立憲民主党と公明党が、次期衆院選に向けて新党を結成することで合意した。会見で斉藤代表は、「右傾化が進む政治状況のなか、中道主義の大きなかたまりをつくる」と語り、野田代表も中道勢力の結集に力を置いた。
しかし、両党が掲げる「中道」とは一体何を意味するのかよくわからない。立憲民主党は旧民主党の流れを汲むリベラル政党であり、一方の公明党は、長年にわたり自民党と連立を組み、集団的自衛権の限定的行使を認める安保法制にも賛成してきた政党である。
両者の政策的な溝は浅くないにもかかわらず「中道」の一言で括り、新党を結成するというのは、理念も政策も整合性のない話しである。あるのは、高市政権を右系勢力とレッテル貼りし、「高市首相に一泡吹かせたい」という政局的な打算のみである。
両党の連携を読み解く上で、見逃せない視点が他にもある。それは対中姿勢における驚くべき類似性である。公明党の支持母体である創価学会は中国共産党との関係が深く、党代表が中国共産党幹部と頻繁に会談を重ねてきた歴史がある。
2022年に超党派で中国の人権状況に対する非難決議を国会で採択しようとした際、徹底的に抵抗したのが公明党であった。修正に次ぐ修正の結果、決議文からは「人権侵害」や「非難」という言葉ばかりか、「中国」という国名さえ削除されるに至った。
一方の立憲民主党も、国会での台湾有事をめぐるやりとりからも分かる通り、中国の対外工作部門の声を代弁するかのような発言を繰り返し、高市首相の台湾有事への対応や対中姿勢を厳しく批判してきた。このようなやり方は、中国を利するだけである。
そのため、今回の新党結成は、「中道」という美名の下に「親中勢力」が結集したと見ることもできる。注目すべきは、今回の新党結成合意を中国メディアが速報で伝えたという事実である。中国側が高市政権への対抗軸として、新党に期待を寄せているのは明らかである。
尖閣諸島周辺では中国海警局の船舶が領海侵入を繰り返し、台湾海峡の緊張は日増しに高まっている。このような国際環境の中で、対中融和姿勢を共通項とする政党が手を組み政権を目指そうとするのは、中国を喜ばすだけであり、その危険性は計り知れない。
公明党の最大の武器は、言うまでもなく創価学会を母体とする組織票だ。小選挙区で1万から2万票ある言われるこの票は、自民党候補の当落を左右してきた。この組織票を立憲民主党に振り向けることで、高市政権に打撃を与えようという考えが新党構想の根底にある。
会見では、比例代表における統一名簿を作成し、死票を減らして議席獲得効率を上げるという説明もなされた。これは、選挙制度の趣旨を歪める行為でもある。自分たちの議席数を最大限に確保したいという党利党略でしかなく、野合と批判されても仕方ないだろう。
かつて公明党は「清潔な政治」を掲げ、政治改革の旗手を自任していた。しかし今回の決定は、理念よりも議席を、国益よりも政局を優先するという本性を露わにしたものである。そして立憲民主党は、かつて批判していた「数合わせの政治」を自ら実践しようとしている。
政治とは本来、国家の将来像を示し、国民の負託に応えるものである。選挙に勝つためだけの離合集散は、政治への信頼を著しく損なう。今回の立憲・公明による新党は、両党の政治的堕落を象徴するものである。足し算だけで選挙はできないことに気づくべきだ。
有権者は賢明だ。理念なき野合や政策なき結集を見抜く目を持っている。そして、背後にある対中融和路線の危険性にも気づいているはずだ。日本の政治を「数合わせゲーム」に貶め、安全保障を危うくするこのような考え方に、国民が厳しい審判を下す可能性は高い。
突然の解散報道で、立公両党は悪手を連発しているように見えるが、公明党の票が離れたことで動揺する自民党議員もいる。しかし、今回の選挙では、公明党票以上に、大量の無党派票が自民候補に投票する流れが見えている。もっと国民を信じた方が良い。
失う票に震えるより、期待を寄せる票に向き合うべきだ。自民党の支持率は3割強だが、早苗効果で、選挙になれば無党派の5割以上が自民党に流れ、投票者全体の5割前後が自民党候補に入れる可能性がある。そこまで風が吹く選挙は久しぶりだ。自信を持った方が良い。




