今回は炎の闘士VS炎デジモンです。
自分で書いてなんですが、あつい!
……最近の前書き、毎回あついあついって書いてますね(苦笑)
☆★☆★☆★
月明かりの中に、四本の足と九本の尻尾の炎が浮かんでいる。
大きなキツネみたいなデジモンだ。暗くてよく分からないけど、青色の毛並みをしているらしい。
デジヴァイスを向けると、音声が流れ出した。
『ヨウコモン。妖獣型デジモン。攻撃力そのものは強くないが、強大な精神力を持っており“術系”の技を得意とし、赤く燃え盛る四肢で天をも駆けると言われている。得意技は灼熱の火の玉を出現させ意のままに操る《
「そっちも炎を使うのか」
俺の問いかけに、ヨウコモンがうなずいた。
「貴殿の素早さは
「……イカ? どこにイカが?」
俺がきょとんとして聞き返す。
ヨウコモンがため息をついた。
「知能は
「……って、それは俺が、バカとかアホとかだって言いたいのか!?」
俺の叫びに、ヨウコモンはまたため息で答えた。
「『いかに』とは『どれほどのものか』という意味です」
「そんな言葉、小5の俺が知るかよ!?」
前のナイトチェスモンといい、こいつといい、まともなしゃべり方はできないのか……?
ヨウコモンが前足を一歩踏みだす。
「おしゃべりはこれまでといたしましょう。その実力、見せていただきます」
友樹達に知らせてる暇はなさそうだな。
俺も気を引き締めて、こぶしを握った。
「来い!」
ヨウコモンの尻尾が扇形に広がった。尻尾の先の紅い炎が勢いを増す。
「《
9つの炎が俺に向かって飛んでくる。
俺はさっきのように跳んでよけようと……速い!?
右肩と左腕に痛みが走った。
着地して見ると、赤い鎧から煙が上がっている。大した威力じゃないけど、繰り返し食らうときつそうだな。
ヨウコモンはというと、足の炎を燃やして、俺の周りを駆けまわっている。俺の隙を狙っているみたいだ。
相手が近寄ってこないのなら。
俺は両腕に炎の力を集中させる。
「《バーニングサラマンダー》!」
両腕から、続けざまに火の球が放たれる。
だけど二つの球は、動きまわるヨウコモンをとらえられずに、夜の中に消えていく。
くっ、それなら!
―――
「――さん、泉さん! 起きて!」
誰かに体をゆすられて、私は薄く目を開けた。
暗がりの中、友樹が私の顔をのぞき込んでいた。私が目を開けたのを見て、ほっと息をつく。
「外の様子が変なんだよ」
「外?」
友樹に言われて、私はまばたきしながら体を起こした。
窓を見るけど、まだ外は真っ暗。夜が明ける気配もない。
「……あら?」
遠くで何かが光った気がした。目をこらすと、光がちらちらしているのが分かる。あれは……火?
夜に火が飛び回っている。それって。
「ま、まさか、お化け……?」
「もしそうでも俺が泉ちゃんを守るから心配ないって!」
いつの間にか横にいる純平。
「それじゃあ、もし襲われたら退治よろしくね」
いつものように適当に返す。純平も眠そうだけど、ほっぺたを両手で叩いて気合を入れている。
「信也はどこだ?」
輝一の声で振り返る。信也が寝ていた座席を見るけど、荷物があるだけ。車両も見回すけど、どこにもいない。
「まさか、信也になにかあったんじゃ!?」
「私も行くわ!」
友樹に続いて、私も外に駆けだす。きっと、あの火は信也――アグニモンよ!
―――
「《ファイアダーツ》!」
俺は小さな火の玉を連続で撃ちだしていく。ヨウコモンは軽いステップで動いていく。
それでも何発かが青い毛を焦がす。炎に照らされたヨウコモンの顔が、不機嫌そうにゆがむのが見えた。
「特訓の成果ここにあり! ってな」
最近ずっと練習してきただけあって、命中率が上がってる!
「かような小手先の技で、よもや勝利が得られるとでもお思いか!」
ヨウコモンが体を丸める。尻尾の炎が燃え広がり、全身が赤い炎に包まれた。
「《
「くっ!」
瞬きする間にふところに入られる。バック転で辛うじてかわした。いくら炎の闘士でも、あの汚れた炎に焼かれたらただで済むとは思えない。
ヨウコモンがまた俺の周りを駆けまわる。
あんな速度で移動されたら、《バーニングサラマンダー》や《サラマンダーブレイク》は当てられない。だけど、《ファイアダーツ》じゃあいつの体力を削れないらしい。
俺もいつまで《
……でも、どうやって?
☆★☆★☆★
いわゆる「青いキュウビモン」。キュウビモンとどちらにしようか迷いましたが、敵っぽいヨウコモンを選択。
ところでさっきから、外で雷と雨が大暴れしています……。
純平、どうにか――
純平「うわ~! 雷は勘弁してー!」(がたがた)
――できそうにないですね。
ノートパソコンのコンセント、抜いておきますか。
※8月19日追記 諸事情により友樹視点を泉視点に変えました。理由は――次回で分かると思います。
◇今回初登場のデジモン