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聖山スレイマン・トー

世界遺産ブログ-聖山スレイマン・トー


キルギスタン(キルギス)ではじめて世界遺産となった聖山スレイマン・トー。ユネスコの記事を読んだかぎりの印象では、山が信仰対象になっているという点で、ニュージーランドのトンガリロ、あるいは日本で世界遺産登録を目指している富士山と同じ系譜に属しているように感じた。


マオリ族が持っているトンガリロ山に対する信仰、日本人が持っている富士山に対する信仰、そして中央アジアの人々が持っているスレイマン山に対する信仰。それぞれを比較してみるのも興味深い観点かもしれない。


トンガリロ国立公園(ニュージーランド)・・・新公式テキスト第2巻P.289~290

富士山(日本)・・・2008年度版テキストP.77~78

新たな世界遺産保有国

世界遺産ブログ-新たな世界遺産保有国メルマガでも触れましたように、今年の世界遺産委員会では、新たに3ヶ国の世界遺産保有国が誕生しました。それは(1)カーボベルデ・(2)ブルキナファソ・(3)キルギスの3国。いずれも日本人には馴染みのない国で、地球上のどこにあるのか、すぐには思い浮かびません。そこで、これらの国の位置関係を確認してみることにしました。


まずは(1)カーボベルデ。インド航路を開拓したポルトガルが、その拠点としていたことからも分かるように、この国は西アフリカ海岸沖の諸島により構成されている。今回登録されたのは、そのポルトガルによって築かれた歴史地区。→Cidade Velha, Historic Centre of Ribeira Grande


これに対し(2)ブルキナファソは、カーボベルデのちょうど内陸側に位置しているアフリカの国。この国で登録されたのは、カーボベルデとは違って、純粋にアフリカの人々によって築かれた石の遺跡。→The Ruins of Loropéni


最後に(3)キルギス。こちらは、ずっと東に移動してユーラシア大陸に位置している国。「~スタン」という国が集まっている中央アジアの一帯があるが、キルギスもそれらの国の1つ。「キルギスタン」とも呼ばれている。今回登録されたのは、この国に聳える聖なる山。→Sulaiman-Too Sacred Mountain

メルマガ購読者

メルマガで御協力いただきました認定級についての集計結果です。下に円グラフとしてまとめてみました。こうして見てみると、認定級の偏りなくメルマガを購読していただいていることが分かりました。これからも認定級に関わりなく、どの級の方でも有益となる問題を出題していきたいと考えています。

世界遺産ブログ-メルマガ購読者

はじめての世界遺産学検定 http://www.mag2.com/m/0000189651.html

メルマガ正解率

御協力いただきましたメルマガ正解率の結果は、以下の通りとなります。


第55号(セビーリャ)・・・46.7%(7/15)
第56号(ナバテア人)・・・75.0%(3/4)
第57号(モナコ公国)・・・58.8%(10/17)


今回は、特に第55号のセビーリャの問題が難しかったようです。引っかけ問題のようなものだったことも影響しているのかもしれませんね。


メルマガ「はじめての世界遺産学検定」、バックナンバー
http://archive.mag2.com/0000189651/index.html

前回のメルマガ正解率、集計結果

http://ameblo.jp/seka113/entry-10145400159.html

新たな危機遺産

世界遺産ブログ-新たな危機遺産さらに今年の世界遺産委員会では、新たに3件の危機遺産が登録された。そのうち2つがアメリカ大陸中央部にある世界遺産。右の地図に示したように、ロス・カティオス国立公園(コロンビア)とベリーズ・バリア・リーフ自然保護区(ベリーズ)である。


パナマとの国境沿いにあるロス・カティオス国立公園は、以前このブログでも紹介したように、武器・麻薬の密輸、ゲリラの存在などといった、政府の力が及ばない危険地帯となっている(→パナマという国」2009年3月28日 )。そのため山林の違法伐採や、貴重な動植物の乱獲なども防げず、今回、国際的な支援を求める形で、危機遺産に登録された。


またベリーズ・バリア・リーフ自然保護区は、以前このブログでも紹介したように、ブルーホールのような美しい珊瑚礁を持った世界遺産である(→セノーテとブルーホール」2007年9月30日 )。ダイバーにも人気が高く、観光開発が進み、マングローブが大量に伐採されているという。マングローブの森は、ウミガメやマンタ、アメリカマナティーなどが棲息する貴重な場所でもある。


一方は危険地帯で、もう一方はリゾート地。一見すると両者は対照的であるが、その裏では森林の伐採が進み、周辺の動植物を苦しめているという点で、共通の危機的状況を抱えている。


ロス・カティオス国立公園(新公式テキスト第3巻P.260)

ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区(新公式テキスト第3巻P.262)

国立西洋美術館、落選

スペインのセビーリャで開かれている今年の世界遺産委員会で、「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の登録が見送られることが決まりました。


落選ではあるのですが、登録・情報照会・登録延期・不登録と4段階あるうちの2番目(情報照会)ということで、次につながる落選と言えるかもしれません。


これまでにも20世紀の建築は、数多く世界遺産となっていますが、それらに与えたル・コルビュジエの影響力の大きさを考えると、いずれは彼の作品も、世界遺産となるべきと言えるのかもしれません。今後の動きに期待しましょう。


「ル・コルビュジエの建築と都市計画」に関する、これまでのブログ記事。

 無限成長美術館(2009年6月14日)

 http://ameblo.jp/seka113/entry-10262487806.html

 またまた延期勧告。(2009年5月13日)
 http://ameblo.jp/seka113/entry-10259866355.html

第5回世界遺産検定

本日、世界遺産検定が行われます。今回の検定は、今まで地域別に実施されてきた中級試験が廃止され、全員共通の1級試験がはじめて実施されるという点で特徴的です。どのような内容の試験になるのか、気になるところです。


今回僕は、該当受検級が実施されないため、お休みすることになりますが、皆さんのご健闘をお祈りしています。いい結果を出して、次につなげていきましょう。

ドレスデン登録抹消

スペインのセビーリャで開かれている今年の世界遺産委員会で、ドレスデン・エルベ渓谷の登録抹消が決まりました。2004年に登録され、2009年に抹消という、わずか5年間の世界遺産となってしまったようです。


このところ目立ってきている登録の厳格化に加え、今回のような登録抹消。世界遺産条約体制が新たな段階に入ったということなのかもしれませんね。


アラビアオリックス保護区の時もそうなのですが、今回の登録抹消は、世界遺産が現代社会と共存していくことの難しさを物語っているような気がします。


世界遺産登録抹消に関連する、過去のブログ記事。

 アラビアオリックス保護区(2007年6月29日)

 → http://ameblo.jp/seka113/entry-10038158326.html

 登録抹消の第1号!?(2007年3月24日)
 → http://ameblo.jp/seka113/entry-10028788801.html

ヒラルダの塔

世界遺産ブログ-ヒラルダの塔

                                          

無限成長美術館

世界遺産ブログ-無限成長美術館 美術館に行った時、もっとスムーズに作品を鑑賞できたらいいのになと思う時がよくある。次の展示室はどこにあるのかと迷ったり、本館とはだいぶ離れたところに別館が建てられていたりなど、不都合を感じる美術館も多い。


鑑賞のしやすい空間をどのように実現するのか。また、美術館をどのように増築していくのか。美術館には、これら2つの課題がある。


1.展示方法(鑑賞のしやすい空間をどのように実現するのか)
2.収蔵方法(増えていく作品に対して、どのように美術館を増築していくのか)


建築家ル・コルビュジエは、美術館の抱える、これらの問題を同時に解決する方法を考えた。それが右上のスケッチである。美術館を渦巻き状にして、鑑賞者が次の作品へと迷わない様、一方通行とし、また増え続ける美術品に対しては、渦巻状に増築させることで対応させる。無限に成長する美術館だ。


国立西洋美術館は、このような美術館を目指して設計された美術館である。しかし残念なことに、予算などの問題から渦巻の中心部分しか実現しなかった。


今月開かれる世界遺産会議では、この美術館を含めたル・コルビュジエの作品が、世界遺産登録の可否を巡って審議される。しかしイコモスからは、すでに登録延期の勧告が出され、その行方は苦戦が予想されている。20世紀を代表する建築家のアイデアが詰まったこの美術館。是非、その健闘に期待したい。