朝日・グレンデール訴訟、東京地裁判決 | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 「祖国と青年」でも度々報じてきた、朝日・グレンデール訴訟の判決が、昨日、東京地裁で言い渡されました。

 

 結果からいうと「棄却」、つまり朝日新聞の責任を問う原告の主張は認められなかったということです。

 

 判決後の報告集会で弁護士の方々が述べていらっしゃいましたが、「棄却」といっても門前払いという感じではなく、かなりの部分原告の主張を認めるものであったとのことです。ただ、そういった在米日系人の被害の数々に朝日新聞の誤報の影響があったとしても、その被害を朝日新聞の責任に帰すことができるのかと言えば、それはできない――という感じだったそうで、もう一度戦略を練り直して控訴する、とのことでした。

 

 この朝日・グレンデール訴訟で問われた朝日新聞の罪とは何だったのか、「祖国と青年」2月号掲載の「最終準備書面」の抜粋を、改めてご紹介します。

 

 

 朝日新聞誤報の罪

 

 挺身隊の名による強制連行、すなわち、国家の意思による組織的な強制連行による二十万人の性奴隷という内包的定義における慰安婦問題が、事実に基づかない虚構であったことは、今や多言を要さない。軍や官憲による強制連行があったとする唯一の証拠とされてきたのは、済州島を含む朝鮮半島において、集落に押し入り、多くの未婚・既婚の女性を、奴隷狩りのように徴発し、女子挺身隊の名で慰安所に強制連行したという吉田清治の証言であった。それは一九八〇年代から朝日新聞が報道し、真実のお墨付きを与え、良心の証言として箔付けしてきたものであった。長年にわたる官民での論争の末、二〇一四年八月、朝日新聞は遂に吉田清治証言が虚偽であることを認め、併せて、別物である挺身隊と慰安婦を混同してきたことを認めたのである。


     ○


 朝日新聞の英字新聞「朝日イブニングニュース」が、吉田清治証言をはじめて取り上げたのは一九八三年十二月二十四日の紙面であった。


 朝日新聞は二〇一四年八月に吉田証言が虚偽であることを認め、これを事実として記載した記事十八を取り消したが、英字新聞「朝日イブニングニュース」に掲載された吉田証言の記事は今も取り消されていない。

 

 クマラスワミ性奴隷報告

 

 国連人権委員会の「女性に対する暴力、その原因と結果に対する特別報告者」に選任されたラディカ・クマラスワミは、一九九六年一月に委員会提出されたいわゆるクマラスワミ性奴隷報告において、第二次世界大戦中の日本の慰安婦制度が国際法に違反する「軍性奴隷制」であると断定し、日本政府に対し、法的責任を受入れ、被害者に賠償を行い、責任者を処罰するよう勧告した。


     ○


 クマラスワミ性奴隷報告が、慰安婦に関する不当な誤解を国際的に広めるのに大きな役割を果たしたことに疑いを差し挟むものはいまい。欧米メディアは、同報告以降、慰安婦を性奴隷と定着させて報道し、その認識は加速度をつけて強まった。また、韓国においては、同報告を日本批判の有力な根拠として取り上げており、日韓合意後もその姿勢に変わりはない。


     ○


 クマラスワミ性奴隷報告が、軍による組織的な慰安婦「強制連行」の「歴史的背景」の典拠として採用しているのは、①吉田清治の著書『私の戦争犯罪』と②ジョージ・ヒックスの著書『性の奴隷 従軍慰安婦』の二つである。「歴史的背景」の本文中には十一箇所の引用があり、ヒックス本が十箇所、吉田本が一箇所で引用されている。但し、吉田本の引用はページ数が示されておらず、ヒックス本の孫引きであることがうかがえる。クマラスワミは日本語も韓国語もできないため、当時、唯一の英語文献であったヒックス本に全面的に依拠して「歴史的背景」を記述したのである。


 そのヒックス本が吉田証言に大きく依拠していることは、著者自身が英文の原書において次のように認めている。「…吉田の回顧録は非常に重要である。慰安婦自身から得られる証拠を別とすれば、それは未だに、動員過程に関する唯一の独立した、準公式の報告であり続けている」

 

 米下院決議百二十一号

 

 本下院決議の決議案は、二〇〇七年一月三十一日、マイク・ホンダら六名の共同提案者によって米下院外交委員会に提出された。廃案になった前年に続けて提案されたものだった。マイク・ホンダ議員は、在米中華系反日組織である世界抗日史実維護連合会の支援を受けており、中国系ロビイストによる 〝日本叩き〟 の言わば尖兵で、何度も本決議を上げようと提案してきた。(決議案は同年七月三十日に可決――引用者注)


     ○


 その不正確な事実認識に基づく不当な本下院決議が、全米各地の慰安婦の碑文に「拉致」(ニュージャージー州)や「家々から引き離された」(グレンデール市)という文言が刻まれる根拠となった。


     ○


 本下院決議と朝日新聞の誤報との関係を論じるうえで最も重要なことは、ラリー・ニクシュの二〇〇七年版の調査報告書(「米議会調査報告書」のこと――引用者注)においても、吉見義明教授が発掘した軍の命令書を朝日新聞が報じたという事実が証拠リストの筆頭に挙げられていることである。これは前述した一九九二年一月十一日の強制連行プロパガンダの記事であり、二〇〇六年版の調査報告書ではthe greatest impactを与えた事実として特筆されていた。


 既に述べたように、九二年一月十一日の記事は、防衛庁図書館に収蔵されていた軍命令書の発掘という事実を報じたものであったが、朝日新聞によって誤ったイメージ操作がなされ、英字新聞「朝日イブニングニュース」では、日本軍が強制連行の「犯罪」に深く関与していたことの動かぬ証拠として報道されていたものである。


 実際には、発掘された命令書は悪質な業者を取り締まるよう指示する内容であり、むしろ、拉致・人身売買・詐欺といった不法行為を抑止する意図で発せられたものであり、それはとりもなおさず、軍による組織的な強制連行を否定する根拠と解されるべきものであったが、朝日新聞の報道には、そのようなことを指摘するものは皆無であった。