第61話 作業分担! スピリット2つとプログラム1つ | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 ボタンを操作すると、デジヴァイスからデジコードが出てきた。

 いつもなら銀色に光るコードがひとつながりになって出てくるはずなんだけど。

 このデジコードは所々欠けている。消しゴムでもかけられたって感じだ。

 全部が出てきた所で、最初と最後がつながって輪になった。それをトゥルイエモンに渡す。

「俺達にけんか売ってきたダスクモンのデータなんだけど、スキャンした後見てみたらこんな事になってたんだ」

 トゥルイエモンもそれを受け取りながら真剣な表情になる。

「これは珍しい状態だな……データが足りていないのか……?」

 トゥルイエモンのつぶやきに輝一が反論する。

「それはないと思う。実際に戦ってみたけど、ダスクモンの実力は十分にあった。あれでデータが足りていなかったとは思えないんだ」

「なるほど。お前の言う事なら間違いはないだろうな」

 トゥルイエモンに言われて複雑そうな顔になる輝一。

 手元のデジコードを見ながら、トゥルイエモンが考え込む。

「これは詳しく調べる必要があるな。時間がかかるが、君達はそれでいいか?」

 俺達はうなずく。

「どっちにしろ、このエリアのスピリットを回収しないといけないしね」

 友樹が代表して答えてくれる。壊れたデータの事も気になるけど、俺達がまずやるべきはスピリットの回収だからな。


 泉が何か思い出したように声をあげた。

「そうだ、ダブルスピリットのプログラムはどうするの?」

 忘れる所だった。

「順番にやってもらおうか? 壊れたデータの調査が終わったらプログラム作りをしてもらうとか」

 友樹の提案には俺が答える。

「それじゃ時間がかかりすぎる。強敵がいつまた攻めてくるのか分からないのに、輝一の力だけに頼るわけにはいかないだろ」

「なら……他にプログラムを作れるデジモンを探そうか?」

 輝一の言葉に、全員が腕を組んで考え込む。

 最初に思い浮かんだのはテイルモンだ。光のスピリットにプログラムを埋め込んだデジモン。

 だけど、テイルモンにとっては光のスピリットに埋め込むだけで精いっぱいだったはずだ。だからこそ他に応用する事ができない状態で俺達に託したわけで。

 他に、高度なプログラムを作れそうなデジモンというと――。


「鋼のメルキューレモンならできるかもしれん」


 そう言ったのはトゥルイエモンだった。

 メルキューレモンって、二番目に行ったエリアで会った緑色のデジモンか。

 トゥルイエモンが説明する。

「やつは古代において『卓越した叡智を全て記憶し、その叡智を持って、遥か未来をも見通す賢者』と呼ばれた存在の力を受け継いでいる。やつならダブルスピリットのプログラムを作ることができるだろう。鋼のエリアにやつのスピリットを持っていけば、話ができる」

 ……よく分からないけど、要するにすごく頭がいいって事か。

「決まりだな! このエリアのスピリットを回収する組とメルキューレモンに会いに鋼のエリアに行く組と、二手に分かれようぜ」

 俺が話を飲み込んでいる間に、純平が手早く話をまとめ始めた。

「回収組3人、鋼のエリア組2人って所だな。問題は誰がどっちにいくかだけど」

 そう言って純平がみんなを見回す。

「俺はここに残るよ」

 最初に言い出したのは輝一だった。

「このエリアはいつ十二神族に襲われるか分からない。ダブルスピリットできる俺はここにいた方がいいと思うんだ」

 これで回収組が一人決まった。

 俺はどうするかな……またあのメルキューレモンうえからめせんのあいつと話す羽目になるのは嫌だな……。

「俺もここに残る」

 他が決まらないうちに、俺は二人目のいすを確保した。

 次に手を挙げたのは純平だ。

「じゃあ俺は鋼のエリアに行くよ。泉ちゃんはどうする?」

 泉にさりげなく、でも俺達にはバレバレの期待の視線を送る純平。

「もし良かったら――」

「私はここに残ろうっと」

 予想通り泉に撃沈された。

「えっと、そうしたら僕が純平さんとだね」

 あえて元気な声を出す友樹。

 相変わらず落ち込んだままの純平がつぶやく。

「前にもこんな事があったような……」

 凹む純平に、泉が歩み寄った。

「純平、ダブルスピリットの事は任せたわよ。頑張ってね」

「わ、分かったよ泉ちゃん! 必ず完成したプログラムを持って戻ってくるからさ!」

 一瞬でやる気全開になる純平。それをにこにことしながら見ている泉。

 これは、完全に尻に敷かれてるな。
 二人を見ながら、一つ大事な事を学んだような気がした。



「鋼のスピリットを渡しておかないとな」

 俺はデジヴァイスを操作した。

 純平のデジヴァイスに二つのスピリットが転送される。

「それじゃあ、俺の持ってるプログラムのコピーも」

 輝一から純平にダブルスピリットのプログラムが転送された。

「行ってきます! ここはよろしくね!」

 友樹が手を振って部屋を出ていく。スピリットとプログラムを受け取った純平も後を追って出ていった。



 二人が出発して、トゥルイエモンもデータの調査をし始めた。

 俺達は邪魔にならないように書斎を出る。

「さて、私達は土のスピリットを取りに行きましょうか」

 泉の言葉に俺と輝一がうなずいた。



☆★☆★☆★




「土のエリア編」といいつつ実際の舞台は土のエリアと鋼のエリアという。

序盤という事で、メルキューレモンあまり活躍させられなかったし……トゥルイエモン以外でダブルスピリットのプログラム製作を頼めるキャラ、と考えてこうなりました。

ちなみにトゥルイエモンが信也達は『君達』と呼んでいるのに輝一とメルキューレモンは『お前』『やつ』呼ばわりですが、わざとです←



それからもうひとつ。

だいぶ間があきましたが純平の絵が出来上がったので投下します。









星流の二番目のたな-純平



【名前】

柴山純平

【年齢】

14歳、中2

【詳細】

前回の冒険でデジタルワールドを救った伝説の十闘士の一人で最年長。親しい友達が作れず悩んでいたが、冒険を通して友達は物をあげて作るものではないと学んだ。雷の闘士だが、進化していない時は雷が大の苦手。

泉と中学校が同じ。思いを寄せているが、いまだにむくわれていない。


【進化先】

ブリッツモン(雷の闘士)

技:《トールハンマー》、《ミョルニルサンダー》、《ライトニング・ボンバー》

ボルグモン(雷の闘士)

技:《フィールドデストロイヤー》、《アルティメットサンダー》



以下、作者の小話。

友樹以外のオリジナルメンバーが中学生になっているので、一人くらい制服着てるキャラがいてもいいなと思ってこんなデザインになりました。

描いてみたら案外しっくりきた気がします。純平の制服姿。