危険なステップ~その①~
危険なステップ~その②~
幽霊達に偽りのイブニング情報を提供し、イブニング詐欺をした俺達。
きっと翌日からイブニングを取りに行く幽霊。しかしダルマにイブニングは存在しない。『これは明日から見物だな』とノリ打ち仲間達と談笑した。
翌日。俺達はいつもの様にバルデビッグ貯金verに張り付き美味しい所だけを打つ事で日中を消化していた。幽霊達はいつもの様に朝一、他の裏モノでリセモ狙いを終え適当に時間を消化しはじめる。16時を待っているようだ。16時になったら存在しないイブニングを狙いに行くはず。俺達は皆わくわくしていた。わくわくが止まらなかった。
16時。予想通りダルマを回し始める幽霊達。ほどなくして訪れた当たり。
その後、適当に連チャンを消化し満足したようで、別の島へ移動された。あの表情は明日も16時からダルマを攻めるであろう立ち回りの軸を手に入れたような表情だった。
夜。換金時。幽霊達は俺達に小声で言った『イブニング確かにあるな』
俺達は、やはりありましたか!という表情で適当に返答した。
翌日以降も毎日16時になるとダルマを回し始める幽霊達。
『幽霊達今日もダルマ打ってるよ』 『危険なステップでwww』と嘲笑っていた。
たまに『今日はイブニングなかったなぁ』とボヤかれる時もあったが、俺達は『設定据え置かれたらイブニング発動しないんじゃないんスか?』と適当に返していた。
俺達はダルマにイブニングが無いという事は絶対にバレない自信があった。
話を整理する。
なぜ俺達は恐いはずの存在である幽霊達に嘘のイブニング情報を言えたのか?
幽霊達が交換条件に出した『ダルマは500越えたらもう深さはわからん。ハマって当たっても連チャンせんけんな。500以上は打つな。仮天井も天井もないけんな』という情報。この話を聞いて俺達は幽霊達を完全に見下し嘘をついた訳だ。それは何故か?
実を言うとダルマは表である。仮天井も天井もない。イブニングもないどころか真っ白なノーマル機である。生粋なメーカの正規基盤で裏モノではないためイブニングなど存在しないのだ。16時から打とうが何時から打とうが普通に抽選され普通に当たる。正規基盤であるから当たり前の事だった。
だとすれば、何故幽霊達はダルマを裏モノと勘違いしたのか?ここに当時の時代を象徴するシーンがある。
俺達も設置当初は裏モノだと思っていた。マイルド仕様の状態verでダラダラと連チャンしていつの間にか抜けるタイプだと予想していた。これは掴みにくい特徴だなとノリ打ち仲間と話したが、これ実はノーマル機なんじゃねぇか?普通に設定入ってるから連チャンしてるんじゃねぇか?という疑問にぶつかり、よくよく考えると島構図的に見て、あの場所に設置された機種で過去に裏モノは前例が無という理由からノーマル機だと断定していた。
しかし裏モノと間違えるのも不思議ではない。あの当時、ホーム店は設置された機種の半分が裏モノだった。そんな中に裏モノ化御用達メーカのパイオニアのマイナー機ダルマサンが設置されたのであれば裏モノと思うが正当な見方で、まさか普通にノーマル機が導入されるなんて事は思わない。スロを知っている人であれば尚更である。裏モノが日常的に存在した時代の1シーンだ。
上記の理由から、ノーマル機と気付いていない幽霊達を俺達は完全に見下した。ダルマがノーマル機と判別できないならイブニング詐欺しても絶対に気付かないだろう。スロット下手なんだろうと思っていた。
さらに言うと俺の地元ではノーマル機を裏モノと勘違いして間違えた情報を流すと、末代まで語られる勢いで笑い話にされる赤っ恥レベルの風習があった。簡単に言うとめっちゃディスられる訳だ。だからめっちゃディスってイブニングありますと言った訳だワロタ。
そんな事とは知らず、存在しないイブニングを追い16時からの稼働を続ける幽霊達。
芋づる式に回収しようとしている情報は、最初の収穫以降は回収に来ない。俺達は気にも止めなかったが、最初に回収された芋が、種芋になって根を張っていく事にこの時まだ気付かなかった。
続く