We Are The World / 40th anniversary | Get Up And Go !

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1985年4月5日。 世界中のおよそ5000のラジオ局で、この曲「We Are The World」は同時にオンエアされています。飢餓に苦しむアフリカの人々を救済する事を目的に録音されたチャリティ・ソングです。

3月28日にリリースされるとすぐに21位でランクイン。3週間後の4月13日には全米ポップ・チャートで1位に到達しています。発起人はハリー・べラフォンテ。作詞・作曲はマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチー。プロデュースはクインシー・ジョーンズが担当しています。

録音が行われたのは1月28日。L.A.のA&Mスタジオにアメリカの著名なアーティスト45人が集結し、夜10時から翌朝まで約10時間をかけて録音がなされています。




マイク
80年代洋楽を聴いて育った方には、好き嫌いに関わらず忘れることの出来ない曲だと思います。この曲が発表された頃の自分を思い出し、懐かしさを感じる人も多いでしょう。
少し長い記事なりますが、この曲についてのあれこれを記事にしてみました。良かったら。

あれから40年が経ったというのは信じられない気がします。とは言え、作者であるマイケル・ジャクソンはもはやこの世にはなく、プロデューサーのクインシー・ジョーンズも昨年亡くなりで、やはり40年という時間の経過を感じるのも確かです。ハリー・ベラフォンテもティナ・ターナーもレイ・チャールズも、もうこの世にはいないんですよね。





現在では、1月28日の録音風景が、いくつかのメイキング映像として発表され、参加アーティストそれぞれも内幕話として当時の思い出を語ったりで、録音時の全貌は語りつくされた感があります。昨年NHKでもドキュメンタリー番組が放映され、さらに昨年制作され、現在Netflix で観ることの出来る『ポップスが最高に輝いた夜』は決定版的な内容です。こちらは特にお薦めです。

USA for Africa の参加メンバーは、当時のアメリカ音楽界のスーパー・スターばかり。才能のある人ほど個性が強くエゴも強いわけで、プロデューサーであるクインシー・ジョーンズは、スタジオの入り口に、「エゴは入り口にあずけろ」 "Check your EGO at the door" と書いたメモを貼りだしています。ひな壇での立ち位置まで事前に決めています。誰がソロを取り、どこを歌うかといった問題は考えに考えたはずです。

アメリカは多民族国家であり多様性の国。 最初のサビ 「ウィア~ザ ワ~ルド♪」の部分をイノセントの王子様 マイケル・ジャクソンが歌い、一周回ってのサビでは、労働者階級の英雄 ブルース・スプリングスティーンが歌う。象徴的です。





”個性“ ということで面白かったのはボブ・ディランです。こういったイベントはアーティストそれぞれの個性が際立ちますが、ボブ・ディランは、指示されたソロパートに自分の "芸風" をどのようにはめ込むかで苦慮している様子が映像に残されています。

彼はスティーヴィー・ワンダーにアドバイスを求めたんですね。スティーヴィーはピアノを弾きながら、ディランの歌い方を真似て助言しています。上手くハマッた瞬間のディランの笑顔が印象的です。ボブ・ディランでもあんなに嬉しそうに笑うんだとね。自分のパートの録音が終了した際には、クインシー・ジョーンズ、ライオネル・リッチーと抱き合い、近づいてきたブルース・スプリングスティーンとは握手をしています。それだけプレッシャーもあったのでしょうね。





この曲の最高到達点はどの部分でしょうか。個人的には、シンディ・ローパーのソロ部分とそれに続くひな壇コーラス隊の部分ではないかと思っています(2分40秒ぐらいから)。
マイケルヒューイ・ルイスシンディ・ローパーキム・カーンズひな壇コーラス隊 の部分です。

’83年にソロ・デビューしたシンディ・ローパーは、参加メンバーの中では新参者。ヒューイ・ルイス、キム・カーンズ、シンディ・ローパー3人による並びがとても好きです。ふたりの間で弾ける彼女はとても魅力的に映ります。歌い終えたシンディ嬢は、皆に「私、はしゃぎすぎたかしら?」なんて聞いていますが、まわりは皆「凄く良かった」と拍手していて、その時の彼女の子供のような笑顔も映像に残されています。
合唱隊へと続いていくこの場面は、やっぱり素晴らしい!

ところでヒューイ・ルイスのソロパートは、実はプリンスが歌う予定であったパートを、代役のような形でヒューイが歌ったのだそうです。マイケル・ジャクソンはプリンスとの共演を望んでいたそうですが、プリンスは出演をドタキャン。 ああいった形にはなりましたが、シンディに続くあの場面は、流れとしてはヒューイ・ルイスのキャラで正解だったと思います。

プリンスのドタキャンの理由は、表向きには翌日がツアー初日であったからとのこと。いろいろとあったのだとは思いますが、マイケル・ジャクソンは共演を望んでいたわけだし、当時 裏マイケルと言われたプリンスと、マイケルの共演は見たかった気がします。

それからマドンナ。 当時、日本でもアメリカでもマドンナ派とシンディ派という言葉があったほど2人は比較されていたので、やはり共演を見たかったな、と思います。なぜマドンナは出演しなかったのか?の理由はわかりません。因みに「We Are The World」が全米1位となった週の3位はマドンナの「Crazy for You」、5位は「Material Girl」。 「We Are The World」の後に続いた5月11日付けの1位は「Crazy for You」となっています (°o°*)





ところで、このチャリティ・ソングに対して、日本でも一部の音楽評論家には批判的な意見もありました。渋谷陽一氏などは「ロック・ミュージシャンの善行などカッコいいものではない」といった内容の批判であったと記憶しています。「皆、金持ちなのだから、黙って自分の懐から金を寄付すれば済むことだ」とも言っていたと記憶しています。

前年暮れのイギリス勢によるチャリティ・プロジェクト、バンド・エイドの「Do They Know It's Christmas」などは、言い回しも曲調も洒落ていて、曲の趣旨云々の前に楽曲自体の評価が高かったのに対し、「We Are The World」にはいかにものアメリカ的な大袈裟さを感じて、「アメリカ人がまた偽善的なことやっているよ」と捉えた人がいたのも確かです。押しつけがましさを感じた人もいたのではないかと思います。

「We Are The World」は、チャリティ・ソングとしての機能は十分に備えているし、とてもいい曲だと思いますが、表現がストレートすぎて洗練さにはちょっと欠けていたのではないかと。 これは僕の個人的な見解です。








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