遅くなりましたが、10月8~10日に行われた歴史体験セミナーの報告をいたします。
吉田松陰誕生地から萩の街並みを望む
吉田松陰の墓前にて
松下村塾
去る十月八~十日、山口県萩で第三十回「日本の誇り」歴史体験セミナー(主催/日本協議会・日本青年協議会・日本文化研究所)が開催されました。
本セミナーは、三大維新(飛鳥維新、建武中興、明治維新)ゆかりの地で毎年開催されるもので、今年は 「維新の先駆者・吉田松陰―国を動かした松下村塾の学問」をテーマに、吉田松陰と松下村塾について学びました。
吉田松陰による「松下村塾」が開かれたのは、安政四年十一月から同五年十二月までのわずか一年ほど。はじめ、杉家の幽室での謹慎生活を送っていた松陰は、父と兄、叔父の久保五郎左衛門たちを聴き手に、野山獄で中途に終わっていた『孟子』講義を再開しました。この講義の噂はたちまち町に広まり、近所の若者たちが集まるようになりました。
塾生の中には、高杉晋作のように夜な夜な家を抜け出してやって来る者もあり、寄宿生もいた。寝食を共にしながら、一つ屋根の下で志を磨いていったのです。
「松下は陋村なりと雖も、誓って神国の幹とならん」―これが松下村塾を主宰する松陰の気概でした。そしてその言葉通り、松陰が松下村塾で繰り広げた本気の付き合いは、門下生たちの心に火を灯し、松下村塾の学問が明治維新を成し遂げていく大きな原動力となっていきました。
本セミナーでは、皇學館大学教授・松浦光修氏に特別研修を行っていただいた他、野外研修では、女台場、高杉晋作生誕地、野山獄跡、吉田松陰生誕地・墓地、松陰神社を訪れ、松陰の志を偲びつつ、遺した文章や和歌を朗誦しました。