紅 葉
私のデジカメは、もう7年も前の型で、写真を撮るときに何かと不便なことが多いです。手ブレ補正もついておらず液晶画面も1.5型、日差しが強いと画像のチェックもその場で出来ず帰ってからPCで確認してピンボケに泣く、というパターンも実に多いです。また、ピンボケしていなくとも眼で見た通りに写っているとは限りません。
ですから、写真を撮るときは場所によっては念をいれて、場合によってはフォーカス設定も変えて2~3枚撮っておくのですが、データをPCに移してチェックするまでは自分でもどう撮れているのか分からないという結構運と勘任せの撮り方をしています。今回撮りに行って、結構うまく行ったほうじゃないかというのを紹介します。
真ん中の杉の木がちょっと邪魔になってしまっているかもしれませんが、お寺でいいアングル探すと何か遮るものが入っちゃうこと多いんですよね。
天気が良かったおかげで真っ赤な紅葉がよく映えて、しかも葉の一枚一枚の形も綺麗に写ってくれました。
こちらは、色づき具合の差と太陽の光、周りの木の影などがちょっといい感じに入り混じって真昼間にも関わらず、なんとなくライトアップされたようになっています。ここはまだ本格的な紅葉になっていなかったので、色づいている木を探して撮っただけで、こういう風に写そうとは意図してなかったんですが。
デマゴーグの弊害
~中略~
真によき市民は反対論者にたいしては恐喝などの手段にはよらず、公平な議論によって、自分の提案がよりすぐれていることがみとめられるよう、努めねばならぬ。~
『世界の名著 ヘロドトス トゥキュディデス』P384~385 中央公論社
京都大学学術出版会
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感情で情報を判断していませんか?
ネットの情報収集について~とりあえずのひとまとめ~
トンデモ情報にひっかからないように
ネットで調べ物をするにあたって・追加~ネット情報の注意点~
福島で暮らすということ~小児科医として思うこと
私は原発事故からしばらく原発関連の記事を書いておりましたが、1週間ほど過ぎたあと、これ以上爆発等によって放射性物質が更に飛散しない限り、冷静に対応されると思っていました。ところが飛散した放射性物質が増えたわけでもないのに、状況はどんどん大騒ぎになっていくばかりで、ネット上で福島県がまるで死の土地であるかのように言われてしまっています。
このブログではそう騒ぎ立てることがどういうことなのか、実際に福島県に在住している、しかも医療従事者の方の率直な思い、本当に現在の福島県が子供たちが皆避難しなければいけないような危機的な状況なのかが丁寧に述べられています。
本文だけでなく、コメントにも現在の20ミリシーベルト/年という暫定基準値について、他の専門家の方たちからの丁寧な説明があります。少々大変ですが、本文・コメント共に読まれることを是非オススメしたいと思います。
この記事のコメントで紹介されている私の記事は、3月に書いていた原発事故自体の記事ではありません。その1年前に書いた、「ネットで調べ物をするにあたって」の記事です。
この記事は、ジャンルを問わず調べ物をするときに気をつけることとして書いてありますので、今回の原発事故に関して調べるにも有効なものです。
今回はこれにもう2点注意点を付け加えようと思います。
・ネットで手に入る情報は別に特殊な情報ではない
ネットだとマスコミや政府が隠している情報が手に入るようなというイメージがあるようですが、まずそんなことはありません。自分の知らない情報が多数に見えるのは、単に様々な人間が好きなことを書けるのがネットであり、それゆえにたくさんのデマも含めて、普段聞いたことのない話が出やすいからに過ぎません。
よく読んでいけば分かりますが、ショッキングな内容のようで、ほとんどは強引に推論を組み立てて確定的に断言しているか、その道の主流派でもない、ごく少数の誰かの書き写しに過ぎません。これらのソースを見ても、元を辿ればネットのどこかに書いてあったとかテレビ等マスコミからの話を元にしているだけがほとんどです。それも感情的になって、データの解釈の妥当性というものを考えたものというのは少ないです。
政府やマスコミの数値が信用できないという論調もありますが、ではその人はどこかから信用できる数値やデータを手に入れているのでしょうか?公表されたデータに対抗できるだけのデータを示して「信用できない」という主張ができないのなら、その主張は単なる感情的反発に発しているだけとみなすしかありません。
「政府やマスコミ・学会が信用できないから」というのは、この際切り分けなければいけません。その辺りの気持ちは理解できないこともないですが、それと数値・データ・解説が間違っているというのはイコールではないです。公表が信用できないからデータが間違っているというのなら、そもそもデータが存在しないことになりますから、評価自体が不可能です。つまり、その人にはその情報について、「信頼できない」という感情的反発しかないことになります。いくら難しい言葉を使おうが長い説明をしようが、根本的理由が感情的反発しかないのなら、その情報の信頼性は自ずから明らかです。
なぜ、そのようなあやふやな情報に人が食いついてしまうのでしょうか?それは、「その情報がその人の主観に沿うもの」だからです。以前シオン賢者の議定書の記事で
願望を満たすものを真実と勘違いする危険性を書きましたが、それは決して特殊例ではありません。願望だけでなく、いくら拭おうとしても拭えない不安・心配・苛立ちといった自分の感情に対して、それを真っ向から否定する科学的な解説より同じ感情を共有する人間の話に同調してしまったり、この世の中で何か自分に出来ることをしたい、何か意味があることをしているという思いが暴走して、一見単純で分かりやすい解答が出ているように見える、安易なネットの世論に加担してしまったりします。ネットで何かを書くというのは余りにも安易であるため、それがどのような影響を及ぼすのか、正確な情報の発信でなく自分の感情の同調者を募っているだけではないのか?と、一歩止まって考えることを忘れてしまいます。
時々、ネットで、1999年のノストラダムス騒動を忘れたかのようにアセンションだなんだと2012年の終末論を唱え、自分は人を救うために運動しているのだと悦に入り、そのおかしさを指摘する人を逆に見下すような人を見かけます。そして私は、何か道徳的に立派なことを言っているように見えるその人間とやりとりをして感じたのは自分を特別扱いしたがる愚かな選民思想とそれに同調してくれる人間を増やしたいという欲求だけであって、人格的に優れていたなどと感じたことは一度もありません。寧ろその正反対の印象しかありません。はっきり言えば、感情的な同調者・信奉者を増やしたいだけというのは、この手の人間とベクトルは同じなのです。
そういう例を特殊例と思わず、実はごく一般例であり、自分もそうなりうるという自省・自制を常に心がけなければ、ネット上でのそういういい加減な情報に巻き込まれてしまい、自分がおかしな情報の発信者になってしまう、ネットで情報を得るにはリスクもあるということを肝に銘じておかなければいけません。被害者になるだけでなく、中途半端に感情的に同じ話を広めてしまうと、自分が加害者になってしまいます。
・ネットでの情報発信は自分と同じく他者にも安易な行動である
ネットは匿名で情報発信が可能な上、ブログやツイッターなど以前よりさらに情報を発信するための敷居が低くなったように見えます。そのため、つい大胆になってしまって、日記感覚・身近な友達感覚でとんでもないこと、普通人に言えないことを堂々と言ってしまうことがあります。最近、mixiの日記や、特にツイッターで、身元が分かる情報がネットで公開されているにも関わらず、飲酒運転やカンニングといった、普通でも人に言えないことを自分で告白した挙句に身元を特定されて自分の人生まで狂わせてしまう人がいますが、自分の交友関係くらいでしかネットを把握していない、普段匿名でいるために、自分が全世界に発信していることを忘れてしまうのでしょう。
匿名というのは、私も含めて、普段言えないことを堂々と言えるという利点があります。ただ、それを勘違いすると、単に自分の好き嫌いで中傷やヘイトスピーチを発したり、それが誰かの願望に沿う内容であった場合、簡単にそれに同調する意見を表明してしまったりします。
本当はネットで情報発信・意見表明することは、全世界に向けて言っているのであり、匿名だろうとなかろうと発信された情報が知らないところでリアクションを引き起こしてしまうという点では、情報発信者の役割はマスコミと何ら変わりがないのです。個人ならマスコミのように利益に結びつきにくいから信用できるというわけではありません。個人で考え、個人で自由に発信できるということは、それを第三者がチェック・セーブできる機能が欠けている、ということです。ですから、どんないい加減なことでも発信できるし、その結果、その発信された情報が誰かの願望に沿っていたり、リテラシーがない人がその情報に触れてしまった場合、思わぬ形で拡大されていってしまったりします。
それゆえ、ネットで情報を当たるときも発信するときも、その情報の取り扱いは慎重に、また、自分の良識というものにすら頼らず、まず正しいかどうか、という冷静な調査・思考が必要です。
以上の2点は調べるだけでなく、自分が情報発信者である場合にも気をつけることです。自分は別だと特別扱いはできませんし、してはいけません。
こんなに難しく考える必要があるのかと思う人はいるでしょう。しかし、何度でも繰り返しますが、ネットという世界は「誰でも匿名で好き勝手言える世界」です。そういう世界で情報を得るにはそれ相応のリスクがあります。常に自分でそのリスクを意識していないと、誰かの感情の奔流、周りがやっていると流されてしまい、とんでもない行動の片棒を担いでしまいます。この世界は気づかずに暴走しても誰かが止めてくれる世界ではなく、全て自己責任なのです。そして少なくとも日本のネットでは発信者においても、情報リテラシーの能力が高い人は少数派でしょう。普段ネットの情報に無関心な人がいざ情報をネットから得ようとすると、何が正しいのか分からずに相反する情報の渦に溺れるだけなのです。そのような情報判別のスキルを持っていない人は、まず自分の主観に流されてしまいます。これは私も常に自戒していることです。ネットで情報は得やすいですが、その分高い情報リテラシー能力が要求されるのです。どんな分野でも好きな情報が簡単に得られるものではない、好きな情報・ほしい情報が正しいとは限らないという、ごく当然の事はネットでも当てはまるのです。
放射線について参考になりそうなリンクと私見
昨日今日と茨城の放射線に関して検索してこのブログを見た方が多かったようです。アクセス数が三桁にいったのは初めてでした。昨日の朝方に茨城のモニタリングポストの値が急上昇したのが原因だと思うのですが、追記で書いたように、急上昇後したあとは、高いところでも大体1000ナノグレイ=1マイクロシーベルトに落ちていましたから問題はないと思います。
そこで、不安な方のために、放射線について、参考になりそうなサイトのリンクをもう二つ紹介しておきたいと思います
東京大学の緊急対策本部が3月19日に放射線対策について、より知ってもらうために作ったリンクページ
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/AntiDisaster/kanrenjouhou.html
この中では医学部附属病院放射線科の中川恵一先生の解説が大いに参考になります。
NPO法人安心安全科学アカデミーの放射線に関する解説
http://homepage3.nifty.com/anshin-kagaku/anshin_level.html
これらの解説を見ると、症状が出る線量については、1000ミリシーベルト、500ミリシーベルトと見解は違いますが、1マイクロシーベルト程度ではもし1年間浴びても大丈夫であることがわかります。そして、少なくとも蓄積していくと危ないと思う人もいるかもしれませんが、中川先生は一気に浴びた場合と少量ずつ浴びた場合では全く違うことを指摘しています。少量ずつ浴びている場合、損傷したDNAが回復していくため、1マイクロシーベルト程度は何の問題もないとしています。
安心安全科学アカデミーでは、500ミリシーベルト以下では殆ど臨床的症例が出ないことを指摘していますが、念のために確実に安全と断言できる30ミリシーベルトから500ミリシーベルトを悪い影響が現れる「可能性がある」注意レベルとしています。この場合は中川先生のように線量率に触れていないのでよく分かりませんが、年間に500ミリシーベルト浴びるには、医療機関にかからない場合、マイクロシーベルト/毎時に直すと、
500ミリシーベルト=500000マイクロシーベルト÷365日÷24時間≒57マイクロシーベルト
と、なります。しかも、これは一年間、ひたすら屋外でこの線量を浴びた場合で、屋内では材質によりますが浴びる線量は少なくなります。これに、先日書いた150マイクロシーベルトが観測された地点に関して、専門家の方がDNAの修復作用を挙げて危険性が少ないことを断言していたことを考えると、危険値はもっと上がるでしょう。
それと、肝心なのは、現在風向きや地形、天候で放射線の値の上下が激しく、ずっと高い値ではないということ、現在の状態が1年も続かないということです。希望的観測かもしれませんが、第一原発の封じ込めが成功すれば、放射線の放出はそこで止まり、空気中の放射性物質は拡散していくであろうということです。土壌・海洋汚染については、これからまだ大量のデータをとる必要があるでしょう。
しかし、今現在の大気中の放射線値は、福島県のほとんども含めて問題はないし、放射線を恐れて援助物質も送られない、福島県の被災者の宿泊拒否などというのは言語道断で、単なる風評被害、福島県民差別に過ぎません。
屋内退避地区でもほとんどの地域は問題のない放射線量で推移していましたから、それが周知されていれば、病院や老人ホームで入院患者、入所者が物資困難で危険な目に会うこともなかったと思います。
以上の内容は、専門外で付け焼刃の私の考察ですので(ただ、現在問題がないことは政府、文部科学省、各市町村、放射線に関する各関係機関、NHKのような報道で訴え続けています。)、修正の必要がある場合、指摘をお願いしたいと思います
追記
大分県立看護科学大学においても放射線についての説明をし、安全であることを訴えています。
http://www.oita-nhs.ac.jp/rad/post_1.html
ここで注目すべき記述は、今回の屋内退避・避難措置は、原発に「万が一」の事態が起こった場合に備え、早期に安全性を優先して、かなりの余裕を取られた措置であることを述べてあることです。事故の当初からそれは言われていたことであるのに、忘れている人が多すぎます。本来のマニュアルでは、10~50ミリシーベルト、つまり1万~5万マイクロシーベルトで屋内避難勧告が出されるのを考えれば、現在の状況が少しは分かると思います。
福島の原発事故を心配している方たちの為のリンク
MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説にMIT(マサチューセッツ工科大学)の有志が修正を施した解説です。
http://d.hatena.ne.jp/arc_at_dmz/20110316/fukushima_nc_power_plants
サイエンスメディアセンターで各研究者の見解が載せられています。
http://smc-japan.sakura.ne.jp/
同じくサイエンスメディアセンターの一般向けQ&A
http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=956
作家・田口ランディ氏のブログ
http://runday.exblog.jp/16073824/
現在、積極的にネットで発言し影響を与えている広瀬隆氏の発言について、東北大学名誉教授の北村正晴氏がその発言の問題点を指摘した記事
http://getnews.jp/archives/105404
同じく北村晴彦名誉教授の退避にかんする見解
http://getnews.jp/archives/105218
有志による、各地の放射線監視モニタのまとめ
http://pow-source.com/311/
東大病院放射線治療チームのツイート。牛乳から放射線が検出された問題についても触れています。
http://twitter.com/#!/team_nakagawa
とりあえずで探しましたが、いずれも参考になると思います。原発事故による放射線を無意味に恐れる人たちは上記のサイトなどを是非参照してください。質問を受け付けてくれているところもありますので。
福島の放射線について
16日のニュースによると、第一原発周辺の20~30キロ圏内の約20キロ地点で330マイクロシーベルトの放射線が測定されたと文部科学省が発表しました。
少し出遅れましたが、これを元に危険だとネットで大きな反響があったようなので、書いておきます。
まず、第一原子力発電所の周辺の地図を出しておきます。
直線を引いてありますが、赤い直線が大体20キロの長さ、黄色い直線が30キロの長さですので、この直線を囲む円が退避・避難圏内です。
そして、330マイクロシーベルトの放射線が測定された昼曽根トンネル付近とは、ここです。赤い丸で囲ってあります。
浪江町の市街地から外れた大分山奥の地点です。町の中心付近は既に避難地域です。
では、この日の他の屋内退避地域の放射線量はどうだったのでしょう?この日のデータは福島県庁がサイトで公開しています。
このデータによると、約24キロ地点の南相馬合庁の測定値は大体4.0マイクロシーベルト前後で推移し、翌日までに3.5前後まで数値が落ちています。
さらに、約22キロ地点の川内村役場では2.0マイクロシーベルトを切っています。屋内退避地点からはもっと離れているのに、ずっと高い飯舘村役場のような地帯がありますが、福島県庁は安全だとしています。
結局、屋内退避地区と言ってもかなりの差があるのです。先日書いたように現在のところ放射性物質は風に乗って流されてきます。つまり、風の向き、さらに風が地形の影響を受けるため、地点により測定値に大きくズレがあるのです。素人ですが、見てみると現在山側が高いようですから、そこに空気の流れに関係する要因があるのでしょう。
ですから、報道では様々な要因が重なって極めて高くなってしまったと考えられる地点を大きく取り上げてしまったのだと思われます。文部科学省は他の地点のデータも観測しているはずですが、文部科学省のサイトの報道更新からはどこを観測していたのか分かりませんでした。
今日、このブログを書こうと思ったのは、ここ数日、屋内退避圏内の被災者の方たちが満足な援助を得られないことをNHKニュースで見ていたからです。あくまでも「屋内退避圏」であるのに、放射能汚染地域のように勘違いされて、援助物質を積んだトラックまで足を踏み入れようとしない現実を。
屋内退避圏にいわき市の極一部が入っていますが、たったこれだけでも、いわき市全体までこの風評被害にあっているそうです。先日、mixiの日記で福島の放射線値を積極的に公開して安全を呼びかけていた方が、テレビで東京の人たちが「放射線が怖い」などとカッパを買っているのに怒りを爆発させていました。それに私も共感します。
さらに、この330マイクロシーベルトの値を元にネットで余計に危険を煽っている人たちもいます。
さすがにこれは、私は声を大にしていいたいです。
福島の人たちは、地震に津波に放射線と立て続けに恐ろしい目に会った挙句に、風評被害まで受けなければいけないのですか?
政府がどうとか言う言葉もありますが、福島県庁以下地方自治体では測定機材をなんとか調達して、積極的に放射線値を公開し、住民の人たちの相談に乗り、安心させ、必死に住民の方たちを護ろうとしてるんです。
無責任に放射線の測定値を解釈して東京の不安を煽ること、そしてそれに乗ることが福島の被災者の方たちの命まで奪いかねないのです。
このブログを読まれた方は、ネットの風評・噂に踊らされずに、そのようなものを見たとき自分で立ち止まって、踊った結果が何を招くのか、ちょっとでも考えてみてください。
3月19日6時追記
昨夜、文部科学省から30キロ地点付近で150マイクロシーベルトの値が観測されたという発表がありましたが、この値について、NHKで慈恵医大の被曝治療の専門家の方(名前は失念しました)が、
「150マイクロシーベルトは高い値だが、徐々に放射線を受ける場合、DNAは損傷すると同時に修復していく働きもあり、屋内では放射線は10分の1に減衰される。1ヶ月の積算値が10万マイクロシーベルトになっても、この場合は心配する必要がない」というようなことを断言されていました。
どうか、一時的に高い値、積算すると大きい値になると言っても、不安にならないようにお願いします。
モニタリングポストの放射線について
3月21日追記:本日、何故か「茨城 モニタリングポスト」といったキーワードでこのページを検索してくる方が多いようです。茨城のモニタリングポストを見ると今朝の明け方に急上昇していたようなので、これが理由だとしたら、以下の文章は有用だと思われます。ちなみに現在の茨城の放射線測定値は、明け方のピークを過ぎた後に急激に減少しており、最大でも1マイクロシーベルト程度ですので人体に害を与えるような状況ではないと思われます。不安な方は茨城県のホームページ等、自治体の発表を信頼してくださるよう、お願いします。
ほうれん草や牛乳のニュースを見ても、国・自治体がきちんと情報開示をしていることはお分かりと思います。
福島の原発の騒ぎ以降、デマの拡散が予想されたので、ここ数日、自分がデマに踊らされないよう、テレビとネットを見比べながら、必死で当座必要と思われる知識を叩き込んでました。
それで、昨日、茨城・東京で放射線が確認されたという報道がありましたが、この報道の前、すでにネットではこれを元に午前中から東京から逃げろだの、デマが流れていたようです。
実は各地の放射線は、モニタリングポストという機器で観測されており、これはネットで数値の確認ができます。福島の第一・第二原発は残念ながらモニタリングポストが死んでしまっていますが、第一原発の北方の女川原発、それと東海村のある茨城各地のモニタリングポストは観測可能です。
私は早朝から、この両サイトで放射線量を観察してたのですが、ちょうどこの時間に茨城の幾つかのモニタリングポストの値が数千の値に跳ね上がっており、これまでの数十~数百倍の値を示していました。
このときに同時に2ちゃんで専門の人間が冷静に現状分析を行っているスレッドで様子を見ていたのですが、このスレッドにこの茨城の急激な上昇についての質問が出回りました。
どうも、2ちゃんのどこかで騒ぎになっていたらしく、茨城のサイトにはアクセス集中、こちらが中々見ることもできなくなってしまいました。そうこうするうちにその中に関東がやばいだの煽りが混じり始めて、収拾付かない自体、スレ荒れ放題という流れになってました。
もともとのスレの住人たちはその数値は全く問題ないと言って、話題にも上げなかったのが不満だったようですが、これにはちゃんとした理由がありました。
いきなり数千に跳ね上がったら、誰でも驚くとは思いますが、テレビで報道していた放射線量の単位はマイクロシーベルトという単位です。もし、数千マイクロシーベルトだと、数ミリシーベルトとなり、注意が必要な値です。ただ、茨城・女川のモニタリングポストで使っている単位は違う単位なのです。
モニタリングポストの単位は「nGy(ナノグレイ)」という単位です。厳密には違いますが、我々のような素人レベルなら1シーベルト=1グレイ程度で考えても構いません。
そして、1ナノグレイは大体1ナノシーベルトに相当します。そして、この1ナノシーベルトというのは、テレビで使っている、1マイクロシーベルトの千分の一という小さな単位なのです。
ですから、数千ナノグレイというのは、マイクロシーベルトに換算すると、たった数マイクロシーベルトなのです。これは大体5マイクロシーベルトくらいまでなると報告義務が生じますが、それでも人体への影響は全く無視して構わない数値です。このマイクロシーベルトの上がミリシーベルトで、1000マイクロシーベルト=1ミリシーベルトです。そして、1ミリシーベルトが人体が一年間に被ばくする許容量ですから、注意が必要になってきます。
ですから、もし茨城、女川の数値が危険と判断できそうな急上昇は、大体数百マイクロシーベルト、ナノグレイで言えば、数十万ナノグレイという、とんでもなく大きな数字になった場合くらいです。
私がモニタリングポストのサイトに繋がらなくなったのは、多分パニックを起こした人たちのアクセスが集中したせいだと思いますが、そこまで読み取っていた人は少なかったのでしょう。この間にかなりのデマが広がり、どうも東京を逃げ出した人までいた気配がありました。
茨城といえば、東海村がありますから、余計に注目が集まったでしょうが、私が見ていた限り、線量のピークは茨城北部から、段々南下して東海村付近に移動していました。ですから、私はこれは、福島から風に乗ってきたもので、そのうち拡散するだろうと判断してたのですが、夕方からの報道にまで取り上げられたのを見ると、余程の大騒ぎになっていたのでしょう。私の判断は付け焼刃の素人判断でしたから、無責任にブログに書けなかったのですが、今日のNHKで同様の解説を行ってましたから、大丈夫だろうと、今日書いておくことにしました。
不安の余り、自分で情報を収集しようとモニタリングポストなどをチェックするのはそれはそれで有意義だとは思いますが、きちんとデータを読み取らないと、パニックを起こすことになります。全くど素人の私が偉そうに言える立場ではありませんが、私もそのデータを読み取るために、それ以前にかなりの予備知識を収拾していましたし、前日に北から南に風が流れる天候予測も調べてありました。
とくにこのような大災害の場合、本当に情報をきちんと収集して裏取り、考察をしないと、デマの原因となります。デマだけならまだしも、集団パニックになってしまったら大変です。条件反射で拾った情報を拡散せずにするのが肝要です。
とにかく、値が跳ね上がったように見えても、その数値の単位には注意してください。
あと、蛇足ですが、幾つかみたブログの中に、被災地のために献血を呼びかけるものがありました。献血には注意が必要で、一回献血すると、2~4週間は次の献血ができませんし、献血された血液は保存期間は極めて短いものです。ですから、大量の人が一気に献血をしてしまうと、その善意のかなりの部分が廃棄処分になり、本当に足りなくなった時に献血を呼びかけても、献血をして貢献したいという人がすでに献血済みですぐに応じられなくなって結局血液が足りなくなってしまう可能性が高いです。
献血で貢献したいという方たちはせめて何人かは今は献血しないのが貢献だと、ぐっと我慢する勇気も必要です。