神戸から大阪へ電車で戻ったもののアタシはヤスヒコとの喧嘩でずっと気分が悪かった
そのまま家に帰る気になれなかった
JR京橋のホームのベンチでしばらく座って考えていた
フっとケンのコトを思い出した
電話してどこかに遊びにつれて行ってもらおうと思ってた
「アタシ~今暇やねんけどどこか行けへん?」 「え~明日月曜やで」
「ええやん 仕事休みぃや w」 「いや明日調度休みやけど」
「ほなどっか連れてってよ~」 「もう風呂も入ったし家でゆっくりしたいねん」
「ふ~ん…じゃあいいや」
アタシは他の誰かを誘おうと諦めて電話を切ろうとしてた
「あ、ちょっと待って 今日って獅子座流星群が見える日ちゃうかったっけ?」
「なんかニュースとかで言うてたね 詳しくはわからんけど」
地元紙を捲って確認していたみたい
「やっぱし今日やで 見に行こか?」
「うん 行く行く 京橋の駅で待ってるから」
「近くまで行ったら電話するから待っててな」
いきなりの誘いだったけど結局遊びにつれていってくれる事になってアタシはホっとした
一人の部屋に戻ればいらん事まで考えてしまうから
京橋まで迎えに来てもらって六甲山へ向かった
車ではアタシの好きなドリカムの古いCDが流れててちょっとワクワクしてヤスヒコとの喧嘩の事も忘れさせてくれた
山頂には結構沢山の車が集まってて、それでも結構上に近いところに車を止めて今か今かって空を見てた
星が流れ始めるとどこからともなくゥワーッって声が聞こえた
普通の流れ星と違って、尻尾のところがぶっちょくて一個の流れ星が消えるまで結構時間があった
そんな流星が何度も何度も空を飾ってるねん
ほんとにむっちゃ綺麗かった
アタシも車から降りて空を見て目は釘付けになった
ずっとそうしてたらありえへん位手がかじかんで一旦車に戻った
「あーむっちゃ手が冷えたッ さっむいなぁ」て言ったらケンが「手貸してみ」ってアタシの手を包んで暖めた
何気なくやったんか計算かわからへんけどドキドキした
そんで手も暖まったからまた外に出て流れ星を見てた
夜が明ける前くらいまでずっと星は流れててアタシもいいもの見れて感動してた
六甲を降りる時にふいにケンが車を止めた
「夜景見ていけへん?」「あー見る見る 六甲の夜景なんて何年振りやわ」
アタシは和浩と見て以来の六甲の夜景を黙って眺めた
それにしても寒かったのね
そしたらケンが自分の上着をアタシにかけてきてん
そんで肩を抱いてくるねん…
ここでアタシは気付いた(オソイ?)
(こいつアタシに惚れてんちゃうか?)
しばらくして車に戻ってから六甲を降りてんけどケンはもうちょっとどっか行こうって言ってた
アタシは神戸の街が大好きやって、中でもなんか知らんけどメリケンパークが好き
そん時も「じゃあメリケンパーク行こうか」って言って道案内をした
夜の明けかけたメリケンパークは人影もなくてベンチに腰掛けて話をした
「今付き合ってる人とかおるん?」アタシはまだヤスヒコと別れてへんかった
「いてへんよ」最初に友達って思ってたケンやったけど、ヤスヒコよりなんぼかマシやと思った
ケンはアタシに告ってくるはずやって分かってたからそう答えた
「どんな人がええの?」そう聞かれてアタシはヤスヒコが病気の時にほっといた時の話をした
そしてそんな人だけは嫌やって答えた
「俺は絶対そんなコトせんで あのな、俺はカズが○○と会わせたと思ってんねん
何回か会って遊んでみて口は悪いけど俺はかなり癒されてるねん
…○○の事好きになったみたいやねんけど俺とつきあわへん?」
その前の雰囲気もあったと思う。
ヤスヒコへの感情、もう一緒に居ることが辛くて逃げ出したい気分だったことも…
アタシはケンと付き合う事を決めた
「アタシでよければ…」
ケンはありがとって言ってアタシの手を握った
アタシは照れくさくてちょっと顔が火照ってた
その時、座ってたベンチから見える阪神高速の上辺りでパーンッて音と一緒に赤く何かが光った
アタシもケンも「あれなんやろ?」って見ててんけど未だにあれが何だったのかわかんないけど印象的な出来事やった
それからしばらくそこに居て周りが動き始めてから車に乗って少しブラブラして帰った
はじまりの日が獅子座流星群の見えた日ってロマンティックっちゃあそうだけど…
単純にそういえないよね アタシ嘘ついてるもん ヤスヒコと別れてへんのに…
アタシはこの日からしばらくヤスヒコとケンの間で揺れていた
ヤスヒコに気持ちは残ってなかったのにアタシから別れるって言いにくかった
しんどい時に支えてくれた人間を傷付けてしまう…それができなかった
ほんとはその時言わない方がもっと傷付けてしまうのに…
ヤスヒコから最後の台詞を言ってくれるのを待っていた
アタシは…ヤスヒコのコト責められない ズルい女やと思った