「俺は嘘をつかない。他人にも、自分にも」

そう聞くと、
それは素晴らしいことだと思うかもしれない。

嘘をつかないというのはとても難しい。
特に、自分に嘘をつかないというのは至難の業だ。

だから、それはとても格好良い生き方なのだと思うのだ。

でも時に、嘘をつかない生き方というのは
ナイフのように人の心をえぐる時がある。

2011年のことだった。
嘘をつかないと言った深瀬の言葉に、
私はもう耐えられないと言って、
みんなで暮らしている家を出た。

初めての家出。。


HELLO ENDING

誰にも会う気分になれなくて、
五反田の漫画喫茶に泊まった。

フラットシートという横になれる区切られた個室の中で、
隣の人のパソコンのタイピングの音を永遠と聞いていた。

自分はクリエイターには向いていないのだ。
音楽、やめてしまおうか。

そう思っていた。


HELLO ENDING

携帯を見ると、着信履歴が100件近く入っていた。

「もしもし」

「あ、やっと電話でた」

「なに」

「何ってことは無いだろう」

深瀬は電話で、自分は今京都に来たのだと告げた。
そして、京都で話し合わないか、と言った。

私は一人で新幹線に乗った。


HELLO ENDING

帰りの新幹線は、二人一緒だった。

SEKAI NO OWARIを辞めることは、
やっぱり出来なかった。





帰ってから机にむかう。

-空は青く澄み渡り海を目指して歩く
怖いものなんてない 僕らはもう一人じゃない

空は青く澄み渡り海を目指して歩く
怖くても大丈夫 僕らはもう一人じゃない-

不安の中で歌詞を書いた。


仲間たちにメールで送信すると、
一番最初に深瀬が私の部屋に飛び込んできて、
こう言ってくれた。


「サオリちゃん、これ凄く良いよ。」

それが何よりも嬉しくて、
私は一人で泣いたのでした。


私が書いたサビの部分以外の歌詞を深瀬が書いてくれて、
新曲「RPG」が完成しました。

5月1日リリース。

一生懸命作ったものです。
一枚でも多くの人の手に届いて欲しいと思っています。