第66話 地下室に舞い立つ砂塵! レッパモンの攻撃 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

「レッパモン、一体どういう事なの!?」

 泉の声にレッパモンが尻尾を揺らしながら答えた。

「バリアを解除した時点でもうお前達に用はない。土のスピリットは私がもらいうける」

「お前、まさか『泉ちゃん、聞こえる?』

 俺が言い終わる前に純平の声が割り込んだ。泉のデジヴァイスから大声があふれ出す。

『気をつけて! 城の中にスパイがいるはずなんだ!』

「純平、それ俺が言おうとしてたのに!」

 俺は泉のデジヴァイスに叫び返した。

「今はそんな事言ってる場合じゃないと思うんだけど……」

 レッパモンを警戒しながら、輝一が苦笑した。

 泉がデジヴァイスに口を近づける。

「今ちょうどその『スパイ』に襲われた所なの」

『え!? 泉ちゃん大丈夫!? 怪我してない!?』

「もう、今は話している暇はないの! 切るわよ」

 泉がボタンを押して一方的に通信を切った。

 会話を聞いていたレッパモンが尻尾を揺らしてため息をつく。

「まだここに通信してくる元気があったとはな。バックスモン様と戦い満身創痍であろうものを」

「バックスモン……十二神族か? そうかお前が、純平達が鋼のエリアに行くって教えて襲わせたのか」

 レッパモンがトゥルイエモンや俺達を裏切ったのなら、今の状況にも納得がいく。

 レッパモンの力だけじゃセキュリティを抜けてスピリットのそばまで辿りつけても、スピリットを奪う事はできない。バリアを解除してスピリットを手に入れるためには俺達のデジヴァイスの力が必要だったんだ。

 だからここまで大人しく案内してきた。

「でも、俺達の目の前でスピリットを盗もうとしたってそうはいかないぜ!」

 俺達三人の左手にデジコードが浮かび上がった。


「スピリット・エボリューション!」

「アグニモン!」

「シューツモン!」


「ダブルスピリット・エボリューション!」

「ライヒモン!」


 本当はヴリトラモンになりたい所だけど、ヴリトラモンの巨体に対してこの部屋は小さすぎる。

 俺はデジヴァイスをレッパモンに向けてデータを読み取った。


『レッパモン。尻尾が刃になっている鎌鼬カマイタチの様なデジモン。尻尾の刃自身に意志があり、背後からの不意をついた攻撃にも対処できるようになっている。必殺技は、前転しながら突撃する《駆駆裂空斬くるくるれっくうざん》と、鋭い爪で相手を乱れ裂く《獣牙乱撃じゅうがらんげき》。また、尻尾を振った時には、目には見えない風の刃《真空カマイタチ》を放つので油断できないデジモンである』


 さっきの《真空カマイタチ》以外に二つの技を持ってるのか……覚えておこう。

 俺達は互いに距離を取ったまま睨みあう。

 最初に動いたのはシューツモンだった。

「《ウィンドオブペイン》!」

 鋭い風がレッパモンを襲う。

 レッパモンの尻尾が動いた。

「《真空カマイタチ》!」

 風の刃がシューツモンの技を相殺しようとする。だが勢いに押されて壁際に押される。

 そこに槍を構えたライヒモンが切りこむ。

 レッパモンはすぐさま跳んで槍の上に飛び乗った。そのままライヒモンの頭を足場にして背後を取る。



 足にパワーをためた俺が待ち構えているのにも気づかずに。



「《サラマンダーブレイク》!」

 回し蹴りが正確にレッパモンを捉えた。その体が土壁に叩きつけられる。

 それでもよろめきながら立ち上がってくる。

「ならもう一撃!」

 今蹴った方の足を軸にして、今度は反対側の足を蹴りあげる。レッパモンを正面から攻撃する位置だ。

「《真空カマイタチ》!」

 至近距離で尻尾が動いた。思いがけない攻撃に、反射的に飛びのいた。

「どうした、アグニモン?」

「いや……」

 ライヒモンの問いかけに、俺はあいまいな返事をする。

 俺は正面から攻撃しようとした。相手から反撃が来るのなら爪での攻撃だと思っていた。それが一番早いし効果的だからだ。

 なのに、飛んできたのは尻尾での攻撃。

 待てよ。そもそも最初から、レッパモンは尻尾を使った攻撃しかしていない。十闘士三体を相手にしようって割に、やり方が単調すぎる。

「お前……なんで《真空カマイタチ》以外の技を使わないんだ?」

「ぐっ」

 レッパモンは痛い所を突かれたらしい。尻尾を揺らしたまま、俺の問いに答えようとしなかった。





―――




 泉ちゃんへの通信が終わった後、友樹をデジモン達に任せて、俺はバックスモンを追った。友樹とダブルスピリットに関しては、メルキューレモンが何とかしてくれる事を祈るしかない。あと、泉ちゃんに一方的に通信を切られたけど……緊急事態だったから仕方ない、よな。

 ともかく、ブリッツモンに進化してバックスモンが駆け去った方向に飛ぶ。

 致命的じゃないとはいっても、そのままでは元の世界に帰れないほどの傷をバックスモンは負った。

 なら、どこかで止まって傷を癒しているはずだ。

 俺はバックスモンに気づかれないよう高度をぎりぎりまで上げて、地上に目をこらした。



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前話に引き続き、今回は拓也の絵を投下します。(一時期文章書かずに絵に集中していた時期があったので、実は前話の時点で全員分書きあがっていたのです)












星流の二番目のたな-拓也


【名前】

神原拓也

【年齢】

13歳、中1

【詳細】

前回の冒険でデジタルワールドを救った伝説の十闘士の一人。持ち前の明るさでメンバーのリーダー役を果たす。戦いに敗れ弱気になった事もあったが、初心に帰り、仲間と世界を救いたいという気持ちをバネに立ち直った。セラフィモンのデジタマとオファニモンから力を受け取り、ダブルスピリットとハイパースピリットの進化をする事が出来た。(現在どこまで進化できるのかは不明)

信也の2つ上の兄である。冒険を通して成長した自分の存在が弟の重荷になっている事になんとなく気づいている。

【進化先】

アグニモン(炎の闘士)

技:《バーニングサラマンダー》、《ファイアダーツ》、《サラマンダーブレイク》

ヴリトラモン(炎の闘士)

技:《フレイムストーム》、《コロナブラスター》

アルダモン(炎の闘士)

技:《ブラフマシル》、《ブラフマストラ》

カイゼルグレイモン(炎の闘士)

技:《九頭龍陣》、《炎龍撃》

以下、作者の小話。

今回も輝一と同じくOP以外から素材を収拾。OP見てもらえれば分かるのですが、拓也だけ後ろ向きに立っているので、そのままだと服がほとんど描けなかったのです。

スサノオモンは拓也一人で進化するわけではないのでここには書きませんでした。あと、カイゼルグレイモンって炎の闘士でいいのでしょうかね。

そして中1の拓也を描いたのはいいけど、本編での拓也は現在小5の姿というタイミングの悪さよ(苦笑)