LGBTの政策を巡り、総理秘書官のオフレコ発言報道と更迭を端緒として、激しい対立が表面化し、2年前に凍結された「LGBT理解増進法案」が、再び俎上に上っている。
その修正案について、問題点として慎重派グループから指摘されている「性自認」という言葉について、『祖國と靑年』4月号掲載の記事「LGBT法案の影で起きていること」の一部を紹介します。
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この自民・立民合意で、自民党案の法律名や目的の案文にあった「性同一性」が「性自認」に変更され、目的を定めた条文に「性的指向及び性自認を理由とする差別を許されない」という一節が加わったのである。
(中略)
自民党内で紛糾した論点は二つだ。
一つは「性同一性」を「性自認」へと変更した点だ。「性同一性」とは、平成15年に制定された「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」に定義されている。法律では「生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者」と規定した。
そして「必要な知識及び経験を有する二人以上の医師」の「診断が一致」していることを要件に、家庭裁判所が、(1)十八歳以上であること、(2)現在婚姻をしていないこと、(3)未成年の子がいないこと、(4)生殖腺がない・生殖腺の機能を欠くこと、(5)他の性別の性器に近似する外観のこと、これらいずれを満たすのかを審理して、法律上の性別変更を許可するのだ。
ところが2019年にWHOや国際的な医学会が「性同一性」を従来の「精神障害」の分類から除外し「性の健康に関連する状態」の分類中「性別不合」と書き込むようになったため、「性同一性」という表現の見直しの動きが起こっている。
そのうえで「性自認」という言葉が法律用語に使用されると、自分自身の「認識(自認)」如何によって、他者の証明を必要とすることなく「性別」が定まりかねない疑問が生じてきたのである。
また「性自認」には「流動性」や「段階(階層)」があるという主張も存在する。このため、「性別」がいつでも変更できるのではないかという懸念も生じてきた。
(中略)
こうなると、割り当てられた性別は、自らの意思で変更でき、しかも原理的には何度でも変更が可能となる。「性同一性」の文言を「性自認」と変えることにより、そのような事態が起こることにどう対応するか、対応できるのかというのが大きな論点だ。
もう一つが「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下」との一文が加えられた点だ・・・・・・
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巷では、「多様性について、先進国の中で日本は遅れている」という旨のことも言われますが、LGBTに関する政策を推進したことによって生じた各国の弊害の例はどれほど検証されているでしょうか。
そういった事例を、考える材料として国民に提供し、まずは冷静に議論できる環境を整えることが大事だと指摘しています。
続きは、『祖國と靑年』4月号をご覧ください。