リボルバー part 2 | Get Up And Go !

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10月28日に、新装されて発売となった『REVOLVER』。 結局 「5CDスーパー・デラックス」 を買ってしまいました! 21.459円也。やはり大きな出費。好きな中古盤店回りをして大量購入、なんてことはこのところ我慢しています。

ビートルズのボックスセットが出ると、音楽雑誌は必ず特集を組むし特集本も発売されます。今回も何冊かの特集本が新たに出版されました。 やはりビートルズはまだまだ商売になるんですね。 以前、音楽ソフト業界にいた頃、“困った時のビートルズ” なんて言葉を聞いたことがあります。 売り上げが落ち込んでいる時期は、何だかんだ理由をつけてビートルズの特集企画を組み商品を並べると、それなりに売り上げが見込めるんですね。



ジャイルズ・マーティンが語る 『リボルバー』


今回の「5CDスーパー・デラックス」の目玉のひとつとして、 "セッションズ" と題されたアウトテイク / 未発表音源が31トラック収録された2枚のCDがあります。 僕自身、ビートルズの海賊盤を集めていた時期があるのですが、「REVOLVER」の別テイクやデモの流出音源は意外と少ないんですよね。 それだけに楽しみにしていました。

例えば驚きの音源としては、ジョン・レノンの歌う「Yellow Submarine」のデモ音源。 これは初めて聴きました。 先日、映画 『ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男』のトークショーで、ビートルズ研究家の藤本国彦さんも、今まで聴いたことがないと仰っていました。

「Yellow Submarine」はこれまで、ポール・マッカートニー主導でリンゴ・スターのために作った曲として広く知られていました。 僕も、後の「Ob-La-Di, Ob-La-Da」や「Maxwell's Silver Hammer」などと共に、ポールによる “子供も一緒に歌える曲” シリーズみたく捉えていました。 ですが、残された音源を聴くと、ジョンとポールがああだこうだ言いながら、しかもそれをジョンが歌っているわけで、実はジョンの貢献度も大きいのではないかと。 藤本さんは、「ビートルズ研究は今や考古学みたいだ」 と仰っていましたが、だとするとこれは考古学的発見! ということになるんですかね



Yellow Submarine (songwriting work part 2)


アウトテイクというのは、最終的な完成ヴァージョンとしては採用されず没となったヴァージョンのことを言います。それなりに完成したヴァージョンもあれば、完成に至る前の未完のものもあります。だいたいが作品としてはまだ粗削りなわけですが、それが意外と良かったりする場合もあるんですね。

完成品と呼ばれるものは大抵が角が削られて洗練されたものになるわけですが、ロックという音楽の場合は粗削りな部分があったほうが良かったりもするんですよね。今回の未発表音源の中では、「Got To Get You Into My Life」の〈2nd version-Unnumbered mix〉が気に入ったテイクです。トランペットとサックスによる管楽器ではなく、ちょっとラフなギターサウンドを前に出して全体的にワイルドな曲になっています。もともとはブラスセクションを入れることによってのモータウン・ソウル風を意識して作られたようですが、こちらはロック色を強く感じるテイクです。

そんなわけで、今回のレア音源集の中ではライブ感に溢れた、ロック・バンド ビートルズを感じる「Got To Get You Into My Life 〈2nd version-Unnumbred mix〉」が、最も気に入ってます。



Got To Get You Into My Life (second version)


「5CDスーパー・デラックス」には、14曲で構成されたオリジナル・アルバムももちろん含まれています。 こちらは新たにミックスされたステレオ・ヴァージョンとモノラル・ヴァージョンの2枚となっています。 新装 『REVOLVER』一番の話題は、このオリジナル14曲のステレオ・ヴァージョンです。

『REVOLVER』が発表された1966年はまだ4トラック・レコーダーで録音されていた時代。 現在のデジタル時代ではいくらでもトラック数を増やせるので、当時はおそろしく貧弱な録音環境だったんですね。 そのたった4つのトラックをリミックスして、今の時代に通用する新たなサウンドに再構築しようとしても、そこには限界もあるわけです。

今回はデミックスという最先端の技術によって、少ないトラック数に詰め込まれた楽器の音を取り出して分離。 その取り出した音たちを修正し磨いて再構築。 おおまかに言うとそういった作業によって新たなミックスが行われたとのこと。



ジャイルズ・マーティン、デミックスについて語る


例えばですが、写真から人物だけをA.I.技術によって切り抜いて取り出す。 それを他の背景の写真に乗せたりするわけですが、背景と人物の境目が不自然になるので修正を加える。現在はスマホのアプリを使って誰でもできることですが、デミックスと似たところはあります。 音の場合は目には見えないだけに、もっと複雑で難しそうに思えますが。

印象としては、ヴォーカルが際立ち全体にシャープな音となった感じです。 ジャイルズ・マーティンは、父の残した偉大な仕事を新たなサウンドとして全世界のビートルズ・ファンに提示するわけですから、重圧の大きさは相当なものであったと想像できます。ビートルズのアルバムが初めてCD化されたのが1987年。 テクノロジーの進化と共に、ビートルズの音も大きな進化を遂げたわけですね。

と言っても。。。
個人的には、今回のアルバムではオリジナルのモノ・バージョンが結構好きだったりします。 音がひとつの塊として耳に入ってくることに気持ち良さを感じるんですね。 これはもちろん好みの問題ですが、たぶん僕の本質はアナログ人間です。
('_')


I'm Only Sleeping (2022 Mix)




ところでビートルズのアルバム・ジャケットでは皆さんはどのアルバムが好みでしょうか。ビートルズのジャケ写はどのアルバムも素晴らしいのですが、『REVOLVER』はクラウス・フォアマンのイラストによるデザインとなっています。

今回の5CD スーパー・デラックスの初回版には、あのデザインのポスターが特典として付いてきました。 これ、すごく欲しかったのです。 ポスターフレームに入れて、現在は居間に飾っています。 なんか部屋の空気感が変わる感じで、気分もリヴォルバーです。 古い言い回しですね (*^^)v