大統領選に出馬の意欲を示していたバイデン米国大統領が、週明けに大統領選からの撤退を表明した。

 

世界で最も大きな影響力を持つ米国の大統領が、高齢で正常な判断ができない状態となれば、世界中が大混乱に陥ってしまう。

 

その可能性が高い年齢に近づいているバイデン大統領の撤退は、世界のリスクを一つ取り除くこととなる。ひとまずは安堵の思いだ。

 

しかし、大統領選まで3ヶ月半を切る中で、民主党は今後の候補者選びが大変だ。従来の方法で候補者を決めるには時間が足りず、安易な方向で後継者を決めれば将来に禍根を残す。

 

バイデン大統領は後継候補にハリス副大統領を指名したが、副大統領として目ぼしい実績がなく、候補者として十分な資格があるかを検証するには時間が足りない。

 

大統領候補は通常1年くらいかけて絞られるが、その手続きを経ないことが今回はプラスに働く可能性もある。しかし、大統領になってからボロが出ても困る。

 

トランプ氏より20歳近く若く、女性で黒人であることが違いを際立たせるポイントとなるが、勢いに乗る共和党のトランプ氏を前に、ガラスの天井を破ることができるかは不明だ。

 

バイデン大統領の出馬辞退で、大統領選は新たなステージに入ったが、米国政治の不安要素は依然残ったままだ。今後の動気には注意が必要だ。

 

 

日本政府観光局によると、6月の訪日外国人旅行者数は313万5,600人となり、過去最高を記録した。

 

学校休暇などにあわせた訪日需要の高まりや、台湾、フィリピン、米国等で訪日客が増えたことが、押し上げ要因となっている。

 

中国からの旅行者も回復し始めており、6月は66万人を超え、韓国の70万人に次いで多い数となった。

 

上半期の累計も1,777.8万人と、2019年を100万人以上も上回り過去最高となった。下半期もこのペースが続けば、2024年は3,500万人が視野に入る。

 

旅行消費もインバウンドの伸びが大きく、4-6期は2.1兆円を超え、こちらも四半期として過去最高となった。年間換算では8兆円が視野に入る状況である。

 

政府はこの流れを受け、観光立国推進閣僚会議を開き、2030年の訪日客6,000万人、消費額15兆円に向けた取組を示した。

 

会議では、航空燃料の供給ができない状況の対策を急ぐとともに、スポーツ・ツーリズムやネイチャー・ツーリズム、地方観光の魅力向上、交通空白の解消等の取組を進めるとした。

 

また、オーバーツーリズムの未然防止や抑制に向けた対策も講じるとしたが、優先すべきは何度でも日本に来たくなるような環境整備である。この順番は間違えないで欲しいと思う。

 

政府観光局資料

7月15日から7月21日までの「政策リサーチ」アクセスランキングTop8は以下の通りとなった。

 

1位 トランジション・ファイナンス環境整備検討会・経産省(事務局資料)

2位 報道発表・デジタル庁(マイナンバーカードインフォ自治体向け、同民間事業者向け)

3位 社会保障審議会・医療部会・厚労省(医療DXの更なる推進について報告)

4位 政策情報・防衛省(令和6年版防衛白書)

5位 報道発表・国交省(船舶産業の変革実現のための検討会報告書)

6位 デジタル田園都市国家構想実現に向けた地域幸福度指標活用促進に関する検討会・デジタル庁(地方公共団体における地域幸福度指標活用促進について)

7位 交通空白解消本部・国交省(地域の足観光の足の現状と対策)

8位 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会・総務省(とりまとめ素案)

 

 

太平洋・島サミットが、首脳宣言を採択して閉幕した。

 

サミットは、1997年から3年に一度開催されており、今回で10回目となる。気候変動を最大の脅威と位置づけ、防災能力の強じん化や脱炭素化の推進などで日本が積極的に支援することを打ち出した。

 

また、海洋進出の動きを強める中国を念頭に、法の支配に基づいた自由で開かれた海洋秩序の重要性や、力による一方的な現状変更の試みには強く反対するとした。 

 

日本は、ODAによる支援で、歴史的にも関係の深い島嶼国地域の発展に、長年貢献してきた。ところが、最近は中国が、経済力を背景に同地域へ影響力を拡大している。

 

中国はサミットでの宣言を、日本の協力は、島嶼国の経済発展と生活の改善、地域の平和や安定、繁栄に限るべきと牽制する。一方で、自身は、島嶼国の国々に、台湾との断交を迫る姿勢を止める気配はない。あらゆる手段で揺さぶりをかけ、懸念を持つ島嶼国首脳も多い。

 

インドや韓国も同様の会合を立ち上げており、米国も島嶼国への関与を深めている。島サミットでは先駆け的な存在の日本だけに、これらの国々とも連携し、島嶼国で圧力を強める中国の思惑を阻止する外交を、長期的な視点で展開するべきだ。

 

 

 

政府は、2021年6月に『半導体・デジタル戦略』を取りまとめ、今年の5月末に2度目の改訂を行った。

 

半導体は、米中の対立激化で重要度が増し、経済安全保障上の観点から、サプライチェーンの見直しが進む。

 

現在、半導体の製造拠点は台湾や韓国に集中しているが、地政学的なリスクが高いことから、日本での立地ポテンシャルが見直されている。

 

1980年代に躍進を続けた日本の半導体産業は、米国との貿易摩擦で槍玉に挙げられ、圧力に屈した。その間に韓国や台湾、中国などが台頭し、競争力を失った経緯がある。

 

この構図が、今大きく変わろうとしている。世界中でデジタル化が進み、生成AIの誕生などで半導体の重要度が増している。

 

安倍・岸田政権で深めた、米国や同志国との連携が、日本での量産工場立地に向けた動きを円滑にしている。

 

政府は、この3年間で4兆円の補助金を計上し、投資や税制による支援を進める。熊本では、JASMが12月に本格稼働し、Rapidusは、北海道で2020年代後半に2nmの製造を目指す。

 

全国で12兆円を超える官民投資が行われており、半導体市場は2030年に現在の3倍となる15兆円まで拡大する見込みだ。