普通人の映画体験―虚心な出会い -36ページ目

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2017年11月30日(木)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、18:20~鑑賞。『怪物はささやく』 20:10~と2本立て上映。

作品データ :
原題 CAFÉ SOCIETY
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ロングライド
上映時間 96分


「カフェ・ソサエティ」

『ミッドナイト・イン・パリ』『ブルージャスミン』のウディ・アレン監督が1930年代のハリウッドとニューヨークを舞台に、2人のヴェロニカに翻弄される青年のほろ苦い恋と成長を描くロマンティック・コメディ。主演はジェシー・アイゼンバーグ、共演にクリステン・スチュワート、ブレイク・ライヴリー、スティーヴ・カレル。アレン監督が自らナレーションを務める。

ストーリー :
1930年代。もっと刺激的で、胸のときめく人生を送りたい…。漠然とそんな願望を抱いたニューヨークの平凡な青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ハリウッドを訪れる。華やかな映画の都には、全米から明日の成功を目指す人々が集まり、熱気に満ちていた。業界の敏腕エージェントとして財を築いた叔父フィル(スティーヴ・カレル)のもとで働き始めたボビーは、彼の秘書ヴェロニカ“愛称ヴォニー”(クリステン・スチュワート)の美しさに心を奪われる。ひょんな幸運にも恵まれてヴォニーと親密になったボビーは、彼女との結婚を思い描くが、うかつにも彼はまったく気づいていなかった。彼女には密かに交際中の別の男性がいたことに…。その後ニューヨークへと戻ったボビーは、ギャングの兄が経営するナイトクラブの支配人となり頭角を現わしていく。そんなある日、奇しくもヴォニーと同じヴェロニカという名の美女(ブレイク・ライヴリー)と出会い、たちまち恋に落ちるボビーだったが…。

▼予告編

2017年11月30日(木)早稲田松竹(東京都新宿区高田馬場1-5-16、JR山手線・高田馬場駅・早稲田口徒歩5分)で、14:55~ 鑑賞。『沈黙-サイレンス-』 12:00~と2本立て上映。

※『沈黙-サイレンスー』は再見。2017年4月13日(木)角川シネマ新宿で初見(本ブログ〈April 19, 2017〉)。

作品データ :
原題 HACKSAW RIDGE
[「ハクソー・リッジ」とは、太平洋戦争の沖縄戦において、浦添城址の南東にある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地のこと。多くの死者を出した壮絶な戦いの場として知られている。ハクソーとは弓鋸(ゆみのこ)で、リッジとは崖の意味。150メートルの断崖絶壁の崖が、鋸(のこぎり)のように険しくなっていたことから、最大の苦戦を強いられたアメリカ軍が、“Hacksaw Ridge”と呼んだ。]
製作年 2016年
製作国 アメリカ オーストラリア
配給 キノフィルムズ
上映時間 139分


「ハクソー・リッジ」
「ハクソー・リッジ」Reel to Real
     (Reel to Real , Fact vs Fiction)

俳優として数々の話題作に出演し、監督としては『ブレイブハート』(1995年)でオスカーも手にしたメル・ギブソンが、激烈を極めた沖縄戦の知られざる実話を映画化した衝撃の戦争ドラマ。武器を持つことを拒否しながらも、地獄の戦場で75人もの命を救い、終戦後、「良心的兵役拒否者(Conscientious Objector)」としてはアメリカ史上初の名誉勲章を授与された実在の衛生兵デズモンド・T・ドス(Desmond Thomas Doss、1919~2006)の不屈の人生を、臨場感あふれる迫力の戦闘シーンとともに描き出す。主人公を『沈黙-サイレンス-』のアンドリュー・ガーフィールドが熱演。共演にサム・ワーシントン、ヴィンス・ヴォーン、テリーサ・パーマー、ヒューゴ・ウィーヴィング、ルーク・ブレイシー。第89回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞など6部門でノミネートされ、編集賞と録音賞の2部門を受賞した。

ストーリー :
ヴァージニア州の豊かな緑に囲まれた町で生まれ育ったデズモンド・ドスは、元気に野山を駆け回る少年だったが、家族に問題を抱えていた。父親のトム(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、兵士として戦った第1次世界大戦で心に傷を負い、酒におぼれ、母バーサ(レイチェル・グリフィス)との喧嘩がたえない日々を送っていた。
月日は流れ、成長したデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、看護師のドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)と恋におち、心躍る時を過ごしていた。だが、第2次世界大戦が日に日に激化し、彼の弟も周りの友人たちも次々と出征する。そんな中、子供時代の苦い経験から、「汝、殺すことなかれ」という教えを大切にしてきた彼は、「衛生兵であれば自分も国に尽くすことができる」と陸軍に志願する。
グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)の部隊に配属され、ジャクソン基地で上官のハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)から厳しい訓練を受けるデズモンド。体力には自信があり、戦場に見立てた泥道を這いずり回り、全速力で障害物によじ登るのは何の苦もなかった。だが、狙撃の訓練が始まった時、彼は静かにしかし断固として銃に触れることを拒絶する。
軍服や軍務には何の問題もなく「人を殺せないだけです」と主張するデズモンドは、「戦争は人を殺すことだ」と呆れるグローヴァー大尉から、命令に従えないのなら、除隊しろと宣告される。その日から、上官と兵士たちの嫌がらせが始まるが、彼の決意は微塵も揺るがなかった。
しかし、出征前に約束したドロシーとの結婚式の日、デズモンドはライフルの訓練を終えないと休暇は許可できないと言われ、命令拒否として軍法会議にかけられることになる。面会に訪れたドロシーに、銃に触れないのはプライドが邪魔しているからだと指摘された彼は、その“プライド”こそが大切だと気づく。「信念を曲げたら生きていけない」という彼の深い想いに心を打たれたドロシーは、「何があろうと、あなたを愛し続けるわ」と励ますのだった。「皆は殺すが、僕は助けたい」─軍法会議で堂々と宣言するデズモンド。ところが、意外な人物の尽力で、彼の主張は認められる…。
1945年5月、沖縄。グローヴァー大尉に率いられて、「ハクソー・リッジ」に到着した第77師団のデズモンドとスミティ(ルーク・ブレイシー)ら兵士たち。先発部隊が6回登って6回撃退された末に壊滅した激戦地だ。約150mの絶壁を登ると、そこには百戦錬磨の軍曹さえ見たことのない異界が広がっていた。前進した瞬間、四方八方からの攻撃で、次々に倒れていく兵士たち。この地では、もはや日本の敗戦の色濃くなった戦況を背景に、執拗に挑んでくる日本兵たちとの想像を絶する死闘が繰り広げられていたのだ。他の衛生兵なら見捨てるほどの重傷の兵士たちの元へ駆け寄り、「俺が家に帰してやる」と声をかけ、応急処置を施し、肩に担いで降り注ぐ銃弾の中を走り抜けるデズモンド。ひるむことなく何度でも、戦場に散らばった命を拾い続ける彼に、感嘆の目を向け始める兵士たち。しかし、一度はハクソー・リッジを占領するも厳しい戦況に部隊は退却を余儀なくされる。その最中、負傷した仲間たちが取り残されるのを見たデズモンドは、たった一人で戦場へ留まることを決意する―。

▼予告編



▼ Japan retakes the ridge :



▼ Ending :



▼メイキング映像 :



▼ cf. 戦後70年の地平から「前田高地の戦い」 by RBC琉球放送 News(2015/04/28 19:00) :



▼ cf. テリー・ベネディクト監督『ザ・コンシエンシャス・オブジェクター』(2004年)[“THE CONSCIENTIOUS OBJECTOR”(a documentary film by Terry L. Benedict)] :

2017年11月24日(金)新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3-15-15、JR新宿駅東口より徒歩5分)で、19:10~鑑賞

作品データ :
製作年 2017年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 121分


お笑いコンビ・ピースの又吉直樹の初純文学作品「火花」を、菅田将暉と桐谷健太主演で映画化した青春ドラマ。お笑いの世界に生きる若者たちが、夢と現実のはざまでもがきながら繰り広げる熱き人間模様を笑いと涙で綴る。メガホンを取るのは、原作者・又吉の先輩芸人にして映画監督でもある板尾創路。木村文乃、川谷修士、三浦誠己らが共演する。

ストーリー :
【才能なんてあってもなくても輝いていた―「笑い」に魅せられ、「現実」に阻まれ、「才能」に葛藤しながら、「夢」に向かって全力で生きる二人の10年間の青春物語。】

お笑い芸人の徳永(菅田将暉)は、スパークスという若手コンビでデビューするも、まったく芽が出ない。彼は営業先の熱海の花火大会で4歳上の先輩芸人・神谷(桐谷健太)と出会う。神谷は「あほんだら」というコンビで常識の枠からはみ出た漫才を披露。その奇想な芸風と人間味に惹かれ、徳永は神谷に「弟子にしてください」と申し出る。神谷はそれを了承し、その代わり「俺の伝記を作って欲しい」と頼む。その日から、徳永は神谷との日々をノートに書き綴る。
2年後、徳永は拠点を大阪から東京に移した神谷と再会する。二人は毎日のように呑みに出かけ、芸の議論を交わし、仕事はほぼないが才能を磨き合う充実した日々を送るようになる。そして、そんな二人を、神谷の同棲相手・真樹(木村文乃)は優しく見守っていた。しかし、いつしか二人の間にわずかな意識の違いが生まれ始める…。

▼予告編

2017年11月22日(水)吉祥寺オデヲン(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、14:15~鑑賞。

作品データ :
製作年 2017年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 126分


かつて人気テレビ番組「料理の鉄人」の演出を手がけた田中経一の小説家デビュー作(2014年に『麒麟の舌を持つ男』のタイトルで幻冬舎より刊行され、2016年に文庫化された際に改題)を、『おくりびと』の滝田洋二郎監督、『母と暮せば』の二宮和也主演で映画化した歴史ヒューマン・ミステリー。“麒麟の舌”と呼ばれる究極の味覚を持つ主人公が、1930年代の満州で天皇の料理番が考案した幻のフルコースの再現を依頼されたことから思いも寄らぬ歴史の運命に巻き込まれていくさまを、現代と過去それぞれの物語を通して感動的に描き出す。共演は西島秀俊、綾野剛、宮﨑あおい、竹野内豊、笈田ヨシ、西畑大吾。

ストーリー :
【現代と戦前。 二つの時代に現われた、二人の天才料理人。ラストレシピ―それは、失われた70年をつなぐ、 壮大な愛のメッセージ。】

コスモスハチ彼は、情熱を失ってしまった孤独な天才料理人。
2000年代初頭、現代―歴史に消えた伝説のフルコースを再現せよ。


一度食べた味を記憶し再現できる絶対味覚=“麒麟の舌”の持ち主である佐々木充(二宮和也)。彼は依頼人の「人生最後に食べたい料理」を再現して高額の報酬を得る、通称「最期の料理人」である。幼少時に両親を亡くした充は、同じ境遇の柳沢健(綾野剛)とともに施設で育ち、自らの才能を頼りに起業。しかし、経営に失敗して多額の借金を抱え込み、今や料理への情熱も失いつつあった。そんな時、破格の依頼が舞い込んできた。依頼人の名は楊晴明(笈田ヨシ)。世界各国のVIPが彼の料理を食べに来るという、中国料理界の重鎮。楊の依頼とは、かつて満洲国で日本人料理人・山形直太朗(西島秀俊)が考案したという、伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」のレシピの再現であった。当時、山形の調理助手として楊もメニュー作成に協力していたが、太平洋戦争開戦によって消息を絶った山形とともにレシピ集も散逸されたという。そして驚くべきことに、山形もまた充と同じ“麒麟の舌”を持つ料理人であった。太平洋戦争開戦直前の満洲国で、山形の身に何が起きたのか…? なぜ料理は発表されないまま歴史の闇に消えてしまったのか…? 70年の時を超えて、充は、真実へと辿りつくことができるのだろうか。

もみじ 彼は、愛に人生を捧げた悲運の天才料理人。
1930年代、満洲国―「満漢全席」を超える、究極の日本料理を開発せよ。


天皇の料理番・山形直太朗は国命を受けて、究極の日本料理フルコース「大日本帝国食菜全席」のメニュー開発のため、妻・千鶴(宮﨑あおい)とともに満洲国に移住する。現地での助手は満洲人の楊晴明と、日本人青年の鎌田正太郎(西畑大吾)。たった4人で「満漢全席」を超える料理を考案できるのだろうか…。
しかし、山形には特殊ともいえる才能があった。全ての味を記憶・再現できる“麒麟の舌”。世界中の食材が集まる満洲で、山形の才能は大きく開花する。やがて山形は、日本と他国の料理を融合して新たなレシピを生み出すことが民族間の相互理解の助けとなる⇒「料理をもって和を成せる」と思い及ぶようになり、これまで以上にメニュー開発に没頭していく。愛する家族のことも顧みず…。そんな時、ハルビン関東軍司令部の陸軍大佐・三宅太蔵(竹野内豊)から、満洲国への天皇行幸が決定したという知らせを受ける。その晩餐会で、「大日本帝国食菜全席」をお披露目するのだ。しかし、その裏には戦争へと傾倒する日本軍部が画策した、巨大な陰謀が渦巻いていた。それに気付いた山形は、レシピにあるメッセージを遺そうとするのだが…。

▼予告編

2017年11月22日(水)吉祥寺オデヲン(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、12:10~鑑賞。

「ローガン・ラッキー」

作品データ :
原題 LOGAN LUCKY
製作年 2017年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント STAR CHANNEL MOVIES
上映時間 119分


『トラフィック』や『オーシャンズ』シリーズなどのスティーブン・ソダーバーグがメガホンを取ったクライム・エンターテイメント(2013年の監督引退宣言後の復帰第1作)。カーレース「NASCAR」(ナスカー)を舞台に、一攫千金を企む「きょうだい(兄・弟・妹)」と爆破のプロが繰り広げる破天荒な強盗計画の行方をコミカルに描く。『フォックスキャッチャー』のチャニング・テイタム、『ハングリー・ハーツ』のアダム・ドライバー、『007』シリーズのダニエル・クレイグのほか、ヒラリー・スワンク、ライリー・キーオらが出演。

ストーリー :
足が不自由で仕事を失い、家族にも逃げられ失意の人生を送る炭鉱夫ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)。一発逆転を目論む彼は、シャーロット・モーター・スピードウェイでまもなく開催される全米最大のモーターカーイベントNASCARのレース中に金庫から大金を盗み出すという前代未聞の強奪計画を企てる。戦争で片腕を失った元軍人で冴えないバーテンダーの弟クライド(アダム・ドライバー)、そして美容師でカーマニアの妹メリー(ライリー・キーオ)を仲間に加えたジミーだったが、ツキに見放されてきたローガン一家だけでは何とも頼りない。そこで、この大胆な犯行を成功させるため、爆破のプロで現在服役中の変人ジョー・バング(ダニエル・クレイグ)に協力を仰ぐ。彼を一時的に脱獄させてレース場の金庫を爆破した後、看守が彼の不在に気づかないうちに刑務所に戻すという作戦だ。レース当日、ローガン一味は何百万ドルもの売上金を運ぶ気送管設備があるサーキットの地下に侵入。全米犯罪史上最も驚くべき強盗事件は成功したかのように見えた…しかしFBI捜査官の執念深い捜査の手がすぐそこまで迫っていた―。

▼予告編



■私感 :
なかなか面白い映画だった。
本作は批評家お歴々から高く評価されているとのこと。私は以下の一文に、すぐに合点が行った。
≪映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには216件のレビューがあり、批評家支持率は93%、平均点は10点満点で7.5点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「知的でありながら、しかも気取らない上質の面白さが詰まっている。『ローガン・ラッキー』はスティーブン・ソダーバーグの引退期間の終了を告げる作品であり、彼が観客を楽しませる能力を失っていないことを証明している。」となっている。また、Metacriticには51件のレビューがあり、加重平均値は78/100となっている。…/『バラエティ』のオーウェン・グレイバーマンは「スティーブン・ソダーバーグ監督の『ローガン・ラッキー』には勢いがある。また、堕落した人間たちがほんの一瞬放った輝きを上手く捉えている。」と称賛している。『ハリウッド・レポーター』のトッド・マッカーシーは「『ローガン・ラッキー』は良き時代の映画であり、お高くとまっていない。観客を感動させるための派手な演出や、何か深遠なものがあるかのように見せる演出がない。観客を楽しませることだけが目的の映画であり、かなり良い仕事だと思う。」と述べている。一方、『ニューヨーク・オブザーバー』のレックス・リードは評価できる点があることは認めつつも、「映画監督としてのソダーバーグは過大評価されている。」「『オーシャンズ11』より物語が進むペースが遅く、もたついているように思える。」「長所が活かせていない。『ローガン・ラッキー』には魅力もあるが、不十分な出来映えである。」と批判している。≫(『ウィキペディア日本語版』「ローガン・ラッキー」2017年12月1日閲覧)

複数のメンバーで完全犯罪を目論むストーリーは、かつて私が鑑賞した、ソダーバーグの代表作『オーシャンズ』シリーズ(『オーシャンズ 11』2001年→『オーシャンズ12』2004年→『オーシャンズ13 』2007年)によく似ている。
『オーシャンズ』がお洒落で垢抜けして派手やかなのに対し、本作はユルくてアナログ、ちょっと野暮ったい印象だ。だが、これが、独特の味わいがあって、素朴に面白い。
何とも不器用でマヌケ、でも愛すべきキャラクターたちが、すっとぼけたミスで笑いを誘いつつ、案外巧妙な犯罪計画を進めていく~資金や最先端の武器の代わりに、知恵と度胸と愛嬌で勝負!~。これは観る者を少しも退屈させない粋なエンタメである。

それにしても、金髪&タトゥーの、伝説の爆破犯ジョーを怪演したダニエル・クレイグ(Daniel Craig、1968~)には驚かされた!
クレイグと言えば、あの(6代目)ジェームズ・ボンド役で知られ、『007 カジノ・ロワイヤル』(2006年)→『007 慰めの報酬』(2008年)→『007 スカイフォール』(2012年)→『007 スペクター』(2015年)の4作品でボンドを演じて、いずれも高い評価を受けるとともに興行的にも大成功を収めた(cf. 本ブログ〈December 08, 2015〉)。[ちなみに、2012年7月27日のロンドン・オリンピック(第30回夏季オリンピック)開会式で、クレイグ扮するタキシード姿の当代ジェームズ・ボンドは、エリザベス2世女王をエスコートする!]

この「007」(=ダブル・オー・セブン 〈Double O Seven〉)という、クールでタフなヒーロー役から一転して、今作ではまさかの囚人役?!凄味を利かせる凶悪ぶりだが、囚人服を「白黒のベビー服」と称したり、小銭を巻き上げては茹で卵を買うなど、どこか野放図なユーモアを漂わせる。かっこいいボンド=クレイグとは真逆の新鮮な魅力を発散するジョー=クレイグ。一流のプロは、さすがに芸域が広い!

▼これ本当にダニエル・クレイグ? :
(ダニエル・クレイグが『007』シリーズでの紳士なスパイ役から一転、変人爆弾犯を嬉々として演じている!)



▼ cf. Daniel Craig Will Return As James Bond. :

2017年11月21日(火)吉祥寺プラザ(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-19、JR吉祥寺駅北口サンロード突き当たり左)で、13:15~鑑賞。

作品データ :
原題 HIDDEN FIGURES
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 127分


「ドリーム」

NASAで初期の宇宙開発計画を陰で支えた黒人女性スタッフの知られざる活躍を映画化した実録ヒューマン・ドラマ。人種や性別の壁に直面しながらも、卓越した知性と不屈の信念を武器に、自ら道を切り開いていった彼女たちのユーモアとバイタリティにあふれた生きざまを、軽妙かつ前向きな筆致で感動的に描き出す。NASAの頭脳として尽力した女性たちを、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のタラジ・P・ヘンソン、『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』のオクタヴィア・スペンサー、『ムーンライト』のジャネール・モネイが演じる。共演にケヴィン・コスナー、キルステン・ダンスト、ジム・パーソンズほか。監督は『ヴィンセントが教えてくれたこと』のセオドア・メルフィ。

ストーリー :
1961年、東西冷戦下のアメリカとソ連は、熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが計算手として“西計算グループ”で働いていた。リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は、管理職への昇進を希望しているが、上司ミッチェル(キルステン・ダンスト)に「黒人グループには管理職を置かない」とすげなく却下されてしまう。技術部への転属が決まったメアリー(ジャネール・モネイ)は、エンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めている。幼い頃から数学の天才少女と呼ばれてきたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、黒人女性として初めてハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、白人男性ばかりの職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレすらなかった。それでも、それぞれ家庭を持つ3人は、公私共に毎日をひたむきに生き、国家の威信をかけたNASAのマーキュリー計画に貢献しようと奮闘していた。
1961年4月12日、ソ連はユーリ・ガガーリンを乗せたボストーク1号で史上初の有人宇宙飛行を成功させる。ソ連に先を越されたNASAへの猛烈なプレッシャーのなか、キャサリンはロケットの打ち上げに欠かせない複雑な計算や解析に取り組み、その実力をハリソンに認められ、宇宙特別研究本部で中心的な役割を任される。ドロシーは新たに導入されたIBMのコンピュータを使ったデータ処理の担当に指名された。メアリーも裁判所への請願が実り、これまで白人専用だった学校で技術者養成プログラムを受けるチャンスを掴む。さらに夫に先立たれ、女手ひとつで3人の子を育ててきたキャサリンは、教会で出会ったジム・ジョンソン中佐(マハーシャラ・アリ)からの誠実なプロポーズを受け入れるのだった。
そして1962年2月20日、宇宙飛行士ジョン・グレン(グレン・パウエル)がアメリカ初の地球周回軌道飛行に挑む日がやってきた。ところが、その歴史的偉業に全米の注目が集まるなか、打ち上げ直前に想定外のトラブルが発生。コンピュータには任せられないある重大な“計算”が託されたのは、すでに職務を終えて宇宙特別研究本部を離れていたキャサリンだった…。

▼予告編



▼ Go Behind the Scenes :



▼ Ending Scene :

2017年11月16日(木)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、19:30~鑑賞(再見)。『セッション』17:25~と2本立て上映。

※『セッション』は再見。2015年6月24日(水)吉祥寺プラザで初見(本ブログ〈June 27, 2015〉)。

本作は同年2月24日、TOHOシネマズ新宿で初見(本ブログ〈March 10, 2017〉)。



エマ・ストーン(Emma Stone、1988~)演じるミアは、女優を目指すがなかなか叶わず、オーディションの合間にロサンゼルスにあるワーナー・ブラザースの喫茶店でバリスタとして働く―。
ライアン・ゴスリング(Ryan Gosling、1980~)演じるセバスチャン(セブ)は、自分のクラブを持つことを夢見ながら、生活のためにバーでのカクテル・パーティで演奏するジャズ・ピアニストとして働く―。

ストーン、ゴスリング、二人とも何とも魅力的な俳優で、さまざまな役を演じながらも、常に際立ったイメージを保っている。

▼Ryan Gosling and Emma Stone Funny Moments PART 1 :

Ryan Gosling and Emma Stone Funny Moments PART 2 :

Ryan Gosling and Emma Stone Funny Moments PART 3 :


キスマーク エマ・ストーンは赤髪(地毛は金髪!?)と音域の低いハスキーボイスが特徴的。

彼女の出演作については、私はこれまでに、『ラブ・アゲイン』(2011年)→『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』(2011年)→『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)→『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)→『マジック・イン・ムーンライト』(2014年)→『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)→『教授のおかしな妄想殺人』(2015年)を鑑賞。
この7作中、私にとって一番印象深い作品は、『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』(原題:The Help、テイト・テイラー監督)。公民権運動が盛んとなった1960年代のミシシッピ州ジャクソンを舞台に、白人の富裕層家庭に仕える黒人メイドたちとそれを取材する新米記者スキーター(エマ・ストーン)の挑戦が描かれる。

▼ cf. “The Help” 予告編 :


ひらめき電球 ライアン・ゴスリングは演技はもちろん、歌やピアノも上手で何でもできる多芸多才な役者である。

彼の出演作については、私はこれまでに、『きみに読む物語』(2004年)→『ラースと、その彼女』(2007年)→『ブルーバレンタイン』(2010年)→『ラブ・アゲイン』(2011年)→『ドライヴ』(2011年)→『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』(2011年)→『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(2012年)→『L.A. ギャング ストーリー』(2013年)→『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)を鑑賞。
この9作中、私にとって一番思い出深い作品は、レイチェル・マクアダムスと共演した『きみに読む物語』(原題:The Notebook、ニック・カサヴェテス監督)(cf.本ブログ〈June 14, 2016 〉/本ブログ〈June 24, 2016〉/本ブログ〈June 26, 2016〉)。身分違いの純愛を貫く若き恋人同士の情熱的な愛と彼らの行く末がつづられる。数多くの「最高のロマンティック映画」リストにランクインされる名作映画である。

▼ cf. “The Notebook” 予告編 :
2017年11月11日(土)テアトル新宿(東京都新宿区新宿3-14-20 新宿テアトルビルB1F)で、20:50~鑑賞。

作品データ :
製作年 2017年
製作国 日本 キューバ
配給 キノフィルムズ
上映時間 124分


「エルネスト」

キューバ革命の歴史的英雄チェ・ゲバラ(“Che” Guevara、1928~1967/10/09)と行動を共にした日系人青年、フレディ前村ウルタード(Freddy Maemura Hurtado、1941/10/18~1967/08/31)の知られざる数奇な人生を描いた日本・キューバ合作映画。主演は『血と骨』『FOUJITA』などのオダギリジョー、共演に『海辺の生と死』などの永山絢斗、写真家・ダンサーでもあるホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ(Juan Miguel Valero Acosta、1988~)ほか。メガホンを取るのは、『人類資金』『団地』などの阪本順治。

※アルゼンチン生まれの革命家~キューバ革命の指導者~、エルネスト・ラファエル・ゲバラ=デラセルナ(Ernesto Rafael Guevara de la Serna)は、「チェ・ゲバラ」の呼び名で知られる。「チェ」は主にアルゼンチンやウルグアイ、パラグアイで使われているスペイン語(リオプラテンセ・スペイン語をはじめとする諸方言)で「やぁ」「おい」「お前(親しみを込めた)」「ダチ」といった砕けた呼びかけの言葉であり、ゲバラが初対面の相手にしばしば「チェ。エルネスト・ゲバラだ」と挨拶していたことから、キューバ人たちが「チェ」の発音を面白がり付けたあだ名である。ラテンアメリカではキューバ革命以降「チェ」もしくは「エル・チェ (El Che)」(「el」男性定冠詞単数形)といえば彼のことを指す。日本ではチェ・ゲバラのほかに、本名からエルネスト・ゲバラ、エルネスト・チェ・ゲバラと呼ばれることも多い。

ストーリー :
1959年7月24日、外務省の中南米課のもとに1本の電話が入る。日本を訪問していた“エルネスト”・チェ・ゲバラ(ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ)らが急遽、広島へ向かったという。ほとんどの記者が興味を示さずにいたが、唯一地元の中国新聞社・森記者(永山絢斗)だけが取材に同行。ゲバラは原爆ドームや原爆資料館などを訪れ、こう感想を述べるのだった。「君たちは、アメリカにこんな酷い目に遭わされて、どうして怒らないんだ」と。
それから数年後の1962年4月、一人の日系人青年がキューバの地に立っていた。愛する祖国ボリビアのため、医者になることを決意し、ハバナ大学の医学部を目指してやってきたフレディ前村(オダギリジョー)である。
20歳の彼は、ハバナ大への入学を前に、最高指導者フィデル・カストロ(ロベルト・エスピノーサ・セバスコ)によって創立されたヒロン浜勝利医学校で、医学の予備過程を学ぶこととなる。
1963年の元旦に憧れのゲバラが学校にやってきて、フレディは個人的に話しかけた。「あなたの絶対的自信はどこから?」。ゲバラは答えた。「自信とかではなく怒っているんだ、いつも。怒りは、憎しみとは違う。憎しみから始まる戦いは勝てない」。
そんな矢先、母国ボリビアで軍事クーデターが起こり、フレディは「革命支援隊」に加わることを決意する。革命戦士としての訓練を続けた彼は、ある日、司令官室に呼ばれ、ゲバラから戦地での戦士ネームである、“エルネスト・メディコ”~ゲバラのファーストネーム「エルネスト」+「メディコ」(医師)~という名を授けられ、ボリビアでの戦いへと向かうのだった…。

▼予告編



▼スペシャルメイキング映像

2017年11月11日(土)シネマート新宿(東京都新宿区新宿3-13-3 新宿文化ビル6・7F)で、19:00~鑑賞。

「バトルロイヤル」

作品データ :
原題 ТАНЦЫ НАСМЕРТЬ
製作年 2017年
製作国 ロシア
配給 「バトルロイヤル」上映委員会
上映時間 103分


荒廃した近未来で死のダンストーナメントに挑む若者たちの戦いを描いたロシア製SFアクション。監督は『ゲーム・オブ・ウォー 最終戦争』のアンドレイ・ヴォールギン。

ストーリー :
近未来、核戦争により環境が激変した地球で、世界は滅亡の危機に陥っていた。人類は人体から運動エネルギーを抽出するテクノロジーを開発する。荒廃したモスクワでは、若者たちが参加する死のダンス・トーナメントが開催されており、スラム街で暮らす青年コスチャ(イワン・ズヴァキン)は逮捕され、トーナメントに強制参加させられる。そこで彼は、自らトーナメントに志願した上流階級の娘アーニャ(リュカーヤ・イリヤシェンコ)と出会う。参加者7人のうち、最後まで勝ち残れるのはたった1人。しかも、敗者は“地球の怒り”を鎮めるための生け贄にされてしまう。命を懸けてバトルに挑むコスチャとアーニャだったが…。二人の運命や、いかに…?

▼予告編

2017年11月11日(土)シネマート新宿(東京都新宿区新宿3-13-3 新宿文化ビル6・7F)で、16:45~鑑賞。

「ザ・ボディガード」

作品データ :
原題 THE HUNTER'S PRAYER
製作年 2017年
製作国 アメリカ
配給 AMGエンタテインメント
上映時間 91分


『ターミネーター3』のジョナサン・モストウ監督が『アバター』のサム・ワーシントンを主演に迎え、標的であるはずの女性を守ることになった殺し屋が壮絶な戦いに身を投じる姿を描いたクライムアクション。主人公が命懸けで守るヒロインに『ギヴァー 記憶を注ぐ者』のオデイア・ラッシュが扮するほか、『スーサイド・スクワッド』のジョエル・キナマン、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のアレン・リーチらが共演。

ストーリー :
凄腕の殺し屋ルーカス(サム・ワーシントン)は、マフィアのリチャード(アレン・リーチ)から女子高生エラ(オデイア・ラッシュ)の殺害を依頼される。殺し屋稼業から足を洗い、妻と娘と静かな生活を望むルーカスだったが、依頼を断れば家族の命はない。エラを見つけ出し銃口を向けるが、助けてと懇願する彼女を前に、娘の姿が重なり引き金を引くことができない。両親を殺されたエラを守ることを決意した彼は、やがて組織を裏切ったことでリチャードに懸賞金をかけられ、世界中の殺し屋たちに命を狙われることになる…。

▼予告編