第25話 勝利を編み出せ 炎と炎の戦い! | 星流の二番目のたな

星流の二番目のたな

デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

今回は炎の闘士VS炎デジモンです。

自分で書いてなんですが、あつい!


……最近の前書き、毎回あついあついって書いてますね(苦笑)




☆★☆★☆★




 月明かりの中に、四本の足と九本の尻尾の炎が浮かんでいる。

 大きなキツネみたいなデジモンだ。暗くてよく分からないけど、青色の毛並みをしているらしい。

 デジヴァイスを向けると、音声が流れ出した。


『ヨウコモン。妖獣型デジモン。攻撃力そのものは強くないが、強大な精神力を持っており“術系”の技を得意とし、赤く燃え盛る四肢で天をも駆けると言われている。得意技は灼熱の火の玉を出現させ意のままに操る《焔玉(ほむらだま)》。必殺技は尻尾から燃え盛る赤炎の龍を出現させ敵を焼き尽くす《邪炎龍(じゃえんりゅう)》』


「そっちも炎を使うのか」

 俺の問いかけに、ヨウコモンがうなずいた。

「貴殿の素早さは(じょう)()。では技の威力はいかに」


「……イカ? どこにイカが?」


 俺がきょとんとして聞き返す。

 ヨウコモンがため息をついた。

「知能は()(ちゅう)といった所で」

「……って、それは俺が、バカとかアホとかだって言いたいのか!?」

 俺の叫びに、ヨウコモンはまたため息で答えた。

「『いかに』とは『どれほどのものか』という意味です」

「そんな言葉、小5の俺が知るかよ!?」

 前のナイトチェスモンといい、こいつといい、まともなしゃべり方はできないのか……?


 ヨウコモンが前足を一歩踏みだす。

「おしゃべりはこれまでといたしましょう。その実力、見せていただきます」

 友樹達に知らせてる暇はなさそうだな。

 俺も気を引き締めて、こぶしを握った。

「来い!」


 ヨウコモンの尻尾が扇形に広がった。尻尾の先の紅い炎が勢いを増す。

「《焔玉(ほむらだま)》!」

 9つの炎が俺に向かって飛んでくる。

 俺はさっきのように跳んでよけようと……速い!?


 右肩と左腕に痛みが走った。

 着地して見ると、赤い鎧から煙が上がっている。大した威力じゃないけど、繰り返し食らうときつそうだな。

 ヨウコモンはというと、足の炎を燃やして、俺の周りを駆けまわっている。俺の隙を狙っているみたいだ。

 相手が近寄ってこないのなら。

 俺は両腕に炎の力を集中させる。


「《バーニングサラマンダー》!」


 両腕から、続けざまに火の球が放たれる。

 だけど二つの球は、動きまわるヨウコモンをとらえられずに、夜の中に消えていく。
 くっ、それなら! 




―――






「――さん、泉さん! 起きて!」

 誰かに体をゆすられて、私は薄く目を開けた。

 暗がりの中、友樹が私の顔をのぞき込んでいた。私が目を開けたのを見て、ほっと息をつく。

「外の様子が変なんだよ」

「外?」

 友樹に言われて、私はまばたきしながら体を起こした。

 窓を見るけど、まだ外は真っ暗。夜が明ける気配もない。

「……あら?」

 遠くで何かが光った気がした。目をこらすと、光がちらちらしているのが分かる。あれは……火?

 夜に火が飛び回っている。それって。


「ま、まさか、お化け……?」


「もしそうでも俺が泉ちゃんを守るから心配ないって!」


 いつの間にか横にいる純平。

「それじゃあ、もし襲われたら退治よろしくね」

 いつものように適当に返す。純平も眠そうだけど、ほっぺたを両手で叩いて気合を入れている。

「信也はどこだ?」

 輝一の声で振り返る。信也が寝ていた座席を見るけど、荷物があるだけ。車両も見回すけど、どこにもいない。

「まさか、信也になにかあったんじゃ!?」

「私も行くわ!」

 友樹に続いて、私も外に駆けだす。きっと、あの火は信也――アグニモンよ!





―――





「《ファイアダーツ》!」

 俺は小さな火の玉を連続で撃ちだしていく。ヨウコモンは軽いステップで動いていく。

 それでも何発かが青い毛を焦がす。炎に照らされたヨウコモンの顔が、不機嫌そうにゆがむのが見えた。

「特訓の成果ここにあり! ってな」

 最近ずっと練習してきただけあって、命中率が上がってる!

「かような小手先の技で、よもや勝利が得られるとでもお思いか!」

 ヨウコモンが体を丸める。尻尾の炎が燃え広がり、全身が赤い炎に包まれた。

「《邪炎龍(じゃえんりゅう)》!」

「くっ!」

 瞬きする間にふところに入られる。バック転で辛うじてかわした。いくら炎の闘士でも、あの汚れた炎に焼かれたらただで済むとは思えない。

 ヨウコモンがまた俺の周りを駆けまわる。


 あんな速度で移動されたら、《バーニングサラマンダー》や《サラマンダーブレイク》は当てられない。だけど、《ファイアダーツ》じゃあいつの体力を削れないらしい。

 俺もいつまで《邪炎龍(じゃえんりゅう)》をかわしきれるか分からない。早く決着をつけないと。


 ……でも、どうやって?




☆★☆★☆★




いわゆる「青いキュウビモン」。キュウビモンとどちらにしようか迷いましたが、敵っぽいヨウコモンを選択。



ところでさっきから、外で雷と雨が大暴れしています……。

純平、どうにか――


純平「うわ~! 雷は勘弁してー!」(がたがた)


――できそうにないですね。

ノートパソコンのコンセント、抜いておきますか。




※8月19日追記 諸事情により友樹視点を泉視点に変えました。理由は――次回で分かると思います。 



◇今回初登場のデジモン

ヨウコモン