共産党の藤野政策委員長が、26日のNHKの番組で防衛費を「人を殺す予算」と発言したことが物議を醸しています。
まずは、事実関係を押さえておきましょう。以下は、産経新聞から。
藤野氏は番組で、防衛費が初めて5兆円を超えた平成28年度予算を念頭に「人を殺すための予算でなく、人を支えて育てる予算を優先させていくべきだ」と述べた。
これに対し、自民党の稲田朋美政調会長は「言い過ぎだ。(防衛費は)日本を守るためだ」と反論し、公明党の石田祝稔政調会長らが発言を撤回するよう勧めたが、藤野氏が番組中に応じることはなかった。
藤野氏はその後、「発言は、安保法制=戦争法と一体に海外派兵用の武器・装備が拡大していることを念頭においたものでしたが、テレビでの発言そのものはそうした限定をつけずに述べており、不適切であり、取り消します」と釈明したそうですが、明らかに確信犯ですね。
この藤野氏の発言は、「自衛隊は違憲であり、自衛隊をなくしたい」という共産党の根本認識から出ています。
共産党の志位委員長は、TBSの番組で「憲法9条と自衛隊が両立するかどうか。私は憲法違反だと思う。ただ、国民の合意がなかったらなくせない」とはっきり言っています。
「憲法9条と自衛隊が両立するかどうか」という認識は、ある意味で正しいと思います。
だから、私たちは9条を改正して自衛隊を明記すべきだと主張しているわけです。
一方の共産党は、だから9条を守って自衛隊をなくすべきだと主張している。
そのどちらを選ぶか。これは極めて分かりやすい憲法論議の論点ですよ。平和がどうとか立憲主義がどうとかフワフワしたことを言っているから煙に巻かれるわけです。言っていることはメチャクチャですが、9条を守るのであれば自衛隊は否定されるべき、というのは論理の筋としては通っています。
ただ、彼らの論理は「自衛隊は人を殺す組織」という歪んだ情念によって支えられているということは、私たちはしっかりと肝に銘じておくべきでしょう。