゴン)の50万フィートに及ぶ長大なフィルムをもとに、5年の歳月と4億円の費用をかけて製作した記録映画(4時間37分に亘る歴史的ドキュメンタリー)。生々しい当時の映像をもとに、戦前のニュース映画や諸外国のフィルムも交え、戦争責任の所在、国家と個人の関係、あるいは勝者が敗者を裁くことの限界といった様々な問題を浮き彫りにした渾身の力作。監督は『人間の條件』『切腹』の名匠・小林正樹(1916~96)。音楽を武満徹(1930~96)、ナレーターを俳優の佐藤慶(1928~2010)が担当。第35回ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。2019年8月3日より監督補佐・脚本の小笠原清(1936~)らの監修のもとで修復された4Kデジタルリマスター版が公開(配給:太秦)。
1946年1月19日、極東国際軍事裁判所条例(Charter of the International Military Tribunal for the Far East)が布告され、戦争そのものに責任のある主要戦犯を審理することが決定された。同年4月29日、それまで(満州事変→「支那事変」→太平洋戦争)日本を支配した指導者100名以上の戦犯容疑者の中から、太平洋戦争開戦時の首相・東條英機を始めとする28名が被告人に指定された。一方、国の内外から問われ、重要な争点となった天皇の戦争責任については、世界が東西両陣営に分かれつつあるなか米国政府の強い意志により回避の方向へと導かれていく。 法廷は東京・市ヶ谷の旧陸軍士官学校の大講堂(戦時中の旧陸軍省参謀本部、現在の自衛隊市ヶ谷駐屯地)に用意された。裁判官及び検事は、降伏文書に署名した9か国(アメリカ、イギリス、ソ連、中華民国、フランス、カナダ、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド)と、インド、フィリピンの計11か国代表で構成され、裁判長にはオーストラリア代表、ウイリアム・ウェッブ(William Webb、1887~1972)が、主席検察官にはアメリカ代表、ジョセフ・キーナン(Joseph Keenan、1888~1954)が選ばれる。GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)内には、キーナン主席検察官を長とする500人近くのスタッフを擁する国際検事局が設置された。一方、弁護側は鵜沢総明(1872~1955)を団長、清瀬一郎(1884~1967)を副団長とする日本人弁護団(「極東国際軍事裁判日本弁護団」)が結成されたほか、ベン・ブルース・ブレイクニー(Ben Bruce Blakeney、1908~63)らアメリカ人弁護団25名も参加し、日米双方の弁護人が100名を超えていた。
ストーリー : 1961年。冷戦下の熾烈な米ソ宇宙開発競争の中、アメリカではジョン・F・ケネディ大統領の下、人類の月到達を目的とした“アポロ計画(Apollo program)”が開始される。幾度もの失敗を経て、アポロ11号は1969年7月16日、ニール・アームストロング船長(Neil Armstrong、1930~2012)、バズ・オルドリン(Buzz Aldrin、1930~)、マイケル・コリンズ(Michael Collins、1930~)の3人の宇宙飛行士を乗せ、地球を旅立つ。7月20日に月に到着し、アームストロング船長の有名な「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である(That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.)」という言葉と共に、人類史上初の有人月面着陸を成し遂げた。そして7月24日、地球に無事生還。全世界で約5億人がその人類史上の偉業を見守ったと言われる。本作では、ロケット発射前から月面着陸、そして地球生還までの9日間を詳らかにする。
▼予告編
▼インタビュー映像 - トッド・ダグラス・ミラー監督(Todd Douglas Miller)/製作に関わった人々 :
主題歌 - Bee Gees “Melody Fair” [作詞・作曲:バリー・ギブ(Barry Gibb、1946~)、ロビン・ギブ(Robin Gibb、1949~2012)、モーリス・ギブ(Maurice Gibb、1949~2003)] : (“Melody Fair” is a song by the Bee Gees, written by Barry, Robin & Maurice Gibb in 1968 and released in 1969 on their album Odessa. It was not released as a single, but this song was played on many radio stations, and was a hit in Japan. )