映画『007 スペクター』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2015年12月4日(金)新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3-15-15、JR新宿駅東口より徒歩5分)で、18:15~鑑賞。

作品データ
原題 SPECTRE
製作年 2015年
製作国 イギリス
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
上映時間 148分


イーオン・プロダクションズ(Eon Productions、1962年創設)製作による映画「007」シリーズの第24作目。ジェームズ・ボンドの知られざる過去や、宿敵である悪の組織「スペクター」との戦いが描かれる
ダニエル・クレイグ4度目の「ボンド」役を演じる。前作『007 スカイフォール』に続きサム・メンデス監督がメガホンをとり、レイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリスら共演陣も続投。新たなキャストとして、ボンドガールとなるレア・セドゥモニカ・ベルッチ、『パレードへようこそ』のアンドリュー・スコット、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のデイヴ・バウティスタ、そしてオスカー俳優のクリストフ・ヴァルツらが参加。

ストーリー
メキシコシティ。年に一度の「死者の日」の祝祭の最中、MI-6諜報部員007ことジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は建物の屋上から、向かいの窓越しの男たちに狙いを定めていた。ボンドの銃口が火を噴くと、建物が崩れ落ち周囲が騒然とする。逃げる目標の男スキアラを追うボンド。その後、ヘリコプター(MBB Bo 105)の中で激しい格闘になるが、遂にスキアラをヘリから突き落とす。ボンドが彼の指から抜き取った指輪には、ある「組織」のマークが刻印されていた。

ロンドンのMI-6本部に戻ったボンドは、上司のM(レイフ・ファインズ)にメキシコシティでの一件を叱責され、しばらくの間謹慎命令を下される。

サポート役のマネーペニー(ナオミ・ハリス)は、ボンドが幼少期を過ごした古屋敷"スカイフォール"の焼け跡からの残骸をボンドの自宅へ届ける(前作『007 スカイフォール』で、ボンドの生家「スカイフォール」は悪役ラウル・シルヴァの攻撃を受け焼けてしまう)。彼女がメキシコシティでの行動の目的をボンドに尋ねると、それが前任のM(ジュディ・デンチ同作で落命)の遺言(ビデオ映像による最期の指令)に基づくものだったことが明かされる。
ボンドは彼女が持って来た残骸の中から一部が燃えてしまった写真を見つける。そこには、まだ幼いボンドと中央には義父、そして一番右にもう一人の人物が写っていた。

その後、ボンドはQ(ベン・ウィショー)のもとを訪れ、ひそかにアストンマーティンDB10開発費が5億5000万円もの超高額車!を持ち出し、前任のMの遺言に従ってローマに向かう。メキシコで始末したスキアラの葬儀で、謎の「組織」の一員だった夫スキアラをボンドに殺された美しい未亡人ルチア(モニカ・ベルッチ)に近づく。彼女を誘惑したボンドは命を助けることと引き換えに、彼女からスキアラが話していた「組織」の秘密会議が開かれる場所を聞く。
会議に潜入したボンドは、「組織」の首領がフランツ・オーベルハウザークリストフ・ヴァルツ)という男だと知る。
しかし、潜入がばれてしまい、ボンドは急遽会場を脱出し、DB10で逃走→組織」の殺し屋Mr.ヒンクス(デイヴ・バウティスタ)がジャガーC-X75で、これを追走。夜のローマの街をハイスピードで駆け抜ける白熱したカーチェイス!結局、DB10をティベル川に沈めてしまうも、ボンドは危機一髪のところでパラシュートで脱出する(※DB10はQによる派手な特殊装備を搭載、その極めつけは「エアー」スイッチ=同車のルーフが開いてドライバーを車外へ放出する緊急脱出装置)

ボンドはマネーペニーとの連絡で、今は行方不明中の、かつての敵・Mr.ホワイト(イェスパー・クリステンセン『007 カジノ・ロワイヤル』→『007 慰めの報酬』でボンドと対峙)が問題の“謎”を解く鍵を握っていることを掴(つか)む。

ボンドはホワイトの足取りを追ってオーストリアへと移動する。彼は潜伏先の山荘で、変わり果てた姿をさらしていた。オーベルハウザーに逆らったことで彼は、「組織」に毒(タリウム)を盛られてしまい、余命いくばくもなかった。「組織」が世界規模で暗躍する巨大犯罪シンジケートであることをほのめかす彼は、自分同様に命を狙われている娘のマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)を助けることを条件にボンドに、娘が「組織」の謎を解く手掛かりとなる「アメリカン」の居場所を教えるだろうと告げる。ボンドが渡したワルサーPPKを手にした彼は、銃口を自らに向けて自決した。

一方、ロンドンでは、MI-5の新責任者であるCことマックス・デンビー(アンドリュー・スコット)が、ボンドの行動を問題視し、MI-6の存在意義に疑問を投げかけていた。そして、「00(ダブル・オー)」セクションの機能を停止させ、MI-6をMI-5に吸収させようとMを追い詰めていた。さらに、東京の世界会議で9か国の情報網を統合させる案の投票が開始され、その際に南アフリカは反対票を投じていたが後にテロが発生し賛成票に転じたことにより、同案が通過してしまう事態となった。
Cからローマにおけるボンドとマネーペニーの会話を監視していることを告げられたMは、マネーペニーとQにボンドの追跡を断念すべきである旨を伝えた。

ボンドはアルプスのホフラー診療所で医師を務める、ホワイトの娘マドレーヌを訪ねる。彼は事の一部始終を伝え、彼女の身を守る旨を申し出るものの、父の死を知った彼女はそれをすげなく断わる。
二人の関係がぎくしゃくする間、ボンドがしぶしぶ診療所のラウンジで待機していると、Qが現われ、MI-6に戻るようにとボンドを説得する。ボンドはそれに応じることなく、Qにスキアラから奪った指輪の解析を頼む。
と、そこでMr.ヒンクスを始めとする黒ずくめの男たちがマドレーヌを襲い、誘拐してしまう。ボンドは汎用機(ブリテン・ノーマン アイランダー)で彼らの車(ランドローバー・レンジローバースポーツSVR外2台)を追跡。林が続く雪原での飛行機vs車の大チェイスの後、ボンドはマドレーヌを救出する。
その後、ボンドとマドレーヌはホテルの一室でQ~彼もまた「組織」の者たちに追われ逃亡劇を繰り広げていた!~と合流。マドレーヌの情報提供で「組織」の名称が“スペクター”であることが判明。また、Qによる指輪(スペクター・リング)の解析結果から、これまでボンドを襲った数々の悲劇を仕掛けてきたのが“スペクター”という巨大犯罪組織だったことが明らかになる。

当初、「アメリカン」が特定の人物を示す言葉だと思っていたボンドは、マドレーヌからそれがホテルの名前だと告げられる。モロッコタンジールのホテル・アメリカンは、Mr.ホワイトが新婚旅行で利用して以来、毎年家族旅行で訪れていた思い出の場所だった。早速ホワイトの行きつけの部屋で手掛かりを探すボンドだったが、見つかったのは1本の酒だけ。半ば諦めかけたところ、1匹のネズミが逃げ込んだ壁に貼り付けられていた絵がずれていることに気づき壁を破壊、隠し部屋を発見する。そこでボンドとマドレーヌは、ホワイトが衛星電話でオーベルハウザーを追っていたことを知るとともに、「スペクター」の本拠地の位置を示す座標のメモを発見する。座標の数字を地図と照らし合わせると、そこは北アフリカの砂漠のど真ん中だった。

ボンドとマドレーヌは、列車で「スペクター」の秘密基地へ向かう。束の間の休息のような二人旅。ディナーでドレスアップした見目麗しいマドレーヌにボンドは魅せられる!
が、食堂車でボンド愛飲のウオッカ・マティーニを注文し、二人が食事を始めたその瞬間、又もMr.ヒンクスの猛襲を食らう!ボンドは激しい肉弾戦を交えるも、巨漢ヒンクスデイヴ・バウティスタの身長198センチ・体重131キロの圧倒的なパワーに苦戦また苦戦!
マドレーヌの援護射撃のもとで、ボンドはヒンクスの首にロープを巻きつけて、ドラム缶と一緒に列車の外に投げ出すことに辛うじて成功する。

その後、二人はついに秘密基地に到着。オーベルハウザーから丁寧に基地内を、特に多数のオペレーターがPCを操作するコールセンターを案内される。
同センターはCの提唱する情報網統合案「ナイン・アイズ」で各国の機密情報を手中に収めるための施設だった。ボンドはMI-5のCまでもが「スペクター」の手先だったと悟る。
オーベルハウザーはマドレーヌに、父親ホワイトのみじめな最期の映像を見せつけようとする。ボンドは事態を制止しようとするもかなわず、直後にオーベルハウザーの部下に昏倒させられてしまう。

意識を取り戻したボンドは拷問台に縛られながら、オーベルハウザーから家族の話を知らされる。
オーベルハウザーは一人っ子だったが、ある日養子の弟が現われて、父親がその弟を愛しているようだったので、20年前に雪崩事故と偽って父親を殺し、本人も死亡したことにして姿をくらまし、以後は母親の姓で「エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド」を名乗っているとのこと。

ボンドははっきりと悟った。「養子の弟」というのが自分であり、ボンドとオーベルハウザーが義理の兄弟であることを。また、オーベルハウザーがあのブロフェルドにほかならないことを。
ボンドは両親を亡くした後、ヨハン・オーベルハウザーという人物に養子に迎えられた。そのヨハンの実の息子がフランツ・オーベルハウザーで、フランツとボンドの二人は義兄弟として一緒にヨハンに育てられた。
そして、フランツ・オーベルハウザー⇒ブロフェルドが過去の事件のル・シッフル、ヴェスパー・リンド、ドミニク・グリーン、ラウル・シルヴァ(ダニエル・クレイグ版「007」シリーズ3作『007 カジノ・ロワイヤル』→『007 慰めの報酬』→『007 スカイフォール』に登場)をすべて、陰で操っていたのだった。

オーベルハウザー=ブロフェルドはボンドを拷問にかける。その頭部に極細のドリルを刺して、神経を痛めて殺そうとする。もはや絶体絶命のピンチ!
しかし、マドレーヌの機転と相俟って、ボンドは咄嗟の隙を突いて、Qの開発品[オメガの腕時計(Omega Seamaster 300 Master Co-Axial)の1分式タイマー爆弾]を駆使し、何とか窮地を脱出。
ボンドとマドレーヌは銃撃戦→ガスタンクの爆破で施設を破壊した後、ヘリ(MD500E)で逃げおおせる。

その後、ボンドはマドレーヌを連れて、ロンドンに帰る。そして、M、Q、マネーペニー、タナー(ロリー・キニア)と落ち合い、Cを捕らえてその日の24時に稼働予定の「ナイン・アイズ」を阻止しようとする。しかし、マドレーヌはスパイとして生きるボンドとの連係プレーに躊躇し、「私はここまで」と一行から身を引く。

Cがいる新設されたCNS(Centre for National Security=国家安全保障センター)に車で向かう一行。

※CNSはMI-5とMI-6を統合した「Joint Security Service(ジョイント・セキュリティー・サービス)」が入るビル。MI-5はMilitary Intelligence Section 5(英国内防諜機関)の、ボンドの勤めるMI-6はMilitary Intelligence Section 6(対外諜報機関)の略称。MI-5長官の「C」ことマックス・デンビーは、Joint Security Serviceという新・統合諜報部のトップを務めることになった

途中、ボンドとMの乗った車両(ジャガーXJ)がCの配下(「スペクター」の一味)に急襲され、ボンドは旧MI-6本部(前作『007 スカイフォール』で爆破され廃墟と化す)へと拉致されてしまう。
ボンドはこの配下を倒し拘束を解くにいたるも、あえてCNSには向かわず、旧MI-6廃墟内に進入する。そして、最深部までたどりつくと、そこには右目を失明し顔面に深く傷を負った、あのオーベルハウザー/ブロフェルドが待ち受けていたではないか!彼は基地の大爆発も物かは、しぶとく生きていたのだった。
オーベルハウザーはマドレーヌをこの建物内のどこかに監禁したと言い、さらに仕掛けた爆弾で建物はあと3分で爆発すると言い残し、その場を立ち去る。

一方、車両から逃げおおせたMはQ、マネーペニー、タナーと合流し、旧MI-6本部の対岸にあるCNSに向かう。そこでQは「ナイン・アイズ」をハッキングしてその稼働を阻止することに間一髪で成功する。また、MがCと対峙した結果、Cは建物から転落死してしまう。

ボンドは荒れ果てた建物の中を必死に駆け回り、時間内ギリギリでマドレーヌを見つけ出して拘束を解く。そして間一髪、ボートで脱出。旧MI-6本部は大爆発で、跡形もなく崩落!

ボンドはマドレーヌと共にボートに乗ったまま、ヘリコプター(アグスタウエストランドAW109)に搭乗し逃走するオーベルハウザーを追跡し、銃をヘリめがけて撃つ→1発の銃弾がエンジン部分に当たる→ヘリコプターはウェストミンスター橋に墜落する!

ヘリコプターから負傷したオーベルハウザーが抜けだし、必死に体を引きずって逃げようとする。ボンドが彼の目の前に立ちはだかり、ワルサーPPKを突きつける。マドレーヌのほか、Mも一定の距離からボンドとオーベルハウザーを見守っている…。
オーベルハウザーはボンドに「撃てよ。早く撃て!」と挑発する。ボンドは銃弾をすべて抜き、銃をどこかに放り投げ、「弾切れだ。それに、私には他にもっとやることがある」と言い残し、マドレーヌのもとへと向かった。二人は抱擁を交わすと、手をつなぎ、その場を後にするのだった。
彼ボンドは最も憎むべき仇敵であるオーベルハウザー/ブロフェルドを殺し「影の世界」に戻る~必死に壮絶で重いものを抱えて孤独に戦う~道ではなく、一人の男として心から愛する女性マドレーヌと共に生きる道を選ぶ。…
その後、Mによりオーベルハウザーの身柄が確保される。

事件後、Qのもとに引退したはずのボンドが姿を現わす。驚くQを尻目に、彼はアストンマーティンDB5を取りに来たことを告げる。それは先に(前作『007 スカイフォール』で)大破するもQにより完璧に修復されていた車だった。

市街でDB5のハンドルを握るボンド。助手席にはマドレーヌがいて、ボンドを見て笑みを浮かべると、ボンドはアクセルを踏んだのだった。そして、エンドロール。

めでたし、めでたし!ダニエル・クレイグ版ボンド映画はこれで完了!?…)

▼予告編



▼ムービークリップ(本編映像の一部) :



▼SPECTRE:Daniel Craig“James Bond”Interview on the new James Bond Movie
ダニエル・クレイグ(1968~)インタビュー :



The Bond Women of SPECTRE(二人のボンドガール)
ボンドガールをレア・セドゥ(Léa Seydoux、1985~)とモニカ・ベルッチ(Monica Bellucci、1964~)というフランスとイタリアを代表する美女が熱演 ! :



Theme Song “Writing’s On The Wall” Performed by Sam Smith
サム・スミス(1992~、イギリスのシンガーソングライター)「ライティングズ・オン・ザ・ウォール」(『007 スペクター』主題歌) :



私感
私はこれまでに「007」シリーズ歴代作品全23作のすべてを鑑賞した(cf.本ブログ〈September 18, 2015〉記事)。
1963年に『007ドクター・ノオ』に出会って以来実に50余年、飽くことなく同シリーズを観つづけてきた。

♦今作=24作目では、『007 カジノ・ロワイヤル』(第21作、2006年)→『007 慰めの報酬』(第22作、2008年)→『007 スカイフォール』(第23作、2012年)で散りばめた伏線を、ストーリー中で巧みに回収している。
しかも『007 ロシアより愛をこめて』(第2作)や『007は二度死ぬ』(第5作)や『女王陛下の007』(第6作)など古き良き1960年代の「007」シリーズへの「目配せ」(オマージュ)もある。
さらに、これまで権利関係のトラブルにより、『007 ダイヤモンドは永遠に』(第7作、1971年)を最後に登場しなくなった「スペクター」と「ブロフェルド」が44年ぶりに復活している。

※ちなみに、「007」シリーズ第1作の『007 ドクター・ノオ』(原題:Dr. No、1962年製作)の場合、1963年6月の日本初公開時の邦題は『007は殺しの番号』。
また、第2作の『007 ロシアより愛をこめて』(原題:From Russia with Love、1963年製作)の場合、1964年4月の日本初公開時の邦題は『007 危機一発』。

※国際的犯罪組織「スペクターSPECTRE」とは、SPecial Executive for Counter-intelligence, Terrorism, Revenge, and Extortion (防諜・テロ・報復・恐喝を目的とする特別執行機関)の略【=英単語のspectre(幽霊。米語ではspecter)を掛けている】。
この「スペクター」のドン(首領)として君臨するのが、“№1”こと「エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドErnst Stavro Blofeld」。
この世界征服を狙う悪役(スーパーヴィラン)は、ジェームズ・ボンドにとって、これまでの「007」シリーズの中で何度も対峙している、並々ならぬ因縁の宿敵にほかならない。


♦本作に登場のボンドガール、「マフィアの未亡人」モニカ・ベルッチと「殺し屋の娘」レア・セドゥ
何(いず)れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)!

私はモニカ・ベルッチの出演作を、これまでに11作観た。

『ドラキュラ』(1992年)→『アンダー・サスピション』(2000年)→『マレーナ』(2000年)→『アレックス』(2002年)→『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(2003年)→『マトリックス・リローデッド』(2003年)→『マトリックス・レボリューションズ』(2003年)→『シューテム・アップ』(2007年)→『マルセイユの決着(おとしまえ)』(2007年)→『50歳の恋愛白書』(2009年)→『昼下がり、ローマの恋』(2011年)。

モニカ・ベルッチは「イタリアの宝石」と称される元祖美魔女。モデルとして一時代を築いた後、女優に転身、現在イタリアで最も世界的成功を収めた女優の一人だ。
本作でボンドガールを演じた彼女は、1964年9月30日生まれだから、何と51歳!
「007」シリーズ史上最高齢にして最も妖艶なボンドガールではあった。
未亡人・熟女・エロス―の三拍子が程よくブレンドされた、眩しいばかりの艶(なま)めかしさ!
私のエロチックな想像力がムラムラとかき立てられました!

私はレア・セドゥの出演作を、これまでに6作観た。

『ロビン・フッド』(2010年)→『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年)→『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)→『アデル、ブルーは熱い色』(2013年)→『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)→『美女と野獣』(2014年)。

この6作中、私が彼女の存在をまざまざと感じ取った作品が『アデル、ブルーは熱い色』。
同作は運命的に出会った女性同士の真っすぐな愛の行方を大胆なラブシーンを交えて繊細に描き出す衝撃作。既存の殻を打ち破った、映画史上に残る傑作と言われる。
エマ役のレア・セドゥとアデル役のアデル・エグザルコプロス(Adèle Exarchopoulos、1993~)による濃厚なレズビアンシーン、まこと強烈でした!

フランスの若手演技派レア・セドゥは、コケティッシュかつアンニュイな雰囲気を身につけている。色気がありつつ、憂いがありつつ、かわいらしくもある。そして、ミステリアスな魅力を湛(たた)えている。
本作での彼女は、ボンドの旧敵・Mr.ホワイトの娘で女性医師。最初はボンドに反抗心を抱くも、次第に2人は強烈に惹かれ合う。
映画の後半は出ずっぱりで、清涼の気がみなぎった、強い内面を持つセクシーなボンドガールを見事に演じつづけた。

それにしても、劇中で彼女が見せたドレス姿の艶(あで)やかなこと!
グラマラスなボディーラインがくっきり出るような、背を大胆にカットした露出度の高い、その優艶ないでたち!
映像を食い入るような目で見つめる私の体の奥から不意に、ぞくぞくするような嬉しさが込み上げてきたのでした!

実は、本作のボンドガールは、厳密にはもう一人いた。
メキシコ人女優のステファニー・シグマン(Stephanie Sigman、1987~)である。
彼女はメキシコシティへやって来たボンドが「死者の日」の伝統的なお祭りで出会うエキゾチックな美人、エストレーラ役を演じる。
メキシコ出身女性がボンドガールとなるのは、彼女が初。このことは様々なメディアに取り上げられ、ステファニーの名前を一躍有名にした。
もっとも、この3人目の「ボンドガール」役は、オープニング・シークエンスでの、文字どおり束の間のちょい役にすぎなかった。
私が彼女の出演作に出会ったのは、今作が初めて。

♦本作の大きな魅力は、各国でのロケーションだ。
・メキシコでは、例えばメキシコシティのフェステバルでの爆破シーンとヘリコプター・アクションシーン。
・イタリアでは、例えばローマの街中を疾走するカーチェイス・シーン。
・オーストリアでは、例えばアルプスの雪山での飛行機アクションシーン。
・モロッコでは、例えばエルフード郊外にあるサハラ砂漠での(2100ガロン=約7950リットルの灯油を用意した、映画史上最大の)爆発シーン。
・イギリスでは、例えばロンドンのテムズ川での、ボートと低空飛行するヘリコプターとの夜の追跡シーン。

メキシコからローマ、オーストリア、モロッコを経てイギリスへのグローバル・ロケーション→緊迫感で体じゅうが沸き立つアクションシーン、そして際立って美しい映像!
どこも壮大なスケールを感じさせる、風光明媚なロケ地は、いやが上にも私の旅情をかき立てる…。