どうしてここまで話題になるのか?
昨年ごろから話題になっている「腸内フローラ」。膨大な種類のバクテリアたちが棲んでいる腸内を様々な種類の花々が咲き乱れる「お花畑(=フローラ)」にたとえたものだが、どうしてここまで話題になるのか?
実はあの病気もこの病気も、腸内フローラに関係しているかもしれないのだ。
私たちの腸内にあふれるバクテリアたち
人間の腸内には実に100~500種類ものバクテリアが100兆個、重さにして合計1~2kgも棲んでいる。
彼らが形成している「腸内フローラ」は、宿主である人間や動物が自力では消化できないものを消化して、栄養として吸収できるようにしてくれたり、ビタミンを作ってくれたり、免疫作用をたすけてくれたりしている。
バクテリアたちと“共存共栄”しているという意味でも、「人間はひとりで生きているのではない」のだ。
あらゆる不調が、腸内フローラの乱れから来ている!?
密接に関わっている私たちと腸内フローラ。もしわたしたちが暴飲暴食をすれば、腸内フローラはダメージを受ける。
腸内フローラが弱って、先ほど挙げたような恩恵を腸から受けられなくなってしまえば、当然宿主であるわたしたち自身の体全体に影響することになり、様々な不調や病気に悩まされることになる……。
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花粉症は“生まれつき”ではない?
異物を見つけてそれを体から除外しようとする免疫システムは、わたしたちの体が日々健康であり続けるための大切な機能のひとつである。
しかし、これが消化管に入ってくる食べものや花粉など肌にくっついたものにもいちいち反応してしまうのが、アレルギーと呼ばれる各種の症状だ。
食べもののアレルギーが起こる原因はまだ明確な答えが出ていない。が、有力な説のひとつとして、腸内フローラが荒れて腸壁の粘液がはがれる状態になっているところに、
完全に消化されていない食べものが入ってしまったことによって引き起こされるのでは……といわれている。
このときに通常ならば人間の腸にいるはずのある種類のバクテリアがいなかったり、普通とは異なる菌種バランスになっている、というような報告もあり、アレルギーと腸内バクテリアの間に何らかの関係があるのではないか、ということが言われ始めているのだ。
バクテリアも、善玉か悪玉かは言い切れない!
とはいえ、腸内フローラに関しては、まだまだ未知の部分が多い。胃がんを引き起こすといわれるピロリ菌を体内に持っている人が、アトピーやぜんそくになりにくい傾向がある、
などという驚きの説が出ていたり、どの菌が体にとって良くてどの菌が悪いのか、日々研究が進められている。
バクテリアがうじゃうじゃしている腸内フローラは、いわばまだ「秘密の花園」。善玉菌、悪玉菌という呼び方もあるが、一概に善と悪に分けられないというのは、なんだか人間社会と似ている……といえなくもない。