ぎょうざの怨念
家の台所には暖房器具が置いていない
「ガスを使っていれば部屋も暖まるでしょうよ」
自分で発言したことですから
むやみに覆すことなんて出来ないですわ
北方面にある極寒の台所で
今日はせっせとぎょうざをのたねを作りましたの
叩いてはタントン
練り込んではムニュムニュ
味は知らないけれど
ぎょうざのメッカ宇都宮 にも負けませんわ
毎日亭主からは電車に乗り込む時間に
連絡が来るようになっているので
そこから帰宅する時間を計算して
誤差5分内の御膳立てが私のポリシーなのです
本日も連絡が来て
職人技ともいえるぎょうざを焼き上げて
待つこと・・10分
あれ・・おかしい?
このままでは黄金の餃子の風味が台無しじゃない!
1本分遅れて帰宅した亭主に訳を聞くと
連絡を入れた後に下痢でトイレに駆け込んだらしい
「どうして電車のトイレで足さなかったのよ」
私が愚痴をこぼすと亭主は言った
「停車中のトイレは使用不可だよ」
それなら直ぐに連絡をくれればいいじゃない
それなのにそれなのに
亭主め!
「冷めたぎょうざの怨念がおんねん」て駄洒落いってどうするのよぉ~
餃子職人の私が、怨念のぎょうざを作った女になっちゃったじゃない
こんな女に誰がした!