ウクライナ・台湾の危機と日本の決断 | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

祖国と靑年4月号には、第5代統合幕僚長・河野克俊先生の講演録が掲載されています。

 

 

依然として、ウクライナとロシアによる戦争が続いておりますが、冒頭に河野先生が述べられた「なぜロシア軍は劣勢なのか」というご指摘は、非常に興味深いものでしたので、その一部を紹介致します。

 

 

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プーチンの狙いは、端的に言えば、最終的にウクライナを属国化することですので、従ってここは長期戦になると思います。

 

ところが、このウクライナ戦線を統括する総司令官が誰なのか、二カ月近く出て来ませんでした。北部、東部、南部の戦線の各指揮官はいたのでしょうが、それを統括する指揮官がずっといませんでした。案の定、任命していなかったのですが、二カ月近くたって任命し、今年一月からはゲラシモフ参謀長官が総司令官に任命されました。

 

(中略)

 

しかし私たち軍人――あえて「軍人」と言いますが――の感覚からすると、これは「ハチャメチャ」なのです。恐らくゲラシモフ参謀総長は「お前が指揮官をやれ」と言われて、「本当にやるんですか?」ちプーチンに言ったと思います。

 

なぜかと言うと、参謀総長は軍の制服組のトップで、プーチン大統領、ショイグ国防大臣を軍事的に補佐するのが仕事です。日本で言えば、統合幕僚長と同じです。統合幕僚長も自衛隊の制服組のトップで、総理大臣、防衛大臣を軍事的に補佐するのが仕事です。しかし――ここから少しややこしいのですが――参謀総長、統合幕僚長に指揮権はありません。

 

プーチン大統領、ショイグ国防大臣の下にウクライナ派遣軍の総司令官がいて、この人は軍隊を動かす指揮権を持っています。参謀総長はプーチン大統領、ショイグ国防大臣を軍事的に補佐するスタッフで、ちゃんと役割分担があるのです。その参謀総長に指揮官を兼務しろなどと言うことは、軍事的には「ハチャメチャ」なのです。

 

(中略)

 

そうなると、実質的に統合幕僚長が大臣を補佐することと、部隊を動かすことの両方をやらざるを得なくなります。日本の場合、そういう状況がずっと続いていたのですが、今回(※安保三文書改定)、統合幕僚長とは別に、総理大臣、防衛大臣の下に統合司令官を常設することになり、統合幕僚長は大臣の補佐に専念できることになりました。これが正規のかたちなのです。

 

ゲラシモフ参謀総長の総司令官兼務が「ハチャメチャ」と言った意味がお分かりいただけたかと思います。

 

それから、軍隊を動かすには・・・・・・

(『祖國と靑年』4月号)

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続きは、『祖國と靑年』4月号をご覧ください。

 

河野克俊先生によるご講演では、

・核を巡る状況は大きく変わった

・米中対立の主な正面は「海洋」

・中国にとって「香港」と「台湾」は同列

・「専守防衛」の在り方に踏み込むべき

・違憲論も合憲論も破綻している

 

などが語られ、自衛官人生に基づくそのご指摘は非常に説得力があり、示唆に富んでいます。