太平洋・島サミットが、首脳宣言を採択して閉幕した。

 

サミットは、1997年から3年に一度開催されており、今回で10回目となる。気候変動を最大の脅威と位置づけ、防災能力の強じん化や脱炭素化の推進などで日本が積極的に支援することを打ち出した。

 

また、海洋進出の動きを強める中国を念頭に、法の支配に基づいた自由で開かれた海洋秩序の重要性や、力による一方的な現状変更の試みには強く反対するとした。 

 

日本は、ODAによる支援で、歴史的にも関係の深い島嶼国地域の発展に、長年貢献してきた。ところが、最近は中国が、経済力を背景に同地域へ影響力を拡大している。

 

中国はサミットでの宣言を、日本の協力は、島嶼国の経済発展と生活の改善、地域の平和や安定、繁栄に限るべきと牽制する。一方で、自身は、島嶼国の国々に、台湾との断交を迫る姿勢を止める気配はない。あらゆる手段で揺さぶりをかけ、懸念を持つ島嶼国首脳も多い。

 

インドや韓国も同様の会合を立ち上げており、米国も島嶼国への関与を深めている。島サミットでは先駆け的な存在の日本だけに、これらの国々とも連携し、島嶼国で圧力を強める中国の思惑を阻止する外交を、長期的な視点で展開するべきだ。