キーボーディスト、としての誇り8.5 | KeyboardだってROCKだぜ

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引き際を見誤った、金髪ロックキーボーディストのよもやま話。

久々の連投となりますが…
先に投稿した【〜8】を書いてる最中に思い出したことがあるので、追記がてら。

敬愛するミュージシャン仲間であり、懇意にして頂いているあるドラマーの方がいらっしゃいます。かつて一時期同じバンドに在籍しておりましたが、諸事情によりドラマー氏は別のバンドに活動の軸足を移し、のちにそのバンドは東京ドーム公演を果たすまでにブレイクしました。あー羨ましい!

この方から、このバンドでの【LIVE用同期データ制作】をかなりの期間にわたって請け負っていました。
その制作過程は以下。

1.ニューアルバムのレコーディング終了。
2.“プロデューサー氏がレコーディングで演奏したキーボードパート”がわかりやすいようにMixされた音源(当時MD)を携えて、ドラマー氏が自宅兼仕事場に来場。
3.当時そのバンドはシーケンサーで同期データを再生していたので、音源を聴きながらいわゆる“打ち込み”作業。

この『3』の段階で、クォンタイズ(※機械的に、正確なタイミングに修正すること)を施すことを良しとされませんでした。
『いやいや、だってかなりあやふや(※タイミングの正確性という意味で)だし、それじゃ実際に演奏する時にやりにくいんじゃ?』と思いましたが、このドラマー氏の見解はそうではありませんでした。
『だってさあ、他は全部生身の人間が演奏してるのに、キーボードパートだけカッチリしてたら気持ち悪いよ!』
実際の制作過程においても、クリックに合わせてドラマー氏が口ずさむ“くちドラム”に合わせてのデータ入力。想像してみてください、楽器に囲まれた作業場で、深夜にむさ苦しい男ふたりきり。ひとりが無言でキーボードを弾くかたわらで、『ドドッドタン、ドンドンタン』…異様です(^^;

ちなみにこのドラマー氏、同期データは手元のシーケンサーで管理してました(当時)が、面白いのはここから先の話。
演奏中、自分の気持ちが盛り上がって、テンポが上がって行った時に、手元にあるシーケンサーのテンポも上げちゃうんだそうです(笑)。
いわく『機械はいつでも冷静で、俺について来てくれないんだよー!』と、なんとも画期的な…。

人間の感覚・感性はアナログ。それはこんな以上の出来事からも言えると思います。

当時使用していたシーケンサーがこちら
1拍の分解能1/48、今考えるとかなり粗いですね(^^;

P.S.
俺と一緒で、物持ちのいい彼のこと、今でもその時のデータを持っているかも知れませんが、聴くのが怖いです。
若気の至り満載です、おそらく。