明治天皇100年祭に向けて① | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 7月30日の明治天皇100年祭も間近となりました。

 明治天皇をお偲びする文章を、何回かにわたってご紹介したいと思います。


 もちろん、「祖国と青年」7月号からですよ!


 1回目の今日は、メルマガ「国際派日本人養成講座」を主宰されている伊勢雅臣さんのご文章から。


 伊勢さんは、明治天皇崩御の報せを聞いた各国が、どのように明治天皇のご治世を称讃したかについて書いて下さっていますので、以下にご紹介します。


  一.「近代史上最も記念すべき治世」


 一九一二年(明治四十五)七月三十日、明治天皇崩御の報が伝わるや、英国の首相アスクィスは、即座に下院において以下の動議を提出した。


 本院は我が皇帝陛下の盟友たる日本天皇陛下崩御の報に接して深厚なる追悼の意を表彰し、あわせて本院が日本皇室、政府、および人民に対して有する深厚なる同情を我が皇帝より日本新帝陛下に伝えられん事を請う。


 この動議提出にあたり、アスクィスは次のような演説を行った。


 先帝陛下(明治天皇)はご在位五十年を出でさせられずしてその国民的生活の後方に厳重に遮断せられたる半神的地位より離脱して立憲的君主となり給い、よく祖宗伝来の帝威を失い給うことなく、継承し給ひたる領土の政治、社会、産業、智識、道徳等、各方面における活動の源泉、中心力、および開拓者として、完全にしてかつ活力ある変革の指導者とならせられたり。……


 余は歴史上、日本天皇陛下の如く一治世の短期間に、その国民ならびに世界人類のため、かく宏大にしてかつその必要かくべからざる進歩発展を成就し給いたる君主の名を挙ぐる事能わず。……


 首相の演説は何度もの喝采を浴び、続いて野党も賛成演説を行って、全会一致で動議は採択された。上院でも同様な動議が採択され、翌日のロンドン・タイムズは、次のように報じた。


 昨日上下両院における議事の経過は我が議会と人民とが特に日本および日本の皇室を推重する精神の顕著なる例証なりとす。ジョージ皇帝の盟友たる日本先帝陛下の崩御について追悼の辞を我が皇帝陛下に奉呈せんとするの動議は、……満場一致を以て可決せられたり。これ実に全英国民および海外におけるあらゆるジョージ皇帝の臣民の哀情を最も忠実に反照するものなればなり。


 吾人英国人は一斉に今やその終焉を告げたる治世、即ち、首相の正しく言える「近代史上最も記念すべき治世」の偉大なりしを意識するものなり。


  二.各国が回顧した明治天皇の「治世」


 以上の記録は『世界に於ける明治天皇』(望月小太郎著、原書房、昭和四十八年/初版本は大正二年刊)という崩御の際の世界各国の報道を記録した上下二巻一千五百ページ、厚さは十センチに及ぶ浩瀚な書物に収められている。それによれば英国以外の国でも、明治天皇の「治世」の偉大さを回顧する記事が無数に掲載された(原訳文を一部読みやすく改変)。


・ ニューヨーク・トリビューン紙(アメリカ) 日本先帝陛下はその御治世の至重至要なるがため、疑いもなく歴史上近代世界の大帝王中に伍し給うであろう。


・ ル・フィガロ紙(フランス) 崩御された天皇は現代の大君主である。何となれば陛下のごとき御偉業を完成したまえる御方は世に一人もいらっしゃらないからである。


・ ノーヴォエ・ヴレーミャ紙(ロシア) 陛下の御晩年に当たり、我々が幾多の苦痛をなめたるにも関わらず、その崩御の日に際しては全ロシア国民は謹んで満腔の弔意を表すに躊躇せず。けだし敵味方たるを問わず偉人は依然として偉人であるからである。


 ノーヴォエ・ヴレーミャ紙の「幾多の苦痛」とは日露戦争の敗戦を指す。「敵味方たるを問わず」とは、ロシアの騎士道精神の発露であろう。