国民投票に頼るイギリスの危うさ | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 イギリスの国民投票でEU離脱が決まったことで、世界中に大きな波紋を呼んでいます。


 私は、国民投票の「結果」が与える影響よりも、なぜ国民投票をやらなければならなかったのかという「理由」の方が気になりました。


 だってキャメロン首相はEU残留を説得していた。そして、キャメロン首相の保守党が安定政権を維持していたわけでしょう。キャメロン首相が「国民投票」をやるメリットなんてどこにもないし、離脱派の要求を呑む必要もどこにもない。EU離脱を実現させたいならば、独立党が政権を獲ればいいだけの話です。


 ところが、キャメロン首相は3年前の前回の選挙で、独立党が支持を伸ばし、保守党内の離脱派からも突き上げられたことを受けて、「国民投票の実施」を公約に掲げてしまうのです。


 実はイギリスには、もともと大きな政治課題を国民投票や住民投票に委ねるという考えがあって、過去に11回の国民投票・住民投票が行われています。


 一昨年のスコットランド独立の是非を問う住民投票は記憶に新しいですね。その時も「危ないことをやるなー」と思ったことを覚えています。


 イギリス人の中には、「国民投票」そのものに懐疑的な人もいます。ロックバンド「オアシス」のリーダーだったノエル・ギャラガーは、今回の国民投票の前日、「国民はバカだから、EU離脱か残留かを問いかけても意味がない。高い給料をもらっている政治家こそ国の行方を真剣に考え、決定すべきだ。国民に委ねるべきではない」とインタビューに答えています。


 ある意味、正論だと思います。


 「国民投票」を約束して選挙に勝ち、「国民投票」を実施して辞任を余儀なくされたキャメロン首相って、何なのでしょうか。反面教師として考えさせられることが、いろいろありそうです。