古の“バンドブーム”の頃に比べて減少しているとはいえ、現代でも相当数の方が“バンド活動”あるいは“ミュージシャン活動”をされてらっしゃいます、プロアマ問わず。
そんな中、自身“セッションミュージシャン”というポジションゆえ、色んな現場で弾かせて頂く機会があります。声がかかること、請われることはとてもありがたいことです。
【プロ】という看板を掲げているので、当然“プロ意識”を持って現場(リハーサル〜本番)に臨んでいます。事前に演奏予定曲の音源を頂き、譜面を起こし、必要に応じて音色作りをし…これらを『仕込み』と称していますが、実はここに時間がかかります。特に『音色ありき』の曲の場合は、その準備だけで一苦労です。
ただしプロである以上、採算も考えなければなりません。やや生臭い話ですが、頂く予定のギャラに見合った仕事量にとどめないと、実質赤字になってしまうので。移動のための経費も勘案しつつ。クライアントとの関係によっては、時に採算度外視で臨むこともありますが。
そして本番の結果・成果が次に繋がるかどうかは、クライアント次第。『お金を払ってでも弾いて欲しい』と思って頂けるかどうか、それに尽きます。
一方、そういう感覚的なところを理解せず、表面的なところだけを真似た【プロ気取り】の方もたくさんいらっしゃいます。見た目だけはそれっぽく(※見た目も重要なので、否定はしませんが)、弾けてないのに弾けてる“つもり”になっていて、現場での振る舞いもどこか横柄、挨拶もまともにできない上に、出音やモニターにケチつけて、客入りの良し悪しで演奏内容が左右される…などなど。あくまで一例ですが。
“メジャー”という言葉が意味を持たなくなり、“インディーズ”とのボーダーが曖昧になってきた頃から、こうした【プロ気取り】の方が増えてきたように思います。
あとは近年、若手ミュージシャンに多い“サポート”。ちゃんと役目を果たしているミュージシャンはごく少数で、大半はサポートにすらなっていません。先日も打ち上げの席でそういう話になりましたが、『サポートの意味、わかってないんじゃないの?』と。『たいして上手くないのに、それでいていくつものバンドにサポートとして参加とか、カッコいいと思ってるんでしょうかね?』みたいな。
サポートミュージシャンの絶対条件は“上手さ”ですよ。下手なサポートじゃ、サポート(補助)になってません。いかなる要求にも応えられる、技術面での幅の広さと適応力が不可欠ですから。あとは人間としてのコミュニケーション能力。自身も経験してきたことなので、これは間違いないです。
“サポート”を雇う側が“プロ気取り”だったりすると悲惨ですね。そんなのただのミュージシャンごっこ・バンドごっこです。そういうバンドがライブハウス界隈には溢れかえってますが。チケット代金を支払って頂いて、観せるに値しないステージを、自己満足のためだけに展開する…同じ音楽を演ずる者として嘆かわしいです。
乱暴な言い方をすれば、『金取るなら、それ以上のものを還元しろよ!』ってことです。
確かに音楽なんて、所詮自己満足です。
ですがプロは、他者をも満足させることを考えます。それがリスナーであれ、クライアントであれ。時には自分の満足よりも、他者の満足を優先させます。ある意味“サービス業”に近いものがあります。
ここでは形態・業態としてのプロだアマだ言うつもりはないですよ。立場はアマチュアでも、プロ意識を持って音楽と真摯に向き合って、自己を高めていこうという若手もいますから。
ついでに言えば、自己を探究すること、これも立派なプロ意識です。得意・不得意を見極めて、客観的に弱点を克服しようとする姿勢。
読んでムッとされる方もいらっしゃると思います。ならばこの機会に我が身を振り返って、“プロ意識”に目覚めてください。
わからない人は…
わからなくてよし!