星流の二番目のたな

デジモンフロンティアおよび
デジモンアドベンチャー02の
二次創作(小説)中心に稼働します。

注)『デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~』は
管理人が勝手に想像するフロンティアのその後の物語です。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。


テーマ:

 伊織達が、デジタルワールドでレディーデビモンと戦っていた頃。
 大輔は厳しい表情で渋谷の上空を見上げていた。
 黒雲の下で、同じように暗い色の怪鳥が飛んでいる。アグニモンとバードラモンが炎を浴びせるたびに、その姿が不気味に浮かび上がる。
 怪鳥のかぎ爪がバードラモンの翼をつかんだ。もがくバードラモンの首に、怪鳥のくちばしが迫る。
「《マッハインパルス》!」
「《ブレッザ・ペタロ》!」
 ホルスモンとフェアリモンの旋風が、怪鳥の顔にぶち当たり、ひるませた。その隙にバードラモンが逃れ、距離を取る。
 一対六の圧倒的有利。にも関わらず、味方は決め手を欠いていた。
 京がパソコンの画面と怪鳥を見比べ、顔を曇らせる。
「やっぱり、こっちの図鑑には載ってない」
「でも、きっと完全体くらいの力はあるはずよ」
 空が戦況を見ながら推測する。完全体1、成熟期1、アーマー体1、十闘士3を相手取っているのだから、敵は完全体クラスと思ってかかるべきだ。
「そうなると、やっぱりエアロブイドラモンじゃないと」
 言いながら、京が大輔を見た。その視線に、大輔は歯を食いしばる。京が言いたいことは分かる。だけど。
 エアロブイドラモンがヴォルフモンを背に乗せて飛ぶ。
「《Vウィングブレード》!」
「《ツヴァイ・ズィーガー》!」
 完全体の攻撃を受けて、怪鳥の胴体に傷が走る。怪鳥が苦し気な声をあげた。
 大輔ははっとして、屋上から身を乗り出す。
「エアロブイドラモン! そいつを倒すな! こないだの暗黒の砂漠の時みたいに、スピリットを取り除けるくらいに抑えるんだ!」
 パートナーの言葉に、エアロブイドラモンがうなずく。エアロブイドラモンが全力を出せば、敵の命を奪いかねない。命を奪わず、デジコードが浮かび上がる程度にダメージを調整する必要があった。
 屋上の手すりを握り、大輔がつぶやく。
「あいつは、デーモン達に利用されてるだけなんだ。どうにか助けてやらないと」
 
「それならムダな努力だぜ?」
 
 不意に背後から耳障りな声が聞こえた。
 大輔、京、空はすぐさま振り返る。
 給水塔の上に、スカルサタモンが座っていた。相変わらず意地の悪い笑みを浮かべている。
 大輔はその顔をきっと睨みつける。
「ムダなんかじゃない! お前に決められてたまるか!」
「それがもう決まってるんだよ。あいつの精神は壊れちまったんだ。元には、戻 ら な い」
 最後の言葉を、わざとゆっくりと聞かせてくる。
「スカルサタモン! そこで何してる!」

「空!」
「京さん!」
 そこに、ヴォルフモン、バードラモン、ホルスモンが駆けつけた。大輔達をかばえる位置に立つ。
 大輔はこぶしを握り締め、スカルサタモンに聞く。
「戻らないって、どういう意味だ」
「あいつを手駒にするために、デーモン様はあいつの精神データに手を加えた。怒りの感情が増幅するようにな」
 大輔は心当たりがあった。確かに、ダスクモンは怒りを見せることがあった。
 そして、それは会うたびに激しくなっていった。
「あいつは段々自分の怒りに飲み込まれて、デーモン様の命令より自分の感情を優先するようになった。ならいっそ理性もないバケモノの方が使い勝手がいいから、俺が力を注いで暴走させたってわけだ。おかげでこうしてお前達の足止め程度には役に立っている」
 大輔達の嫌悪の表情を見て、スカルサタモンはゲラゲラと笑った。
「あんた、人の気持ちを何だと思ってるのよ! 勝手にいじって、暴走させて!」
 京の叫びに、スカルサタモンが笑みを引っ込める。
「勝手にも何も、怒りは元からあいつが抱えてた感情だ。デーモン様はそれをちょっと突いただけ。まあ、それで精神が崩壊するんだから人間ってのはもろい生き物だ!」
 そう言ってまた腹を抱えて笑う。

 大輔はスカルサタモンをにらんで一歩踏み出した。

 

 だが、先に言葉を叩きつけたのは京だった。

「あなたに他人の心を笑う資格なんてない!」

 腹の底から出た言葉が屋上に響く。

「確かに、人間もデジモンも怒ったり、誰かを嫌ったりする。でも、嫌な気持ちも嬉しい気持ちも、全部その人が感じた本当の気持ちなの。それを他人が笑ったり、勝手に組み替えたりする資格なんてない!」
 京の胸元で紋章がマゼンタ色の光を放った。

 それがホルスモンを照らすと、ホルスモンの体が同じ色に包まれる。

 ホークモンの形に戻ったのもつかの間、その姿は新しい形に生まれ変わる。

 

「ホークモン、進化ー!」
「アクィラモン!」
 
 大きな翼を持つ鳥型のデジモンから、更に二本の足が生えていく。
 
「アクィラモン、超・進化ー!」
「ヒポグリフォモン!」 

 

 真っ白な幻獣に姿を変えたパートナーを見て、京がぐっと両手でガッツポーズを取った。

「ビンゴ! かっこいいわよ、ヒポグリフォモン! 私達のパワフルな気持ち見せてやって!」

「了解です、京さん!」

 ヒポグリフォモンは力強く答えて、スカルサタモンに飛びかかる。

 ヴォルフモンは怪鳥の方の戦いが気になるのか、斬りかかるのをためらっている。それを察して、空がそっと声をかける。

「こっちは私とバードラモンがフォローする。だからあなた達はダスクモンを止めて」

「……分かった」

「俺もエアロブイドラモンのところに連れていってくれ。一緒に戦いたい」

 ヴォルフモンは頷いて、大輔を背中につかまらせた。

 ビルを飛び移って、エアロブイドラモンが戦っている場に向かう。

 その途中で、ヴォルフモンが独り言のようにつぶやく。

「スカルサタモンの言っていたことが本当だとしたら……ダスクモンが人間で、もう心が壊れてしまっているとしたら……俺は、あいつにとどめを差してやるべきなのか……?」

「そんなこと、あってたまるか」

 ヴォルフモンの肩に乗せた手に力を込める。そうだ、諦めたら絶対に助けられない。

 エアロブイドラモンの攻撃が怪鳥を傷つけ、悲鳴のような声が上がる。

 大輔の心を刺すような、痛々しい響きだった。
 


 
◇◆◇◆◇◆
 
 
 
京の紋章は当初「快活」にしようかと思っていたのですが、書き進めるうちに戦場で発揮させるにはそぐわない性質かなと路線変更しました。

怪鳥戦と同時並行になったため完全体進化シーンにあまり紙幅を割けなかったのが反省点。

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 ユピテルモンが俺達に与えた猶予は過ぎた。

 今日が最後の戦いになる。俺達がユピテルモンを倒すか、俺がプルートモンと化して世界を滅ぼすか。

 ユピテルモンは恐らく、ここに攻め込んでくる。みんな見通しがきく森のターミナルに集まった。適度に城に近くて、でも戦闘に巻き込まないで済む、そんな距離だ。

 エンジェモン、テイルモンに続いて、トゥルイエモンも集まってくれた。戦場が広がった時に、住民の避難やバリアを担当してくれることになっている。

「みんなは周りを気にせず思い切り戦ってくれ」

 トゥルイエモンの言葉を、俺達はありがたく受け取った。

「純平、体はもう大丈夫なの?」

 泉が聞くと、純平はにっと笑った。

「もちろん。アンブロシアでだいぶ回復したし、今戦わなくてどうするんだよ」

 エンジェモンがその後ろから声をかける。

「普段なら無理はしないでください、と言うところですが、今日は全員の力が必要です。よろしくお願いします」

 俺はというと、さっきから何度も城に続く道を振り返っている。まだテイルモンとノゾムが来ない。スピリットを動かす作業はまだ終わらないのか。ノゾムがいないと、俺は戦えない。

 頼む。間に合ってくれ。

 思いも虚しく、急に空に黒雲が湧き出し、辺りは夕方のように暗くなった。黒雲のあちこちで雷が走り、ゴロゴロと低い音が聞こえる。

 その雲を突き抜けて、ゆっくりと降りてくる金色の鎧。

「――ユピテルモン」

 兄貴達がデジヴァイスを手に身構える。俺は歯がゆい思いでポケットの中のデジヴァイスを握った。デジヴァイスは冷たいままだ。

 森の木々に足が触れるほどの高さで、ユピテルモンは降下を止めた。空を飛んだまま、俺達を見下ろす。

「丸二日が経過した。答えを聞こう」

 赤いY字の目は、まっすぐに俺を見据えている。

 ノゾムはまだ来ない。それでも、俺は足に力を入れて、ユピテルモンを真正面から見た。

「俺の答えは変わらない。プルートモンにならずにお前を倒す」

「残念だ」

 ユピテルモンの答えはたった一言だった。

 

 ユピテルモンが両手のハンマーを振る。雷雲から雷が降り注いだ。

「はあっ!」

「むっ!」

 エンジェモンとトゥルイエモンが素早く両手を掲げ、バリアで俺達を守った。

 兄貴が俺を見る。

「信也、雷がやんだら城に向かって走れ。ノゾムを連れて戻ってくるんだ」

 兄貴達は大丈夫なのか。口に出しかけた言葉を飲み込む。今の俺には、他にできることがない。

 兄貴達6人が輪になり向かい合う。

「輝一、できそうか」

 輝二が聞くと、輝一が少し考えてから頷いた。

「うん。初めてのはずだけど、この感じ知っているような気がする」

 6人がそれぞれのデジヴァイスを突き出した。

 

「エンシェントスピリット・エボリューション!」

 

 デジヴァイスからまばゆい光があふれだした。目がつぶれそうなくらい強い光。目を固くつぶっても、まぶたの向こうに光が見えた。

 光が収まって、ゆっくりと目を開ける。

 そこには、1体の大柄なデジモンがいた。大きさはユピテルモンより一回り大きい。赤と青の鎧を身に着け、背中に金色の日輪を背負っている。

 

「スサノオモン!」

 

 これが、十闘士の力を結集させた究極の姿。

 スサノオモンが俺をちらりと見降ろした。俺は一度頷いて、城に向かって走りだした。

 エンジェモンの城まで、木の階段をひたすら上っていく。階段を踏む規則的な音に、爆発音や木の倒れる音が混ざりだした。歯を食いしばって速度を上げる。

「信也!」

 ノゾムの声がして、はっと足を止めた。右の方を見ると、ノゾムを乗せたユニモンが急ブレーキをかけたところだった。

 ユニモンが階段に寄せてきて、ノゾムが俺の横に降り立つ。

 ノゾムは申し訳なさそうな顔をしていた。

「ごめん、遅くなって」

「心配するなって。まだ十分間に合う」

 スピリットをうまく動かせたのか、聞く必要はなかった。シャツの上からでも、胸の中心が少し盛り上がっているのが分かった。俺の視線に気づいたノゾムがシャツの首元をひっぱって見せてくれる。盛り上がっている部分は黒ずんでいて、更に赤い光を帯びている。体の表面ぎりぎりまでスピリットを動かしてくれた証拠だ。

 俺のデジヴァイスもポケットの中で熱を放っている。つかんでみると、やけどしそうなくらい熱い。でも不思議と、強く握っても手は焦げない。

 この火力があれば、スーリヤモンはもっと強くなれる。

「行くぞ、ノゾム」

 左手にデジコードを呼び出すと、幾重にも荒れ狂うデジコードが生まれる。勢いが増して、手を覆いつくしている。

 それを押さえつけるようにデジヴァイスを押し当てる。

 

「ホロウスピリット・エボリューション!」
「スーリヤモン!」

 

 背中に慣れない感覚がある。背中を見ると、4枚だった翼が8枚に増えている。手にしている剣も白い刀身に赤い光を帯びている。

「2人とも、お気をつけて」

「ああ」

 ユニモンの言葉を聞きながら、ノゾムを左肩に乗せる。

 階段を力強く蹴って、戦場へとまっすぐに飛んだ。

 

 ほんの数分離れていただけなのに、森のターミナルはすっかり破壊されていた。

 線路は引きちぎれ、森の木々は折れ、燃え上がっている。

 その上空で、2柱の神がぶつかり合っている。武器が交わるたびに、雷や光がほとばしる。

 ユピテルモンを見据えながら、剣を握る手に力を込める。刀身が白い炎で燃え上がる。

「《ガーンディーヴァ》!」

 剣を振り抜くと、巨大な炎が飛んだ。ユピテルモンもスサノオモンも軽く呑み込んでしまいそうな白光する炎。

「っ、スサノオモン!」

 名前を呼んだ分、スサノオモンの反応の方が早かった。

「くっ!」

 スサノオモンがユピテルモンのハンマーを打ち返して、炎の軌道外に逃れる。

 ユピテルモンもすぐに気づいて飛び去ろうとしたが、ハンマーが1つ炎に巻き込まれた。

 ハンマーは一瞬で蒸発し、跡形もなく消えた。

 ユピテルモンがハンマーを持っていた手をつかみ、籠手を外して捨てた。落下していく籠手は、熱に焼かれて溶けかけていた。

 あらわになったのは、人間のような肌色の手だった。それを見つめた後、ユピテルモンが俺を見た。

「なるほど、一度撤退したのはこの力の準備のためか。ノゾムが生きていられるギリギリまでスピリットの力を引き出している、といったところか」

 その言葉には、微かに驚きが含まれていた。淡々としていたユピテルモンが初めて見せた動揺。

 正直、俺自身も技の威力に戸惑っている。でも敵の手前では顔に出さない。

 敵が動揺している今を突く。

「ユピテルモン、この戦いは審議だと言っていたな。スサノオモンと俺達の力と、お前の力、どちらが正義となるか見極めてもらおうか!」

 俺の言葉に、ユピテルモンが姿勢を整え、俺達と向かい合う。

「良かろう。どちらかが勝つまで終わらぬ、最終審議といこう」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

最終決戦突入です。

メインはもちろんパワーアップしたスーリヤモンなのですが、「輝一がなぜかスサノオモンに進化した時のことを知ってる」というのだけはやりたかったのでねじ込みました←

だって、アニメの最終話の時、一瞬輝一の手が見えるじゃないですか……心は一緒に戦ってたんだって信じてる。

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今年もよろしくお願いします。

毎年干支の動物ネタでお正月特別編を投稿しているのですが、今回はどうにも面白いネタが思いつかず、日が過ぎていってしまうのでひとまずあいさつだけでも投稿しておきます。戌ってさ、人間生活に馴染みすぎてて逆に難しいよ……。

 

今年はフロ02とユナイトのうち、少なくとも片方は完結、もしかしたら両方完結できるかと思います。フロ02は6年、ユナイトは5年書き続けていることになります。みなさんが最終話を読んだ後、この作品に出会えてよかったと思っていただけるように頑張ります。

 

「デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~」「デジモンユナイト」を今後ともよろしくお願いいたします!

 

 

 

P.S.昨年のデジフェスでアカウントだけ作って放置していたTwitterを、新年を機に稼働させることにしました。ブログ記事にするほどじゃないけど発信したいことを投稿したり、小説を投稿したらそのお知らせを載せたりできたら便利かな、と思いまして。

まだ操作に不慣れなので遅々としたり間違ったりすることがあると思いますが、温かく見守っていただけると嬉しいです。

星流のtwitterページ

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