第194話 究極進化! ノゾムの信じるもの | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよび
デジモンアドベンチャー02の
二次創作(小説)中心に稼働します。

注)『デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~』は
管理人が勝手に想像するフロンティアのその後の物語です。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。


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 守れなかった。

 大切な相棒も。

 世界も。

 俺のしてきたことは何だったんだ。

 結局、狂った神の思い通りで。

 俺は。

 大丈夫だよ。

 何も。

 信也のこと、信じてる。

 

 

 最初に感じたのは、猛烈な息苦しさだった。

「っはあ! はぁ、ぐっ、げほっ」

 口を開き、必死に息を吸い込む。

 二度三度するうちに、呼吸が落ち着いてくる。頭で考える余裕が出てくる。

 俺は。

 そうだ、ユピテルモンに心臓を吹き飛ばされて。

 自分の胸に目をやる。

 胸のあたりのTシャツは焼け焦げてなくなっている。が、その下の肌は傷一つない。

 理由は周りを見ればすぐに分かった。俺の倒れている場所を除いて、直径10メートルくらいの地面が消えている。胸に埋め込まれたスピリットが、デジコードを吸って俺の傷を治したんだ。

 ただ、俺の胴体にはまだデジコードが浮かんでいた。

 銀色ではなく、どす黒いデジコードが。

 それを見ても、不思議と恐怖や戸惑いは感じなかった。

 デジコードを見つめたまま、むき出しになった自分のみぞおちに指を伸ばす。

 心臓の鳴る音がしない。自分の胸なのに、金属でも触っているような冷たさだ。

 それでいて、体を食いちぎりそうなエネルギーと、暴れたいという衝動を感じる。

 これが、プルートモンのスピリット。

 こみ上げてくるつばを、無意識に飲み込む。

 

「神原信也。目覚めた気分はどうだ」

 頭上から、腹の底まで轟いてくる声がした。聞くだけで体中の毛が逆立った。この世で一番、聞きたくない声。

 すぐさま体を起こして、声の方を見上げる。

 ユピテルモンは宙に浮いて俺を見下ろしていた。

 俺は爪が食い込むほどこぶしを握り、吐き捨てる。

「最悪だ。生き返って最初に聞く声がお前のだなんてな」

 俺の相棒は死んだ。なのに、こいつはまだ生きている。その事実だけで吐き気がする。

 一瞬でも早く、ばらばらにぶっ壊してやりたい。目の前から消してしまいたい。

 黒いデジコードが膨れ上がる。細いデジコードが伸びて、俺の体を覆っていく。

「信也! よせ!」

 兄貴の声を聞き流す。

 デジタルワールドが消えたっていいじゃないか。

 ユピテルモンを倒せるならそれで。

 感情に、もう抑えなんかきかない。

 デジコードのまとわりついた足を、一歩踏み出す。

 

 

 その足に、柔らかくて優しいものが触れた。

 目線を足元に落とす。

「ノ、ゾ、ム……?」

 口が、自然と名前を呼ぶ。

 周りのデジコードを取り込んだのに、ノゾムの体はまだ残っていた。その指先が、俺の足に当たっている。

 生きている?

 違う、ノゾムは死んだ。もう動かない。

 でも、その手が触れたのを偶然だと思えない。

 ノゾム、俺を止めたいのか?

 その横に両膝をつく。

 ノゾムは微笑んでいた。

 そうだ、ノゾムは自分の命が尽きると分かっていても、最期まで俺に笑顔を向けてくれた。

『信也のこと、信じてる』

 最後にそう言ってくれた。

 俺はノゾムの死に、自分の命の危機に動転して、大事なことを忘れていた。

 俺の胸に埋め込まれたスピリットは、俺だけの力じゃない。俺達二人の力だ。

 俺達は、出会ってからずっと、二人で戦ってきた。

 だから、これからも。

 ノゾムはそのことを分かっていた。だから、俺のこと信じてると言ってくれた。

 なのに俺は、こんなギリギリまで気づかないで。

 俺の足に触れていたノゾムの手をとる。微笑んでいる顔に、そっと語りかける。

「これからも、相棒でいてくれるよな」

 返事はない。だけど、答えは分かっている。

 ノゾムの手を俺のデジコードに押し当てる。

 これが、俺の望むこと。

 ノゾムの体がデジコードになってほどける。純白のそれが、俺のデジコードに重なり、取り込まれていく。

 俺のデジコードが、黒から燃える白銀に変わっていく。胸からあふれていた冷たい衝動が消え、代わりに温かさが広がっていく。

「なぜだ……プルートモンの力に呑まれかけていたのに」

 ユピテルモンが戸惑ってつぶやく。

 ノゾムの最後のデジコードを受け入れたところで、俺は静かに立ち上がる。

 自分の胸に手のひらを当て、ユピテルモンをまっすぐに見すえる。

「お前が俺に埋め込んだスピリットは、プルートモンのスピリットじゃない。ノゾムの心と、俺との記憶が詰まった魂だ。二人の全てを重ねて、プルートモンの力だって、壊す力から守る力に変えてみせる」

 俺の目の前にデジヴァイスが飛んできた。深紅のボディに純白の握りがついた、俺達のデジヴァイス。

 その画面に、天と火が重なった文字が現れる。

 

 デジヴァイスを逆手につかみとる。力強く、胴体のデジコードに押し当てる。

 なぞるにつれて、デジコードが燃えて輝きを増す。

 

「セイクリッドフレイム・エボリューション!」

 

 デジヴァイスを振り抜き、神話へのキセキを描く。

 

 炎が六対の翼の形をとり、一対が頭に、五対が背中に宿る。

 胴には黒い鎧と、それを覆う白い一枚の衣。

 左腕に銀色の盾をつけ、右手で聖なる炎を宿した剣をつかみとる。

 

 

「ヴィシュヌモン!」

 

 

 これが、俺とノゾムとで導き出した究極進化。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

大っ変お待たせいたしました!

というわけで、信也の究極進化はオリジナルデジモン、ヴィシュヌモンです。「火」と「天」を合わせて聖炎という属性です。

プルートモンにも一回だけ進化させようか考えたのですが、ボツになりました。

 

小説本文を書く気力を回復させるのにも時間かかったんですが、総計時間でいうと絵を描く方が恐ろしく時間かかりました(汗)

なにしろ描き始めたの今年の1月でして(白目)

毎度のごとくトレース絵のつなぎあわせなのでバランスとかデザインとか正直納得できていないです。顔もうちょっと凛々しくしたかったし、手足にも鎧つけたかったし、ギリシャ・ローマ系に偏ってしまったのも悔しいし、もっと炎要素足したかったし(ぶつぶつ)

でもこんなギリギリになってしまったんだからいい加減に妥協しました(汗)画力のある人うらやましい。

なお、この絵が新着記事一覧等で出てしまわないように、冒頭付近に小さな白い画像をいれてあったりします。

詳細な設定や技などは次回。

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