一昨日、日米が普天間基地の返還に合意して21年にして、ようやく辺野古の埋め立て工事が始まりました。工事は5年間で完成予定だそうです。
これを受けて翁長知事は、「重大な決意で対処する」と語り、県が許可していないとする「岩礁破砕行為」を確認後、直ちに工事差し止め訴訟を起こす、としました。
「重大な決意」が「差し止め訴訟」というのは、どうなのでしょうか。メディアで報じられているように、工事が具体的に進んでいけば、仮に工事を止めたとしても原状回復は不可能になります。だから、沖縄の二紙をはじめ、いわゆる「オール沖縄」陣営の辺野古移設反対派は最後の切り札として「承認撤回」をずーっと翁長知事に求めていたんです。
仮に工事を阻止したいのであれば、承認「取り消し」訴訟で負けた昨年末の段階で、すぐさま承認「撤回」のカードを切らなければなりませんでした。(あくまで、「撤回」カードが有効だという前提での話ですが。)
ところが、翁長知事は年が明けても「撤回」を口にすることはなく、アメリカに行ってアピールするなどといった従来のパフォーマンスに憂き身を費やしていました。しかし、今度ばかりは左翼活動家をごまかすことはできず、とうとう3月に「承認撤回をやる」と約束させられてしまいました。
それが、この期に及んでもまだ撤回カードを出しません。聞くところによると、「工事差し止め訴訟」を起こすにしても、かなり煩雑な手続きがいるそうで、準備に数か月かかると言われています。その間、工事は着々と進みます。
そもそも本気で「撤回」のカードを切るなら、「撤回をやります」なんて宣言する前に、電撃的にカードを切らなきゃ。なぜ、政府に対策を十分に練る時間をわざわざ与えるのでしょうか。一部反対派の間で囁かれている「実は翁長は政府とつながっているのではないか?」という疑惑も、根拠のないことではありません。
ひょっとして、翁長知事はあえて憎まれ役を演じて、左翼活動家をうまく抑えつつ、普天間基地返還を実現させようとしているのでは――なんてことはありませんね。
「祖国と青年」2月号で上野竜太朗さんが書かれていたように、8万の県民署名の後押しによって仲井眞前知事が「埋め立て承認」を出した――全ての決着はここでついていた、ということなのでしょう。