以前、作家・曽野綾子さんによる『何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ』というコラムが「出産したらおやめなさい」という衝撃的な見出しもあいまって、波紋を呼びました。
コラムの内容は、「出産した女性はいったん退職して、子育てが一段落してから職場に復帰すべきだ」と提言するもの。曽野氏の主張に対しては、批判が噴出したものの、一部で「働く女性のなかに“甘ったれ”がいるのはたしか」と擁護する声もありました。
出産後も女性が働きやすい社会を実現するためには、もちろん環境の整備も欠かせませんが、「出産したらおやめなさい」なんて言われないように、働く女性ひとりひとりが制度に甘えすぎないことも重要かもしれません。
そこで、『「働くママ」の時間術』の著者・馬場じむこさんから、妊娠・出産後の職場マナーについて教えていただきました。今回は、妊娠・出産した女性が職場で無駄に敵を作ってしまうNG発言3種をお届けしたいと思います。
■1:「産休・育休は法律で定められた当然の権利です!」と声高に権利主張する
「発言そのものは正論でしょう。しかし、法律に守られた権利ではありますが、実際に産休育休の時にあなたの仕事のカバーをしてくれる人は周りの同僚や上司ですよね。
あなたが逆の立場だったら、自分の仕事が増えるうえに当然の権利だからということで主張されたら、どんな気持ちになるでしょうか?
権利が侵されて退職を迫られるといった非常事態ではない限り、このような発言はしないほうが無難です」
■2:「仕事より家庭が大切なんです!」と感情的になる
「大変そうな仕事の担当になりそうなとき、仕事量が増えそうなとき、育児との両立の不安から思わず出てしまいそうな言葉です。しかし、上司はなにも“家庭をなげうって仕事しろ”と無理強いしているわけではありません。
冷静に保育園のお迎えの関係で残業が難しいことを伝えたうえ、何ならどれくらいできるのかということを話して落としどころを見つける話し合いにしたほうが有益です」
■3:「子どもがいない人にはこの大変さはわからない」とぼやく
「仕事と育児の両立って、本当めまぐるしいですよね。いま育児中じゃない人を見ると、仕事に打ち込めて、自由を満喫しているように思えるかもしれません。
しかし、人それぞれ事情があるものです。たしかに、あなたは育児中で大変かもしれませんが、家庭が充実していて羨ましいと思われているかもしれません。自分だけが大変という発言は視野が狭いと思われてしまいます」
出産・育児と仕事とを両立するためには、職場の上司や同僚など周囲のサポートが不可欠。
妊娠中や子どもに手がかかる時期は、肉体・精神両面においてかなり厳しいものがありますが、そういう大変なときこそ、あなたを支えてくれる周囲の人への感謝や配慮を忘れないようにしたいものですね。