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ジョン・レノン 失われた週末(原題:The Lost Weekend: A Love Story)
(2022年 / アメリカ)
● 監督:イヴ・ブランドスタイン / リチャード・カウフマン / スチュアート・サミュエルズ
○ 出演:メイ・パン / ジョン・レノン / ジュリアン・レノン / ポール・マッカートニー / エルトン・ジョン 他
ビートルズ・ファン、ジョン・レノン・ファンの間では話題となっている映画、『ジョン・レノン 失われた週末』を観てきました。
この映画は、1973年9月から1975年2月まで、ジョン・レノンと恋人関係にあったメイ・パンのラヴ・ストーリーであり、2人の関係を軸に描かれたドキュメンタリー映画です。
ジョンとヨーコの別居の発端となったのは、ジョンの浮気であったと伝えられています。浮気を繰り返す亭主に別居を突き付けるというのは世間ではよくある話ですが、オノ・ヨーコが一般の感覚とかけ離れているのは、別居期間中のジョンの生活の面倒を見るようにと、それを自分たちの秘書である中国系アメリカ人のメイ・パンに命じたという事。彼女にボーイ・フレンドがいないかどうかを確認した後、ジョンに当てがったんですね。ジョンをコントロールしようとしたということです。
ビートルズ・ファン、ジョン・レノン・ファンの中には、現在でもオノ・ヨーコのことを激しく嫌う人がいますが、この事実もその要因として大きなものであると思います。
メイ・パンは当初困惑したわけですが、次第にジョン・レノンに魅かれていったようです。ジョンはジョンで、若くて快活、長い黒髪の東洋人に最初から魅かれていたことは容易に想像できます。
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ヨーコにしてみたら、「ジョンには興味がない」と言い切ったメイ・パンなら容易にジョンを取り戻せるという計算があったようですが、2人が本気になってしまい、しかもニューヨークから遠く離れたロサンゼルスで同居生活を始めたとなると、今度はジョンを取り戻すべく行動を始めたというわけです。ちょっと普通の感覚の人間ではないと思うのは、誰でも同じでしょう。
以上の事は以前からよく知られた事実ですが、映画ではさらに深く掘り下げて、メイ・パン側に立った視点で語られていて、そのあたりでとても興味深い映画になっています。
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*以下ネタバレあり。注意 (>_<)
メイ・パンがもともとロック・ファンであり、そのことでジョンと結びつきが深くなっていたことも大きかったと思います。ヨーコという障害が無くなったおかげで、音楽仲間たちも気兼ねすることもなくジョンのもとに集まります。またメイ・パンも彼らに溶け込み慕われていきますが、その理由は彼女がロック・ファンであったからという事実も大きかったと思うのです。 ビートルズ解散後、初めてジョンを訪ねてきたポール・マッカートニーの様子や、ジョンとポールのセッションの様子も映画では語られています。メイはロック史の証人でもあるわけです。
もうひとつ注目であったのは、ジュリアン(前妻シンシアとの間の息子)がジョンに会いたがっているのを知り、メイ・パンが会えるように手助けしていたという事実です。ヨーコが障害となっていたようです。またメイ・パンは、シンシアとも打ち解けていたようです。 現在のジュリアンが、メイへの感謝の気持ちを表している場面も、映画の中にあります。
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語りたくなってしまう事実はたくさんあるのですが、最も驚いたのは初めて見る写真の数々です。メイの撮影したジョンとポールのツーショット写真は以前から公表されていましたが、その他デヴィッド・ボウイ、ミック・ジャガー、エルトン・ジョン、当時の飲み仲間であるハリー・ニルソン、リンゴ・スターなどなど。そして彼らと一緒に写るメイ・パンは弾けるように笑っていてとても魅力的です。そして彼女の傍らにいるジョン・レノンは穏やかに笑っています。
#9 Dream (1975)
”夢の夢" という邦題のついたこの曲は「失われた週末」の期間である 1974年に録音されています。途中「John」と囁いているのはメイ・パンだと映画の中で断言されています。
この期間のジョンは,酒量は多少増えたとは言え、音楽的にも充実していました。 であったにも関わらず、なぜジョンはこの期間を映画のタイトルになぞらえて "失われた週末” などと名付けてしまったのか。なぜヨーコのもとに戻ってしまったのか。 このあたりで深く考え込んでしまいました。
もうひとつ言っておかなければならないのは、ドキュメンタリーとは言え商業作品。演出といったものも当然あるでしょうが、使用されたヨーコの写真が意地の悪い表情、まるで魔女のような顔つきのものばかり。わかりやすくて笑ってしまうほどです。 メイ・パンの側に立って作られているとは言え、これはちょっとやりすぎだろ!と思わずにはいられませんでした。
きっとこの映画の制作者、監督はヨーコのことが嫌いなのでしょうね。好きな人は少ないとは思いますが。
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