危険なステップ~その②~ | 俺的スロ日記

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幽霊『おいコラ!』

幽霊達は乱暴に階段を上り、隠れ家的2階へ侵入。お酒が入っているせいか顔が赤く、普段パリパリに決めたアイパーは崩れ気味だった。


すぐに、この店の大将が飛んできて『お客さん困りますよ』と注意するも、幽霊は『いいて。俺達ツウツウの仲やけん』と押し切り、さらに、この場で酒を注文し、私達は同席を強制された。





幽霊『あの店は俺達が学生の頃から通っとうけんな』
結構お酒が入っている模様。昔話を聞かされる私達。


幽霊『裏に立体駐車場あるやろ?あれ昔は無かったの知っとうとか?』
昔からの常連アピールで、お前達の先輩なんだぞと意識付ける事が目的と安易にわかった。






幽霊達のスロットレベルは高くない事を俺達は知っていた。
目押しは上手いが技術介入機を打たない。打つのはいつも裏モノ限定だった。

当時ホーム店は裏モノが多く、有名verを除いてほぼハウス仕様であったため、明確な打ち時は不明とされている機種が多かった。しかしこれはデータを取れば打つべき部分は見えてくる。


私達は打つべき部分を把握していた。ほとんどの機種に共通して朝一リセットモーニング狙い。このリセモは昔から周知の事実で、もちろん幽霊達も知っているから朝一から通っている。


ただしバルデビッグ貯金verのシステムを理解している奴が皆無だったホーム店。
私達はハマり台狙いで美味しい思いをしていた。バルデビッグで負ける事なんて無いと思えたほど独占状態だった。


当時ホーム店では、天井不搭載の機種が殆どでハマり台狙いという概念が無かった時代。
幽霊たちは私達のバルデビッグでの立ち回りが気になっていたのだろう。


そして先輩風を吹かせて今それを聞き出そうとしている。私達はこのネタだけは喋りたくないが、この閉鎖的密室空間で聞かれた場合は喋るしかないと腹をくくっていた。


最終的にバルデビッグのネタを聞いてくるのは間違いないが、酔っているせいか幽霊の先輩話はウダウダと続いた。私達もお酒が進みほろ酔い状態の時だった


幽霊『ダルマは500越えたらもう深さはわからん。ハマって当たっても連チャンせんけんな。500以上は打つな。仮天井も天井もないけんな』












(ハイ。次はお前等の番みたいな雰囲気で沈黙する幽霊)












私達(えっ!?)


バルデビッグのネタを聞き出す前に、まず幽霊側から差し出された情報。

これは情報交換の応用パターンだ。『バルデビッグのネタ教えろ』と最も聞きたい事を自分の口から問わない幽霊。勝手にダルマ(パイオニアのダルマサンという機種)の情報を開示しておいて、次はお前らが喋る番だという雰囲気を醸し出す。チンピラの様な外見に反して話術が達者でワロタ。


この聞き方に対する答え方で一番やってはいけない返答エラーがある。

バルデビッグネタを答えて一発で完了させるのが当然セオリーであるが、バルデビッグネタを答えたくない一心で他の事をペラペラ喋り、これでどうですかね?なんて事は通用しない。完全にエラーとなり芋づる式に情報を全て持っていかれる。ネットなど無かった非情報化時代の古い打ち手がよく使ってた聞き出し方だ。








しかし俺達は機転を利かせた。
危険なステップで意思疎通し合えるノリ打ち仲間達はアイコンタクト不要で全会一致だった。バルデビッグネタを答えなかった。


俺達はあえてエラーを犯し『ダルマってイブニングありますよね』と芋づるの茎を渡した。

すると幽霊は『はぁ?マジか!何時?何時よ?』と喰いついてきた。

俺達『16時過ぎくらいなんで3500回転~4000回転くらいじゃないッスかね』

幽霊は『そら気付かんわなぁ・・・なぁ?』と照れた表情をした。とても印象的だった。

この芋づるは幽霊達にとって思わぬ収穫だったようで、この日はこれ以上の収穫は行わず多めの酒代を置いて、あっさりと帰宅された。きっと明日から試すに違いない。試した後に、残った芋づるを回収にくるだろう。
















【イブニング】

リセットモーニング機能のイブニング版。

特定の時間または特定の回転数でフラグが立つ裏モノ独自のプログラム。
遠隔と区別がつきにくいため見抜くのは困難とされるが、見抜いた場合、ピンポイントで狙い撃ちが可能。この当時、イブニング機能搭載機は極めて少なく確認される事は稀。

また見抜きにくい事をいいことに都市伝説級の嘘やデマカセが錯綜する事がある。
俺達はこの事をイブニング詐欺と呼んでいた。








今件、イブニング詐欺である。ダルマにイブニングは無い。

芋づる式に引き抜いたらよろしい。しかしその芋ぜんぶ毒ぞ。


続く