ニューヨーク狂人日記 -7ページ目

マスタード・イエローの秋

マスタードというオプションはなかった。
レリッシュも、オニオンも。
もちろんチリだって、チーズだって。
ディフオルトのケチャップのみ。

そんなことを思うと、
選択肢に恵まれる現代は幸福なのだろう。
いや、果たしてそうなのか?



は魚肉ソーセージ。
初めてのホットドッグだ
それからしばらくの間は。
アメリカン・ドッグだって魚肉ソーセージだ。
(ちなみにアメリカではコーンドッグと呼ばれ、
あたりまえだが魚肉ではない)

秋、もしくは冬。
地元、大牟田市にあった松屋デパートの屋上。
屋台のようなホットドッグ売り場で、
少し高いところからオッチャンに渡された。

ツルリとした肌を持つ魚肉ソーセージ。
真っ赤なケチャップが細い線を引く魚肉ソーセージが、
小ぶりなコッペパンの端から少し垂れ下がり。
唇を近づけると、うっすらと温かい。



初めてのマスタードがいつだったのか覚えていない。
身の周りにあったのは、
マスタードではなく辛子。
おでんにつけるアレだ。

アメリカへやって来た頃、マスタードといえ
ば毒々しい色のイエロー・マスタードがほとんどだった。
少しずつだがディジョンだとかブラウン・マスタードが増え、
今ではホットドッグ屋へ行っても黄色とブラウン、
2種のマスタードにお目にかかれる。

わがままなもので。
不思議なもので。
あまり好きではなかったイエロー・マスタードが、
この頃の好み。
毒々しい黄色、そして辛味というよりも酸味。
イエロー・マスタードは実にアメリカらしい。
おしゃれな、スノッブな、草食系のアメリカではなくて。
バタ臭いアメリカそのものだ。

行ったことはないが、
野球場にだって黄色いマスタードのホットドッグが
似合いそうだ。
そしてホットドッグには、



あれは2着目だったと思う。
2着目のトレーナーはマスタード・イエローだった。
スウェット・シャツではなくて。
あくまでもトレーナーという言葉にこだわりたい。
SCENE from VANという国内メーカーのもの。

何のことはない。
その頃流行っていた竹内まりやの歌、
♪辛子色のシャツ追いながら
飛び乗った電車のドア♪
に踊らされただけだ。

仲のいい友人はオレンジを買った。
これも、りりィの歌
♪春がきいてたよ オレンジは好きかい♪
に踊らされただけだ。

かたや秋、かたや春とはいうものの、
実に単純なものだ。



この秋は黄色。

バラバラなものが一点を指していることに気づく。

このところ愛用しているバックパックはマスタード・イエロー。
今使っているノートはマスタード・イエロー。
ポートランドで毎日寄るスーパーのレジ袋もマスタード・イエロー。

『内向型人間がもつ秘めたる影響力』
初翻訳のカバーもマスタード・イエローに決まった。
弁当に持って行くサンドイッチは、
片側にマヨネース、
片側にはイエロー・マスタードを塗る。
バナナも持った。
$ニューヨーク狂人日記

昨日はディスカウント・ストアの棚から棚へ。
やっと足にあうジョギングシューズを見つけた、
なぜかイエローをアクセントとしたもの。
$ニューヨーク狂人日記


マスタード・イエローの秋。



そういえばマスタード・イエローのトレーナー。
あの歌は『セプテンバー』だった。
9月発売の予定であった『内向型人間がもつ秘めたる影響力』
少し延びたとはいえ、10月に無事発売となりました。
$ニューヨーク狂人日記


夏の日射しの弱まる中、
紅葉と黄葉に囲まれた町には
辛子色がよく似合う。

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Boxed Lunch

テレビで〈言葉採集家〉という職業(?)の存在を知る。

町を歩く。
TVや映画を見る。
人の声に耳をそばだてる。
看板、チラシを凝視する……。

言葉を採集して歩く。
辞書という標本箱に収めるために。



今では片田舎のスーパーでも。
冷蔵ケースに並ぶSUSHI。
この単語が辞書入りしたのはいつ頃だろう?

言葉というものもまた生き物で。
生まれ。
歳をとれば〈老人語〉いう名でくくられ。
もはや使われなくなると、
「何それ?死語じゃない?」
と嗤われる。

最近ではBENTOという言葉も。
少しずつだが認知されてきている。

それまでBoxed Lunch
そう呼ばれていたこの箱が。
さて、採集家の目にとまるのはいつだろう?

弁当、最大の楽しみは、
もちろん食べ、味わうことにあるのだけれど。
今一つの楽しみもある。
フタを開けるその瞬間だ。

だから中が見えることが条件として求められる、
コンビニ弁当は、その分楽しみが減ってしまう。
たとえ美味いものであったとしても、
自分で作ったものはフタの裏側が見えてしまう。
X-Rayを持つように。

弁当はやはり、
他人に作ってもらい、
透明でないフタをかぶされたものが最高の味を持つ。



フタを開けることで価値の下がってしまうものがある。
電器屋など、アメリカの小売店では、
販売し返品されてきたもあ:Open Box"と称され、
数割引きで再販売をされる。
そんなことを気に留めぬものには超お買い得であるわけだ。



箱を開ける。
そんな儀式はやはりワクワクし、緊張感漂うものだ。
たとえそこに何が入っているのかわかっているとしても。

5月にNYを訪れた親友は、
おみやげを箱詰めにして自分宛に送り出した。

なんでも幼いころ、
カリフォルニアにいた親戚から、
時折送られてくるお菓子などが詰められた箱が、
とても楽しみだったらしい。
箱を開けた時に立ち上る〈アメリカの匂い〉にワクワクしていた。
たとえそれが自分の送った箱であったとしても。

あの箱はアメリカの匂いを詰め込んで海を渡って行ったのだろう。



箱が届いた。
散歩の途中に郵便やさんの車を見つけ、
慌てて駆けより止める。
タッチの差で逃すところだった。
(月曜日は祝日のため、次の配達は火曜日となる)

重い箱を抱えて帰宅したものの、
なんだか一人で開けるのがもったいなくって……。
人が帰ってくるのを待つ。

開封の儀。

紙箱の中、生成りの布袋に包まれていた。
黄色い表紙の10冊の本。
自分の頭の中にしかなかったもの、
今、手に触れ、たしかめ、感じることができた。
そしてそこには、
間違いなく匂いがあった。
$ニューヨーク狂人日記-1381684098623.jpg

陽光

埃っぽい
頭痛
NY
オレゴン

笑い
迷い

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97 4th Ave.

色々なものが変わった。
住や食はもちろん。
人も町も。
自分以外のすべてが。
そしてビールも。

ポートランドにはWineryも多いが、
Micro Brewery(地ビール)も多い。
天国と言えないこともない。

このところ夢中になっているのは、
Widmerという会社ののHefeweizenというビール。
薄い琥珀色にレモンを絞って飲む。
12oz瓶を日に4、5本というところか。
$ニューヨーク狂人日記
―これで5日分―


NYではクアーズの24oz缶を日に2、3本。
オン・ザ・ロックスで。
こればぼくのNY流。
あの界隈に越してきた当時$0.75だったものが、
今は$1.50する。
12年という歳月の重み。
それでも十分に安い。



「えーーーーっ!!!???」
「なんでよ?」
「本当に???」
「どうしたっていうの、いったい!?」

「ちょっと待ってて!」
入り口そばに椅子を出して子供をあやしていた娘が音を立てて立ち上がる。
小走りで奥へと向かったかと思うと引き返しきた。

カウンタ越しに話していた女主人が、
大声を上げはじめる。スペイン語で。

戻ってきた娘は、
「これ私から、持ってって!」
イツモのやつを両手で押し付けてくる。

白衣のユニフォーム、白髪の男が奥から出てきた。
ついさっき、冗談、そしてサヨナラを言ったばかりだ。
どうやら肝心なところが通じてなかったみたいだ。
笑顔の消えた目でじっと見つめている。
うらめしそうな顔で。

「おっちゃん」
12年間そう呼び続け、
通じない英語、
片言のスペイン語、
身振り&手振りで。
毎晩のように冗談を交わしたおっちゃん。

目の下にうっすらと涙をためていた。

さすがにこれだけビールを一晩では飲みきれなくなっている。

翌日、旅立ちの前。
オワカレに渡してくれた1本を。
NYで過ごした歳月の味。
忘れ得ぬ1本となった。
$ニューヨーク狂人日記




実はこの店。
自分の分岐点として「訳者あとがき」の中に、
登場してもらった。
最後の、忘れ得ぬ1本を貰ったのはその後になってだが。

「何の疑問を抱くことなく右へ曲がり続けてきたあの角。
不意に左へと曲がりたくなる時がある。
そして曲がってしまう時も」



360ページの中、「訳者あとがき」に10ページも割いていただいた。
本来、副題で『97 4th Ave.』とこの店の住所をつけたのだけれど、
そういったスタイルはそぐわないのだろう。
本ではシンプルに「訳者あとがき」
ただ、本文末尾にはしっかりとこの住所が刻まれている。



ありがとう。
Adios Amigos, OCHAN!!!


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出ました。『内向型人間がもつ秘めたる影響力~Quiet Influence』

amazon.co.jpのステイタスが『在庫あり』に変わりました。

ニューヨーク狂人日記
20日頃と思っていたのですが、少し早かったです。
アメリカ時間の明日(12日)、手元に見本が届きそうなのですが、
もしかするとぼくより先に手に取ってくださる方がいるかもしれません。






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聞こえない音が。聞こえる。

犬が歩いてきた。小さな犬が。
仔犬だと思う。大きくなる犬種だと。
顔に幼さが見てとれる。

建物へと入る前。
公園のベンチに腰を下ろし、
胸ポケットからタバコの袋を取り出している時だった。

「トコトコ、トコトコ……」
朝露に濡れた芝生の上を。
聞こえぬ音が聞こえ、近づいてくる。
ゆるやかな蛇行を繰り返しながらも、
矢印は同じ方を指す。

その時には周囲へ目をやっていた。
すぐそばにも。
はるか後方にも。
ずっと先の方にも。
それらしき人の姿を認めることはできない。
飼い主を探しはじめていた
見守る目を見つけることができない。

職場、教室……。
それぞれが、それぞれの行く先に、ランダムに。
しかし、しっかりと意識の焦点を定めて動く人がいるだけで。

目の前にいたのはほんの数秒で、
すぐに後ろ姿となってしまった。
白い毛のあちこちに、
大きな茶色のブチがあるだけで。
首輪を見つけることができなかった。
所有者と書かれた輪を。

それとも、
短いながらも毛と呼べるものの底に埋もれていたのか。

幼さ。
毛並みの艶。
どう見ても野良くんには見えない。
それにしても、
いつの頃からだろう。
所有者というもののない犬に価値を見出そうとしなくなったのは。
所有者のない犬は悲しい。
人にはそう見えてしまうのだ。
犬にはそんな感情はない。
他の生きもの同様生きているだけなのだ。

どう見ても野良くんには見えない。

これを書きながら10年ほど前のあるシーンを思い出していた。

"You are not look like homeless."

2月のNY、夜空の下。
いつの頃からかあいさつを交わすようになり、
時には隣に腰を下ろして話し込むアジア人の男がいた。
名前は知らない。
覚えていないのではなくて、知らない。
向こうだって知らないはずだ。
名前とはそれほど必要なものだろうか?
ぼくには、どうしてもそうは思えないのだけれど。

SoHoにある日本レストランでマネージャーをしている。
そう言っていた男は、毎夜同じ時刻に、
同じ方向から歩いてきて、
同じ方向に小さくなっていく。

もっともこの言葉には続きもある。
"But smells like homeless."



彼の、彼女の新しい旅立ちの時だったのか?
それともつかの間の冒険だったのか?

いずれにせよ、朝陽の映る目は輝いていた。
光をはね返すからだけではなく、
その底に光源が見えた。

怖れ、不安、悲しみ、怒り……。
そんなものの一片も見てとれない瞳は澄み、
そして輝いていた。

親元から遠く離れ、
新しい地に学び始めた新入生のように。
見るもののすべてが新鮮で、
マイナスというものがひとつとしてない。

意識をしているのか。
ただ、意識に引かれるまま動いているからなのか。
細い尻尾を振りながら、
後ろ姿が蛇行をつづける。
立ち止まる人はほとんどない。
誰もが歩くのに忙しい新しい朝。



生き物の姿に自分を重ねていることがある。
というよりも、
人は自分の姿を重ねるために、見て取るために。
生き物をそばに置きたがるのではないだろうか。
それが豚であれ。
4匹のネコくんであれ。
鏡というものが、
本当の姿を映し出すことのないことを知っているから。



新しい町へ来て1週間。
そして、あと少しで、
新しい世界となった翻訳本が出る。

それこそ、
あの2ヶ月間のぼくは、
あの仔犬のような瞳をしていたのかもしれない。
疲れも、迷いも、焦燥も……。
蛇行しながら、遠回りをしながら。
行き着く先こそ見えないが、
そこには希望の灯りしか見えない。

そして今のぼくは?
艶の失われた野良犬?
疲れ果てた老犬?
それとも今も軽快に蛇行を繰り返しながらも歩みを止めぬ仔犬?



木の間を、草の間を見え隠れしていた。
とうとう仔犬の後ろ姿が見えなくなってしまった。
それでも足音が聞こえてくる。
聞こえない音が。聞こえる。
$ニューヨーク狂人日記-1381440559894.jpg



タバコを消して立ち上がる。

その瞳をいつまでも忘れないで。
曇らせないで。
聞こえない音が。聞こえるように。


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カタカナが聞こえる時

カタカナだった。
間違いなく、あれは。

境さんでも、
さかいさんでも、
Sakaiさんでもなくて。
サカイさんだった。

夏の終わりの土曜。
夕暮れ時に川を渡り石畳の残る旧い町のレストランへ。
隣ではカップルが、
ウェイトレスにカメラの使い方を教えている。
サイドウォーク・カフェの丸テーブルを3人で囲み、
ステーキが来るまでの時間をビールでつくろう。
「あのー、オネーサン、ピクルス持ってきてくれます?」

「サカイさんって飽きっぽいでしょう」

問いというよりも、半分は神の裁決のような響きだった。

あまりにも唐突だったので。
その一瞬は無言ではなかっ
たのだろうか?
それにしても。
どうしてあのタイミングで。
あんな問いを手向けてきたのだろう?

ずっと思っていたことが口からこぼれた。
そんな感じだった。
前の状況を思い出してみても、
予兆のようなものはなにもない。
いったい何をして、あの人をそこまで思いつめさせてしまったのか?



とりあえずはノートに向かう。
アイデアがあるときもあれば、
空っぽでボ~っとしている時も多い。
そんな中、ペンを動かしながら、
そこここで拾い物をしてつないでいく。

ちょっと前に漫然と書いていたものを膨らませることもある。
「あ、ここにあそこで書いてたやつが欲しいな」
そんな時は……。
コピペできない。
「3ページ前、●X△を転載」
と書いて次を進めていく。

女の子を見る目と似ている。
次々にカワイイ子が現れて、
目移りをして困る

ちょっと前に釘付けにされたあの子は、
今ではもう色褪せてしまっている。
男女交際は人生だ。
ではなくて、人生は男女交際だ。

こんなくくだらないなぞらえ方をするのはぼくくらいだろうか?
とにかく飽きっぽいことは自覚している。



一度書いてしまったものを書こうとしない自分。
実は、読むのさえ億劫なことがよくある。
同じことを再度書き出せば、
そこには必ず新しい発見があるとわかっているのだが。
やろうとはしない。
<転載>

怠惰で飽きっぽい自分。
女の子にも飽きる、大好きなおもちゃにも飽きる。
この、今だって、数瞬前の過去。
もう、飽きだしている。

5文字前に書いた今はもう過去。
今は今であって今ではない。
今ではないもののすべては無尽蔵の時という粒子になり、
ランダムに降り積もって過去が作られていく。

少し前のあのひとの笑顔も
入り口でのわめき声も。
今はもう過去のもの。

<転載>
という一言で片付け、過去を振り返る。
過去の中を生きようとしない。
時を温めるのが嫌いなのか?
そうではないつもりなんだが。

過去を再生し、未来をつくるという努力を、
投げ出してしまう傾向が強い。
今、という過去のために。
そうして
<転載>
で片付ける。



そんな飽きっぽいぼくだけれど。
「これだけは世界の誰にも負けない」
ということだってある。
少なくとも今の時点では。

世界広しといえども、
『内向型人間がもつ秘めたる力』
をここまで読んだ人間はいないはずだ。
量的にも、質的にも。

綿密に。
そしてスムースに流れるかスピードを上げながら。
引っかかりはないか?
リズムは乱れていないか?
そんなことを考えながらスピードを上げていく。

こうした読み方を続けてきたので
「?」
感じるところに間違いはない。

昨夜(アメリカ西海岸時間 2013/10/08)のこと。
amazon.co.jpのページが更新されていた。

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〈序〉からの抜粋、そして著者紹介がアップロードされていた。
ほんのサワリですが、下記のリンクから読むことができるようになりました。

「どこかリズムがずれている」
と感じはしたものの、頭は半分眠っているので自信が持てない。
でも、
「どこかでリズムがずれている」



一夜明け、手持ちファイルを確認してみると、
著者紹介の文はぼくのものではなかった。
やはり、違ったリズムで書かれていた。
それが悪いとか、変だとかではなくて、
自分の中のリズムとのずれがどこか気持ち悪かっただけだ。
それも今は解決している。
自分が自分でないようなあの気持が。

訳した順番としては

本文
本著作者について

はじめに

だった。
これでよかったと思う。
自分の中で理解を深めていくという意味でも。

しばらくして
訳者あとがき
を加え。

ぎりぎりになり、急遽
謝辞
を入れることになった



それにしても編集者のSさん
何をもって「飽きっぽい」と見極めたのだろう?
こわいな。
核心をついている。

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おまけ。
豚を散歩させる男。
(ちなみに、地方都市とはいえオレゴン州ポートランド市の人口は60万人、都市圏としては200万人。それほど田舎でもないんだけどな)
$ニューヨーク狂人日記

シックリ くる、こない。

シックリこない。

快適な空間にいる。
豚を散歩中の人にも出会った。

快適な空間にいる。
静かだがそこここに、
エネルギーの小さな渦を感じる。
ただひとつだけ……。

椅子と机、それぞれの高さが正しくない。
ぼくの中では。
それぞれの関係もシックリこない。

これも快適空間に比べたら小さなこと。
そのうちに身体の方があってしまい、
シックリとくるようになるのか?
調整のできない机、そして椅子。
木の温かみの伝わるふたつに。

まだ、シックリこない。

「今はわからない」
なんと多いことか。

転居後6日目。
身辺にある「今はわからない」のなんと多いことか。
「包まれている」といっても言い過ぎではないだろう。

「今は」わからないことだらけだ。
一つずつわかっていく。
良くも、悪くも。

そして「ずっと」わからないものがいくつか残るだろう。
そのいくつかは、「そのうち」わかるだろう。
それでもいくつかは、「ずっと」わからないだろう。
しかし、それとて「いくつかは」わかる日も来るだろう。

「ずっと」わからないものに向き合っていく。
それは、そのままかもしれないし、
いずれ、不意にわかってしまうかもしれない。
そんなことは、
今はわからない。
As Time Goes By



翻訳に向き合っていた2ヶ月間。
机と椅子の蜜月関係は絶妙だった。
机こそ6年前の転居の際に拾ったものだけれど、
椅子には奮発をした
おかげで、小さな快適空間で、
毎日、何時間も座り続けることができた。

大きな椅子の上に、
あぐらをかいたり、膝を立ててモニターをのぞき込んだりしながら。
扇風機に空気をかき回される小宇宙の中で。

そんな宇宙を共に生きた『Quiet Influence』
今、『内向型人間がもつ秘めたる影響力』という生命を吹き込まれ、
昨日、テスト版が出来上がりました。

編集者の方と共に。
あとは天命にまかせるのみ。
(ぼくサイドはと言えば、
決して人事を尽くしたとは言いがたいけれど)
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探さない

タイミングというのは実に面白い。
今回の10月2日というのもそうだが。

振り返った時、
たったひとつの点に複数のものが収束していく。
そんなことがよくある。

空き缶集めをやめ、紙コップを前に歩道に座る。
それから転がり出したかのように。
出会い、ホームレス卒業、出版……。
多くのことがバラバラの場所から、
一点を指して転がり始める。
その一点がなにであるのか。
その時は見えない。
ただ、感触があるだけで。

ポートランド転居決定。
10年以上連載していた雑誌の廃刊。
『内向型人間が持つ秘めたる影響力』校了。
この時もそれぞれが、
別の場所、異なるタイミングで起こり。
一点を指していた。



常々のことだけれど、
必然という言葉が浮かんでくる。
出会いというのは、別れという言葉の裏側である。



「やめよう」
まだ艷やかだった決心もそうするわけにはいかなくなった。

机の前に座り120パーセントの集中を続ける。
2ページが終わるたびに立ち上がり別室へ。
酒を飲むわけにはいかない。
飲んでもいいのだが、
そうすると怠惰になってしまい1日は終わる。
齢を取ったということだろう。

道中に一里塚が建てられたように、
節目のない旅はつらく、長続きはしない。
目的のない、経過という安心感のない道行きには灯りが見えない。

エスプレット
クッキー
チョコレート
キャンディーなど。

色々と試みはしたのだけれど
シックリといかない。

「シックリ」
生きていく上ではかなり重要なキーワードだ。

美人で
好ましい性格で、
頭もよく。
きっと、あっちだって好意を持っていてくれる。
それでもシックリとこない女の子と過ごすのは、
時として苦痛ですらある。

何時間も言葉を交わすことなく。
それでもシックリくる女のことなら、
どれだけだって一緒にいることができ、
心が安らいでいく。

2ヶ月の間。
タバコの穴を埋めるものを見つけることはできなかった。
35年以上に渡る伴侶に代わるものが、
そうやすやす見つかるわけもなく。
見つかって貰っても困る。
安易な気持ちで見つけたくはない。



ということで、
Still Smoking
手持ちがなくなればやめるつもりではいるが。

それでも。
もし、次の翻訳が決まれば、
それはわからない。

それまでにシックリくる出会いがあればいいのだが。

出会いというものは探してはいけない。
探している時に出会うものには、
ろくなものがない。



探さない。

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昔の名前で出ています ~ 『内向型人間がもつ秘めたる影響力 』

「すべてはその日に向かって、進められていたのか」

昨日の投稿の最後に書いたのはこのことだったんです。
ついに出ます。



「校了しました!」
引越し当日の朝に頂いたメッセージ。
NYを離れるその朝、
初となる翻訳本が校了となりました。

ぼくの手元を離れてから2ヶ月とちょっと。
8月末には編集者の方がゲラを抱えてNY入り。
その後も校正や追加。
キーワードや邦題の模索。
カバー案の迷い。
様々な難関を乗り越えてここまで押し上げてくださいました。



$ニューヨーク狂人日記






5月半ばから訳に入り、
おかげさまで禁煙予定を順延。
いまだに健康で喫煙中です。
ま、これもNY入りした編集の方から頂いた、
ハイライトがなくなりしだいやめる予定。
どうも、ここPortlandではタバコ吸いの肩身が狭いようで。
よそ者として、しばらくはローカルに順化を試みます。

5ヶ月の間、いつも共にあった本が世に出ます。
初のものなので未熟なところも随所にあるかと思います。
それでもそれが今のぼくのベストであり、自身でもあります。
「読みやすく」
このことを常に念頭に置いて書き終えました。

最後に10ページを頂く、
というご好意に甘えちょっとだけ自己表現もしてみました。

黄色い表紙が目印です。
本屋で見かけることがあったら。
是非、手にとってみて下さい。
10月20日頃には店頭に並ぶ予定です。



ちなみに。
昔の名前で出ています。
訳者名:境誠輝


おまけ



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インディアン・サマー、そして霧の町へ

出発はサンダル履きにTシャツで。



あれは9月30日だった。
記憶に残るのは匂いと温度。
アメリカ大陸に貼られたアスファルトに初めて足を下ろした日。
あの日はスニーカーだった。
バスの階段から足を下ろすと、じんわり。
ゴム底を通して、
SFの陽に終日あぶられたアスファルトを感じる。

そして奇しくも、
今回も9月30日になるはずだった。
結局は2日延べることになってしまったが。



午前零時オレゴン州、ポートランド空港着。

日本との時差は3時間増えて16時間。
いまだにピンとこない。
サンダルとTシャツでは寒すぎで、ハイウェイは霧に包まれている。



ブログやフェイスブックでちゃんとした形で発表するのは今回が初めて。


27年間住み慣れたNYから
森と川に包まれたポートランドへと移住しました。

友人や家族には前もって知らせ、
『ボヤキ新聞』でも既報済み。
オンラインに関しては引っ越し、その他のあれやこれやで、
ついつい後手に回ってしまいました。



友人・家族や『ボヤキ新聞』購読者の反応はというと。
「何かあったのでは?」
と心配されている人の多いことに、こちらがびっくり。

皆さんにとっては寝耳に水だったかもしれないけれど、
前々から心中にあったことで、決して急な話ではない。

加えてNYからポートランド。
世界の大都市から、アメリカの地方都市へ。
どうしても<+>から<―>をイメージさせてしまうようだ。

ご安心下さい。
生きています、生きていきます。
後ろ向きではなく、前向きの転居なのです。
終章に突入したわけではなく、
Chapter2にページをあらためただけ。

さて、第2章ではどんなストーリーが展開されてゆくのか?
自分でもワクワクしています。



第2章の始まりの日、
ここでも「奇しくも」という出来事が。
すべてはその日に向かって、進められていたのかと思うほどに。







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